大失態の一夜目1
待て、何をやっていたの、私は?
目の前で眠る端正な顔の青年を、見つめながら、記憶をたぐりよせる。
サファイアブルーの瞳でこちらをうかがうのは我が王子である、華のようなかんばせのウィリエール様だ。明り取りの窓から注ぐ朝日を浴びて、ブロンド髪がきらめいていた。
その方がなぜ、今私の隣で眠っているのだろう?と寝ぼけた頭で思うのだ。
「おはよう、ミリア」
と柔らかな笑顔と穏やかな声音で言われてしまい、私はすっかり目が覚めた。
「な、なぜ?」
スカスカする身体を見おろせば、上も下も、何も身につけていない。
「なぜって、覚えていないの?」
ウィリエール様もまた、何も身につけていない。至近距離にウィリエール様の体温を感じ、焦りが生まれて来た。私は身体を離して、起きあがる。
「全部見えてしまうよ?」
ウィリエール様は鷹揚な調子でおっしゃった。心許ない胸元を手で押さえながら、私は寝台から降りようとする。けれど、片手をウィリエール様に掴まれた。
「待って」
「ウィリエール様、申し訳ありません。寝所を間違えたようです」
「間違えではなかったと思うけど」
「ここは、ウィリエール様の寝所ですよね。私の宿舎ではありません」
「ここは、どっちでもないよ。王宮の一室だ。空き部屋の所在を聞いたら、キリムドお兄様が教えてくれたんだ」
聞きなれないお名前が出てきたので、私は首をかしげる。
「なぜ、ウィリエール様がここへ?」
「だって。後悔させません、とミリアは言っていた」
「たった今、私は後悔しています。ウィリエール様の前で、こんな姿を晒すなんて!」
「とても、可愛らしかったよ」
ウィリエール様は微笑んで私を引き寄せた。私の口元に、ウィリエール様は指先を当ててくる。
「訴えてくださいっ!王子に不貞な行為を行ったと」
「え、なんで?これは、愛情交換行為だよ」
「いえ、あの。これは、恐らく」
間違えだ。
これは私の二度の失態から起こった―――――
とんでもない間違いに違いない。




