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大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明


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第40話 不法投棄御殿と、改築の条件

 廃棄物集積場を抜け、うちらの前に現れたのは、巨大な「肉」と「鉄」が継ぎ接ぎ(つぎはぎ)にされた、悍ましい(おぞましい)外観の洋館やった。

 屋根からは巨大な肋骨のようなものが突き出し、窓ガラスの代わりに、何かの魔物の眼球がギョロギョロとうちらを監視しとる。


「……あー、趣味悪いわぁ。これ、建築確認申請通ってへんやろ」


 うちは鼻をつまみながら、重厚な玄関の扉を蹴飛ばすようにして開けた。

 中は案の定、地獄のゴミ屋敷やったわ。

 廊下には、かつての冒険者たちの遺品やら、中途半端に魔法をかけられて腐りかけの召使いやらが、文字通り山積みになっとる。


「……いらっしゃい。我が『永劫のコレクション』へ。……まさか、掃除屋風情がここまで辿り着くとはね」


 吹き抜けのホール。その階段の上に、真っ黒な法衣を纏った男が浮いとった。

 蒼白な肌に、落ち窪んだ瞳。屍術師ネクロマンサーゾルゲ。

 そいつは、自分の周りに浮遊する「生首のコレクション」を愛おしそうに撫でながら、冷たい笑みを浮かべて見下ろしてきた。


「静江さん、あれがゾルゲです。……周囲に展開されているのは、高密度の怨念シールド。迂闊うかつに近寄れば、精神を焼き切られます!」


 カイルが警告を発し、アレンが聖水のモップ槍を構えて一歩前に出る。

 だが、うちはアレンの肩を叩いて、悠々とホールの真ん中まで歩み出た。


「おい、ゾルゲの兄ちゃん。あんたがこのゴミ屋敷の主か?」


「ゴミ屋敷……? 失礼な。これは死を克服し、美しき停滞を体現した『芸術』だよ。……王都に撒いた種も、新しい素材を呼び込むための撒き餌に過ぎない」


「芸術ぅ? 笑わせんといて。……ええか、おばちゃんの目から見ればな、これはただの『管理不足』と『不法投棄』やわ。……見てなはれ、この廊下の角の埃! それに、その浮かせてる生首! 冷蔵庫の奥に、食べ残しのタッパー何個も溜め込んでる独身男の部屋と同じ匂いがするわ!」


 うちはアイテムボックスから、王宮で認めて(したためて)きた**『特殊清掃・見積書兼請求書』**の束を、ゾルゲに向かってバサリと投げつけた。


「あんたな、この王都への汚染損害賠償、しめて金貨三千枚や。……あ、もちろん、今ここで現金で払えなんて言わへん。あんたにそんなカネないのは、この部屋の惨状を見れば分かるわ」


「……何が言いたい、女」


 ゾルゲの瞳に、不快そうな色が混じる。うちはニヤリと笑って、サングラスをずらした。


「……リフォームや。あんた、このままやと自分のコレクションに押し潰されて自滅するで? ……提案したげるわ。この屋敷の『管理権』をうちに譲りなはれ。おばちゃんがここを『居抜き』で買い取って、魔族領随一の『リサイクル・プラント』に改築したげるわ」


「な……私の聖域を、工場にするだと……!?」


「当たり前や! 無駄に怨念溜め込んでんと、エネルギーとして再利用しなはれ。……ええか、アレン! カイル! 掃除の邪魔する家具アンデッドは、全部『解体』して素材にしなはれ! ゾルゲ! あんたが払われへん賠償金は、この屋敷の『土地と建物』で、値切り倒して回収させてもらうで!」


 おばちゃんの「強欲な改築提案」に、ゾルゲの顔が驚愕と怒りで真っ赤に染まった。

 魔族領の「不法投棄王」と、大阪の「最強掃除屋」。

 世界を跨いだ、命がけの「リフォーム交渉」がいよいよ決戦の火蓋を切ったんや! 


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