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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第13章:未開のジャングルと荒野の魔族! 大自然の特大クレーム対応

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第204話 黒煙の活火山と、不完全燃焼の不死鳥

 大渓谷の頂上にそびえ立っていた帝国の巨大アンテナを強制撤去し、有翼の獅子グリフォンのノイローゼを解決したうちら。

 次なる「言葉の通じへん迷子」を求めて、さらに新大陸の未開の奥地へと足を進めとった。


 数日の行軍を経て、うちらの目の前に現れたのは、見渡す限りの赤茶けた岩肌……ではなく、地面一面に「黒い灰」が降り積もる、荒涼とした『火山地帯』やった。

 遠くには、天を衝くような巨大な活火山がそびえ立ち、その火口からはモクモクと分厚い煙が立ち上っとる。


「……あー、今度は灰か! せっかく砂埃を落としたばっかりやのに、髪の毛にススが絡まってシャンプーが大変やわ! おまけにこの煙、なんか変な匂いがするで。焼き芋のええ匂いちゃうわ、ただの嫌な煙や」


 うちは特大のゴミ拾いトングを杖代わりにして、ザクッ、ザクッと火山灰を踏みしめながらブーブーと文句を垂れた。


「静江さん、気をつけてください。確かにこの煙は変です。大自然の火山活動なら、もっと純粋な硫黄の匂いがするはずですが……この煙には、帝国特有の『魔力廃液の焦げたような悪臭』が混じっています」


 アレンがマントで口元を覆い、油断なく目を細める。


 その時やった。

 上空を覆っていた分厚い火山灰の雲を切り裂いて、けたたましい鳴き声とともに、巨大な『火の玉』が真っ逆さまにうちらのいる岩場へ向かって墜落してきとったんや。


「な、なんや!?」


「静江さん、下がって!」


 アレンが素早くうちを庇って前に出る。


 ズドゴォォォォンッ!!


 黒い大地に激突し、凄まじい灰と土煙が舞い上がった。

 それが晴れた後に姿を現したのは、全長数十メートルはあろうかという、炎を纏った巨大な怪鳥――伝承に語られる神霊『不死鳥フェニックス』やった。


 だが、本来なら眩いばかりの紅蓮の炎を纏っているはずのその姿は、今は見るも無惨やった。

 美しいはずの羽毛は黒くすすけ、纏っている炎は勢いがなく、まるで消えかけの焚き火のようにブスブスとドス黒い煙を上げるばかり。


『ケホッ……ゲホォォッ! キシャアアアッ!』


 不死鳥は、ひどく苦しそうに咳き込みながら、イライラした様子で巨大な翼をバタつかせ、周囲に「黒焦げの火の粉」を無差別に撒き散らして暴れ回り始めたんや。


===========


「アレン! あの火の粉、直撃したら火傷じゃ済まへんで!」


「分かっています! 風よ、僕の剣に宿れ! 『刹那の観測』!」


 アレンが神速の踏み込みで前に出、飛来する無数の火の粉と熱風を、目にも止まらぬ速さで次々と剣圧で弾き飛ばしていく。

 ジュワァァッ! バキンッ!


「……静江さん! こいつ、明確な敵意があって攻撃してきているわけじゃありません! 自分の炎が上手く制御できずに、パニックを起こしています!」


 アレンが熱風に煽られながら叫ぶ。


「見りゃ分かるわ! 冬場に灯油が切れかかったストーブみたいに、ブスブス言うとるやないか!」


 うちは、灰が舞い散る中でアイテムボックスからパイプ椅子をガシャンと広げ、どっかと座り込んだ。


「アレン! あんたはあの鳥の八つ当たりを防ぐことだけに集中しなはれ! おばちゃんが『原因』を突き止めるで!」


 うちは特大のサングラスを押し上げ、熱気の中で使い込まれたタロットカードを取り出した。

 今回は、過去の要因・現在の状況・対策を導き出す『スリーカード(三枚引き)』のスプレッドや。


 バシッ、バシッ、バシッと、岩のテーブルに三枚のカードを展開する。

 出たのは、『皇帝(The Emperor)』の逆位置**、『節制(Temperance)』の逆位置、そして『力(Strength)』の正位置や。


「『皇帝』の逆位置は、傲慢な支配と搾取。やっぱり、過去に帝国の連中がこの山に手ェ出しよったんやな」


 うちはカードの絵柄をデコネイルで弾き、黒煙を上げて身悶えする不死鳥をジッと鋭く観察した。


「そして現在の状況を示すのが『節制』の逆位置。循環の悪化と、極度のエネルギー不足や。……なるほどな。あの不死鳥、怒り狂っとるんやない。極度の『ガス欠』で火が点かんくて、イライラして八つ当たりしとるだけやわ!」


===========


 火が点かないライターを何度もカチカチやって、イライラしているのと同じ状態。

 それが、あの神霊の狂気の正体やった。


「アレン! あの火山の頂上、火口のあたりをよう見てみぃ! なんか不自然な『人工物』がへばりついてへんか!」


「人工物……? はっ!」


 アレンが『刹那の観測』の極限の視力を全開にし、暴れる不死鳥の背後、遠くそびえる火山の頂上をスキャンする。


「……見えました! 静江さん、火口の縁に、巨大なパイプを無数に突き刺した『要塞のようなプラント』が建てられています! あのパイプが、火山のマグマ(大地の魔力)を直接吸い上げているんだ!」


「やっぱりな! 帝国の連中が、この山の地熱と魔力を搾取するために建てた『特大の地熱抽出プラント』やわ!」


 帝国の傲慢な施設が、火山のエネルギーを横取りしている。

 そのせいで、この山の主であり、火山のエネルギーと直結している不死鳥に魔力が回らなくなり、「ガス欠(不完全燃焼)」を起こして空から墜落してしもうたんや。


「なんや、魔力が足りんくて火が点かへんのか! そら、自分の家のガス管勝手に止められたら、誰かてイライラして暴れたくなるわな!」


 うちはパイプ椅子から立ち上がり、特大のゴミ拾いトングを肩に担ぎ直した。


『キシャアアアァァァッ!!』


 不死鳥が、不快な黒煙を撒き散らしながら、うちらを鬱憤晴らしの標的と見なして突進してきた。


「……アレン! 対策を示すのは『力』の正位置や! 根気強いケアと、優しく手懐けることが必要やって言うとる!」


「つまり、どうするんですか!?」


「ガス欠のストーブに無理やり火ぃ点けたらアカン! あいつの動きを一瞬だけ止めて、おばちゃんが極上の『着火剤(栄養補給)』を食わせたるで!」


「了解しました! 踏み込みの隙を作ります!」


 極度のガス欠で不完全燃焼を起こした不死鳥と、原因を完全に特定したおばちゃん。

 理不尽なエネルギー泥棒(帝国)に横取りされた魔力を補うための、オカン流・強制栄養補給が、黒煙の火山地帯でいよいよ本格的に幕を開けようとしとったんや!



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