表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第14章:東西家族の大集結! ルミナ湾の特大バーゲンセール

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/240

第220話 無敵艦隊の襲来と、特大ワゴン(地雷原)へのご案内

 数日後。

 ルミナの海は、嵐の前の静けさという言葉がふさわしい、異様な緊張感に包まれとった。

 やがて、朝霧が晴れた東の水平線を、文字通り「隙間なく」埋め尽くすようにして、真っ白な帆と分厚い鋼鉄の装甲が姿を現した。

 神聖アルビオン帝国が誇る、皇帝直属の『無敵艦隊・本隊』五百隻や。

 先遣隊五十隻、そして海上封鎖艦隊三百隻を失ったという報告は、すでに彼らの耳にも届いているはずやった。それでもなお、圧倒的な数の暴力を信じて疑わない彼らは、海鳴りのような進軍の音を立てて、一直線にルミナの港へと迫ってきとった。


 旗艦の甲板では、金銀の装飾が施された豪華な鎧を纏う本隊の総司令官(将軍)が、冷徹な目でルミナの街を睨み下ろしとった。


『……先遣隊や封鎖艦隊の通信が途絶えた時は何事かと思ったが。なるほど、東の野蛮人や海賊の寄せ集めどもが、この港に一極集中しているというわけか』


 将軍の隣で、副官が双眼鏡を覗き込みながら報告する。


『閣下。ルミナの防衛網ですが、左右には強固な海賊船と異形の鉄甲船が陣取っておりますが……なぜか、中央の海域だけがポッカリと空いております。兵力が足りず、中央の防衛が手薄になっているものと思われます』


 将軍は、フンと鼻で笑った。


『愚かな。たかが下等な寄せ集めの連合軍が、我が帝国の正規艦隊に勝てるはずがないのだ。中央の隙間から一気に港へと雪崩れ込み、あの生意気な街ごと火の海にしてすり潰してしまえ! 全艦隊、中央突破だ!』


 将軍の号令を受け、五百隻の無敵艦隊は、我先にと手柄を求めて、ルミナ湾の中央の空いたスペースへと密集しながら突撃を開始した。

 ……だが、彼らは知らへんかった。

 その「ポッカリと空いた中央」こそが、オカンとインテリ組が仕組んだ、最悪の罠やということを。


===========


 ルミナの防波堤の上。

 うちは特大のゴミ拾いトングを肩に担ぎ、特大のサングラスを押し上げて、迫り来る五百隻の艦隊を見下ろしとった。


「……フフッ。特売のワゴンに、お客様が我先にと殺到しとるわ。ほんまに、強欲な連中やで」


 うちの隣には、カイル、そして大和郷の二人の天才軍師、黒戸と半月が並び立っとる。

 黒戸がパチパチと算盤を弾き、半月が涼しい顔で扇子を揺らした。


「……静江さんの読み通り、見事に中央のキルゾーンへと誘い込まれましたね。敵艦隊の八割が、すでに我々が敷き詰めた『ポイント』の真上を通過中です」


 半月の報告に、カイルがインテリ眼鏡を中指でクイッと押し上げ、悪魔のように微笑んだ。

「ええ。海底に設置した、大和郷の火薬と私の魔導技術を融合させた『特大の機雷(地雷)』。……起爆の準備は、いつでもできています」


「よっしゃ!」


 うちはアイテムボックスから拡声魔道具メガホンを取り出し、空に向かって突き上げた。

「お待たせしました、お客様! 本日の超特大タイムセール、これよりスタートや!! カイルちゃん、スイッチ押しなはれ!!」


「御意! 海底の魔力、臨界突破オーバーロード!」


 カイルが白銀の杖を地に力強く突き立て、莫大な魔力を流し込んだ。

 直後。

 ルミナ湾の中央、密集して進軍していた無敵艦隊の足元(海底)から、太陽が爆発したかのような凄まじい閃光が放たれた。


 ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!


