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11F列車 冬眠

 深名線(ふかなせん)のスポット。それは途中にある冬眠駅だ。駅が冬眠をするとは何とも信じがたい光景である。それはそれをしていいほど利用客がいないということを意味しているのだ。

 深川(ふかがわ)から最初に落ち合う冬眠駅は雨煙別(うえんべつ)。駅名自体がすごいがそこは北海道の個性としよう。この次に会う冬眠駅は雨煙別の隣である政和温泉(せいわおんせん)。確か政和温泉は休業中どころか温泉資源の枯渇が心配されていると聞いたことはあったが・・・。今営業しているのかどうかは分からない。しかし、今の時期政和温泉に泊まる列車は一本もない。イコール温泉も営業していないというのは分かる。この先あと2つ臨時駅はあるがそれは朱鞠内(しゅまりない)を越えないとやってこない。

 上幌加内(かみほろかない)を発車して、しばらくすると駅を通過したことが分かった。すべての駅に止まらない普通列車だ。なお、雨煙別(うえんべつ)政和温泉(せいわおんせん)。そして、朱鞠内(しゅまりない)を越えてからある蕗ノ台(ふきのだい)白樺(しらかば)は12月10日から翌年の4月20日(1980年から毎年)まで、すべての普通列車が通過する。その間営業を全く行わない駅なのだ。どの駅にも共通する点は利用者皆無。私も営業中の蕗ノ台に行ったことがあるのだが、止まる列車は上下合わせて6本。周りに人家はなく、鳥の声だけが響いていた。たまに通る列車のエンジン音があたりにこだまするだけであった。今現在朱鞠内(しゅまりない)名寄(なよろ)間は3往復。つまり、その列車が停車し終わると列車が来ないのだ。さらに、駅名看板は線路側に向かって前のめりになっていて、列車時刻表は手書きであった。

 朱鞠内(しゅまりない)まで来て時間をつぶし、その先の列車を待つ。16時21分の列車に乗車したら、その先名寄まで行く。すべての駅に止まらない普通列車の再開だ。途中の蕗ノ台(ふきのだい)を通過したとき、ホームがどのような感じか見てみた。春にだんだんと芽吹いてきた若葉の緑の中に茶色の短いホームがひっそりと会った。今列車は停車しない。それなのにホームに一人。人の姿があった。恐らく鉄道ファンだろう。次の白樺でも短いホームがひっそりとあるだけ。そこも通過して、列車は25分ほど走り続けた。


 17時20分。終点名寄に到着。ここで宿をとっている。明日は車で蕗ノ台まで行ってみようと思う。

深名線:全長121.8キロの路線。赤字の産出状況は常に上位10位にランクインするほどの赤字路線(昭和54年に100円稼ぐのに2700円以上かかる路線であった)。特定地方交通線という廃止対象路線となるも、道路整備が進んでいないことを理由に1995年まで運行が続けられた。なお、朱鞠内では羽幌(はぼろ)から敷設される名羽線(めいうせん)の計画があったものの、計画段階で凍結されている。

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