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第6話 端正で優雅な小説家として、私はただ「翼」と「鷹」という字に少し反応が早いだけです。

本当は、自分の創作を人に見せるのはあまり好きじゃない。


八歳の頃から小さな物語を書きたいと思っていた。

でも自分の文章が上手くないことは分かっていたから、必死にたくさんの作品を読んだ。


やっと書き上げた原稿を、侍女の朝筱に見せた。

彼女は読み終えると、しばらく黙っていた。

そして、淡々とこう言った。




()()()()()()()()()()

書くのはやめたほうがいい」




その一言で、私は筆を持つのが怖くなった。

しばらくは情熱すら失っていた。



先皇と建国の大将軍が一緒に湯浴みをして、そのまま眠りにつく物語。




あれは本当に、そんなに「人に見せられない」ものだったのだろうか。


学内で才女選抜の募集があると聞いた時も、

申請書を手にしながら、どこか自分が馬鹿みたいに思えた。


「ねえ、侑晴。ずっと文芸部の休憩室の前をうろうろしてるけど、誰か探してるの?」


「六皇子殿下? あの……」


六皇子殿下、翼鷹の眩しい金髪が私の目の前に現れた。


六歳の頃から、継父の縁で皇家の半江園別院へ出入りしていた。

八歳のときに会った翼鷹は、とても物静かで、肌も白くて......。


確か、梓談が少しからかったのを、私が止めたこともあったはずだ。


ここ三年ほどはあまり訪れていなかったけれど、

まさかこんな場所で再会するなんて。


しかも、


あの静かな少年が、こんなにも陽光の似合う青年になっているなんて思わなかった。


「申請書を出しに来たんだろ? ちょうど星御|師姐《(しし)に用がある。僕が渡しておくよ」


「待って! 待って……!」


手元の申請書が引き抜かれそうになり、私は震える声で叫んだ。




水色の髪を指で整え、必死に落ち着こうとする。




翼鷹六皇子は静かな顔で、抜き取った紙を顎に当てた。


「少し考えたいの。私……“人に見せられる”作品なんて書けない気がして」


「だからこそ応募するんだろ? 出してから、やり方を探せばいい。

僕が幹部に渡しておくよ」


彼は眩しいほどに笑い、私の申請書を持って休憩室へ入っていった。

私だって、方法を探せるはず。


「人に見せられる」物語を書く方法を。

入部後、執筆は思った以上に順調だった。


気づけば私は「予備四大才女」の一人に選ばれていた。

翼鷹に、きちんとお礼を言いたい。


二年間、ずっと胸の奥にしまったまま。

きっと、いつか。


この想いを伝える方法も、見つけられるよね。


回想を終えた私は、再び梓談の顔を見つめた。

すると彼女は突然目を見開いた。どうやら、この物語の「要点」に気づいたらしい。


狩犁シュリ益公エキコウの隣に座っていた。仔魅花の香りは灼ける炎のように立ち上り、

彼の頬をわずかに赤く染める。

彼もまた益公の勧めに影響され、先ほど盆浴を終えたばかりで、全身にまだ熱が残っていた。


益公の頭がそっと狩犁へ近づく。香櫻麗の香りを、狩犁の鋭い嗅覚が捉える。

まるで狼の尾にくすぐられるようで、狩犁は思わず笑い出した。


霜雪のように静かな起伏と、自身の熱い体温が溶け合い、

生死を共にした記憶がこの小さな部屋の中を巡る。


まだ半刻も経たぬうちに、益公は先に決意の眼差しで狩犁を見つめ、

海の匂いと仔魅花の香りが混ざった気配を嗅ぎ取る。


急がず騒がず、まるで縄張りを巡る狼のように。

仔魅花の香りはまず口内へ入り、やがて喉へゆっくりと滑り、再び口内へ戻る。

その香りはあまりにも柔らかく、益公は静かに唾を飲み込んだ。


そして仔魅花の香気が食道の二十五センチに達したところで、

それが限界となり、益公もそれ以上複雑な香りを感じ取ることはできなかった。」


想像力というものは、物語を読むその瞬間、聞き手を別の世界へ連れていく力のことだ。


そして彼女は、そのまま次のページの段落を読み進めていった。


「狩犁は狩人のように貪欲で素早く、仔魅花の香りを口内と舌の上で何度も往復させ、

長く留めてからそっと吐き出した。

香りが消えぬうちに、一息でその余韻を食道およそ二十センチの位置まで押し送る。


そしてまた、かすかにその花香を吐き戻すと、後味は潮のような塩気を帯びて口腔へと逆流してきた。


益公は恍惚とした表情のまままだ反応できずにいる。

狩犁は続けて笑いながら膝をつき、跪いた姿勢で再び香櫻麗の気配を迎え、

その香りを直接口内へと招き入れた。

狩犁はそれらの香気の異なる可能性を探ろうとし、姿勢を変えて静かに腰を下ろす。


仔魅花の香りは直径五センチほどの球体のように凝縮し、

狩犁の骨盤のあたりからゆっくりと立ち上がるかのように感じられた。


そして狩犁は、その温かな香気を静かに受け入れていく。

最初は五センチほど入り込み、


やがて頬をわずかに紅くしながら座り直すにつれ、

香りの「球体」は十から二十センチの間で揺れ動き、

押し進められるたびに花香は異なる感覚をもたらした。


最後におよそ二十二センチほどまで完全に収まると、

仔魅花の香りは腹腔の奥深くで安らかに留まり、

まるで生命力を蓄えたエネルギーのように感じられた。


益公の瞳にも次第に迷いの色が浮かび、

二人と香りが織りなす不思議な交感の中へと静かに沈んでいった。」


これらの一節を思い浮かべながら、私は思わず深く息を吸い込む。

なんだか、文学的な造詣がまた一段高まった気がした。


「共有ありがとう! それでね、明日って空いてる?

凱旋大典の関係で大学院は修会がお休みなの。午後から"恋マ湖"で水遊びすることになって!」


彼女の声は少し早口で、目もきらきらしている。


梓談とは六歳の頃から一緒に育った、いわば幼なじみで親友。


この莓侑晴(マイ ユウセイ)、声の揺れでだいたい事情は察する。


「誰が行くの?」


「うちのグループよ!

親睦を深めつつ、課題についても意見を集めようって。


黄『翼鷹』が私に声をかけてくれて、

彼は蘭兒墨も誘うって。霜參仁は少し遅れて来るらしいわ。


あとね、うちのクラスの『準四大才女』、

あの古風な巫女の後継候補、艾碧落(アイ ヘキラク)にも声をかけたの。


一人で行くのはちょっと変かなと思って。でも、仲間外れみたいにもなりたくなくて……。」


私の頭は高速で回転する。


淑女としてあるべき返答を、脳内で何度もリハーサル。


慎重で端正な淑女なら、招待には落ち着いて応じるべき。


ゆっくりと、余裕を持って。



「空いてるわ!」

いま、「ブックマーク」してもらえるような展開をどう構成するか考えています。

もし「こんな展開が読みたい」などありましたら、

ぜひ教えてください。

いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。

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