第11話 少女の青春幻想は、初夏にして砕け散った
私は頬をつねった。痛みの加減が、妙にちょうどいい。
私は息を吸って、目の前の状況を冷静に分析する……。
どうして?
どうして夢じゃないのよ、ああ!
ああ! ああ!
彼女は右手で湖面に触れ、
湖水に優雅な笑みのような弧を描いた。
左手を伸ばして、
大きくて白い蓮の花のようなつば広帽をそっと押さえる。
彼女が顔を上げると、その笑みは花籠の百合のようで、
雰囲気は冷ややかで、
まるで孤墳を照らす月光みたいだった。
私の頭の中で、ある理屈が高速で組み上がっていく!
「待って、どうして 師姐がここに?
まさか、 師姐に似た師兄とか?」
「違う!
あれは 師姐よ!
翼鷹の隣にいるってことは、
二人って昔から知り合いだったの?」
「私たちが来る前から、
もうここにいたの?
それとも、さっき足を滑らせて湖に落ちて、
ここまで流れてきて助けられたとか?
あの笑顔は、助けてもらったお礼で礼儀として浮かべてるだけ?
それとも?」
「待って、あの二人、
そんなに近くに立つのっておかしくない?
星御師姐って婚約してなかったっけ?」
「師姐、
その位置ちょっと近すぎない?
それとも……さっき翼鷹が滑りそうになって、
横から支えようとしただけ?」
「近すぎるってば!
早く離れてよ!」
私は口元を押さえて、
次々あふれる叫びをどうにか飲み込みながら、
こっそり梓談の顔を見た。
梓談は楽しそうな顔をしていて、
目の前の妙な空気にまるで気づいていない。
私はさらに艾碧落の横顔を見る。
艾碧落は無表情で、
まるで何もかも見抜いているみたいだった。
「我が友、侑晴よ!
たった今、心の声が全部口から出ていたぞ。
実に想像力豊かだった!
だが残念ながら、
推測するに星御 師姐は最初からこの集まりに誘われていたみたいだ!」
艾碧落のその一言は、崖際に降る大雨みたいだった。
一つ一つの言葉が細かな岩になって、
ゆるい土では支えきれず、そのまま斜面を滑り落ちていく。
私の胸の鼓動は、
その砕けた岩が湖面に落ちて水しぶきを上げる音より、
ずっと大きかった。
頭の中では、
昨夜のウサギたちが素早い足取りで私の周りをぐるぐる回って、
必死に歌っているみたいだった。
私はただ、水遊びをして青春の味を体験したかっただけなのに、
どうしてこうなったの?
どうして圧力テスト会場みたいになってるの!?
あの青春幻想は……
こうして初夏のうちに崩れ去ったの?
私たちは最後に集合場所まで歩いていった。
たった数メートルのはずなのに、
まるで一昼夜歩いたみたいに感じる。
みんなが揃うと、
翼鷹が私たち三人を湖辺の浅瀬へ呼んだ。
児墨も立ち上がって私たちと合流し、そのまま一緒に向かう。
水位はちょうどふくらはぎの半ばあたりで、
湖水のひんやりした感触が足首から伝わってきた。
碧落はすぐに翼鷹と星御 師姐のそばへ駆けていき、
水をすくって星御 師姐にかけた。
星御 師姐もすぐにやり返し、
二人はそのまま水をかけ合い始める。
黄翼鷹はそんな私たちに向かって手を振った。
「梓談、侑晴、吾らと一緒に水遊びしないか?」
二メートルほど先で翼鷹が明るく呼びかけてくるのを見て、
梓談が私たちの代わりにぶんぶんと首を横に振った。
はあ、本当に残念。
実は前に私の泳ぎ方、
弟の侑儀から「半壊れの白ガチョウ」って言われたことがある。
ここで何かあって、
それがさらに悪化して「瀕死の金ガチョウ」に進化したらどうするの?
もうこういう集まりに参加できなくなったら困る。
だから……ここは梓談に任せて、
このお誘いは一緒に断るはずだった!
「え? 侑晴、お前も一緒に水遊びするのか?」
今、翼鷹の眩しい笑顔が、
私の半メートル先にある……。
どうしてこうなったの?
さっき……そんなに水の流れが強くて、
私をここまで押してきた?
私は気まずさでいっぱいになりながら首を横に振り、
慌ててその場を離れた。
そのまま元の位置に立っていた梓談と児墨のところへ戻り、
遠くの水面には魚がいて、とても可愛い。
赤い鱗に、白い背びれ、
黄色い髪……。
……なんで私、翼鷹のいる方を見てるの?
あっちに魚なんていないのに。
私は慌てて、水面に映る魚影を探した。
霜参仁はというと、両膝を抱えて岸辺に座っていた。
大柄な彼は、どっしりした山みたいに落ち着いていて、
ずっとこちらのほうを見ていた。
しばらく遊んでから木陰に戻って休むことになり、
私は肉まんを取り出した。
最初は天気を読み違えたと思っていた。
こんな暑さじゃ食欲もなくなるはずなのに、
肉まんを見ていると、なんだか心の中が少しひんやりする。
「すみません、六皇子殿下。
私、肉まんを作ってきたんです……。
この暑さですし、
食べにくいのも普通ですよね。
ふふ……!」
「侑晴、今のって自分で作ったってことか?
すごいな!
すごくおいしそうだし、
今食べてみる。ありがとう!」
期待で目を輝かせている梓談はもちろんだけど、
黄翼鷹は肉まんを受け取ると、
その場で私の目の前で食べ始めた。
胸の中にあった不安まで、
目の前の翼鷹が全部食べてしまったみたいで、
私はまた、陽射しの熱を感じられる気がした。
こっそり、自分の大好きな食べ物を宣伝してみました。
皆さんはどんな食べ物が好きでしょうか?
よければ、コメントで教えてもらえたら嬉しいです。




