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鹿児島県のL学園の普通科二年に、麗子という少女がいた。その少女は類い稀な美少女だった。当然ながら少女に心を奪われる男子生徒は少なくなかった。しかし、少女の方は無関心だった。その少女に執心の一人、悟が、無二の親友でもあり、ライバルでもある祐介に、恋の悩みの相談をした。悟は、純情であったから、思い込めば死をも恐れぬという性格であった。祐介は、その性格を知っており、的確なアドバイスをした。
だが、祐介のアドバイスも空しく、悟は、意中の人に振り向いてもらえず、絶望の極致に立ち、現実から自分を逃避させた。鹿児島駅のプラットホームから身を投げたのだ。
それから二年の歳月がたち、少女麗子は東京のT大学法学部に籍を置いた。そこには、祐介も在籍しており、キャンパスで二人は親しく会話を楽しんでいた。
「ねえ、祐ちゃん新聞見た。横浜のK中学校で、学内トップの男の子が自殺したんだって。その男の子、恋に悩んでいたのよ。それを友達に『アタックしろ!』といわれ、そうしたけど相手にされず意気消沈して死んだんだって。おもしろい事に、その友達と意中の女の子が内通関係にあり、二人が組んでその男の子をトップの座から引きずりおとしめたんだって。まるで二年前の私たち----」
それを聞いても祐介は、ニヒルに微笑を浮かべるだけであった。