 海が、文字通りひっくり返った。

 何十本もの巨大な水柱が天を衝くように立ち上り、海底に仕掛けられていた無数の機雷が一斉に牙を剥いたんや。


『な、なんだぁぁぁっ!?』


『海底から爆発!? 船体が……船体が割れるぅぅっ!』


 五百隻が密集していたことが、最悪の仇となった。

 下からの凄まじい爆発の衝撃をモロに受けた帝国艦隊は、次々と鋼鉄の装甲をへし折られ、宙へと吹き飛ばされていく。さらに、隣の船とぶつかり合い、引火し、絵に描いたような巨大な「玉突き事故(大渋滞)」を引き起こしたんや。

 たった一瞬で、誇り高き無敵艦隊の陣形は完全に崩壊し、海峡はパニックと阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。


===========


「今だ! 敵の陣形が崩れたぞ! おばちゃん専用レジ(血路)を通って、横っ腹から食い破れェェッ!」


 特大の爆発を合図に、両サイドで待機していたオカン・ユニオンの世界連合軍が、怒涛の勢いで動き出した。


「――チェストォォォォォォッ!!」


 佐吉と久義が率いる大和郷の鉄甲船団が、混乱して身動きが取れない帝国艦隊の側面へと猛スピードで激突する。

 鋼鉄同士がぶつかり合う轟音と共に、狂戦士たちが抜身の日本刀を掲げて敵の甲板へと雪崩れ込み、マニュアル通りにしか動けないエリート兵たちを次々と叩き伏せていく。


「ルミナの騎士の剣、見せてやります! 『刹那の跳躍』!」


 アレンも風の魔法を足元に纏い、沈みゆく敵船の残骸を飛び石にして、神速の動きで敵の指揮系統(魔導砲の砲座や通信機)を的確に斬り飛ばしていった。


「ば、馬鹿な……。我が無敵艦隊が、たった一度の爆発と、こんな野蛮人どもの突撃で、瓦解していくというのか……!」


 旗艦の甲板で、総司令官の将軍が絶望に顔を歪めて叫ぶ。


「野蛮人やない。あんたらが『お客様の心理』を読めてへんだけや!」


 将軍の背後から、腹の底に響くような関西弁が降ってきた。

 将軍が弾かれたように振り返ると、そこにはアレンの風魔法で送り込まれ、甲板のド真ん中にドスンと降り立ったうちが、特大のゴミ拾いトングを肩に担いで立っとった。


「き、貴様は……! 噂に聞く、ヒョウ柄の魔女か!」


 将軍が腰の剣を抜き放ち、ギリッと歯を食いしばる。


「魔女ちゃうわ! 出張鑑定の占い師や!」


 うちはトングの先を、将軍の鼻先にビシッと突きつけた。


「あんたら、自分の数が多くて強いからって、完全に足元がお留守になっとったわ。『ここに隙間がありますよ』って言われたら、ホイホイと密集して飛び込んでくる。……スーパーの特売ワゴンに群がって、周りが見えへんようになっとる強欲な客と、全く同じ心理やで!」


「ふ、ふざけるな! 我ら神聖アルビオン帝国を、スーパーなどという下賤な例えで……!」


「下賤やと!? 生活舐めたらアカンで!」


 うちは一歩踏み込み、将軍を凄まじい眼光で睨み据えた。


「あんたらは、力と数で何でも押し通せると思っとる! でもな、現場で泥水すすって、毎日を必死に生きてるうちら『世界連合』の知恵と絆の前に、そんな見掛け倒しの力なんか通用せえへんのや! あんたらのブラック企業(帝国)、今日で完全に倒産おしまいやわ!」


「お、おのれぇぇッ!」


 激昂した将軍が剣を振り下ろそうとした、その瞬間。


 ガァァァンッ!


 アレンの長剣が横から閃き、将軍の剣を見事に弾き飛ばした。

 さらに、佐吉が背後から回り込み、将軍の膝裏を蹴り飛ばして甲板に這いつくばらせる。


「……勝負あったな。さっさと白旗上げなはれ」


 うちが冷たく見下ろすと、将軍は完全に戦意を喪失し、涙と鼻水を流しながら「こ、降伏だ……」と崩れ落ちた。

 五百隻の無敵艦隊を相手にした、過去最大スケールのルミナ湾攻防戦。

 それは、東西の天才たちの頭脳と、おばちゃんの「特売ワゴン理論」が完璧に融合した、オカン・ユニオンの完全勝利によって、痛快な幕を閉じたんや!



読んでくれてありがとうございます!


「面白い!」「続きが気になる!」「応援したい!」と思っていただけたら、

作品ページ上部の【☆評価】【ブックマーク】、そして【リアクション】ボタンをポチッと押していただけるととても励みになります!


みなさんの応援が、次回更新の原動力になります。

引き続きよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