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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第13章:未開のジャングルと荒野の魔族! 大自然の特大クレーム対応

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第199話 霧の巨大湖と、ヘキサグラムが暴く動く島

 熱帯の巨大蛇神ケツァルコアトルの身体から、帝国の特大アンカーを「こんにゃく湿布」と「テコの原理」で見事に引っこ抜き、南の森に平和を取り戻したうちら。

 次なる「言葉の通じへん特大クレーム」を求めて、さらに未開の奥地へと足を踏み入れとった。


 数日間に及ぶジャングルの行軍を抜けると、目の前には海と見紛うほど広大な『湖』が広がっとった。

 山々に囲まれたカルデラ湖のような地形で、水面には常に濃い霧が立ち込め、神秘的というよりは、どこか息苦しい重圧感が漂っている。


「……あー、また湿気の多いとこに出てしもうたわ。せっかくジャングル抜けてお肌がサラサラになったと思たのに、これじゃまた髪の毛が爆発するで」


 うちは、特大のゴミ拾いトングを杖代わりにして、湖畔のドロドロの泥を踏みしめながら盛大に愚痴をこぼした。


「静江さん、文句を言いながらも歩くペースが全く落ちないのはさすがです。……それにしても、奇妙な湖ですね。鳥の鳴き声も、魚が跳ねる音も全くしない。大自然のど真ん中なのに、まるで『時が止まっている』ようです」


 アレンが、西の大陸の長剣の柄に手を当てて、油断なく霧の向こうを睨みつける。


「……ん? アレン、ちょっとあの霧の奥、見てみぃ」


 うちが特大のサングラスを押し上げて指差した先。

 真っ白な霧がわずかに晴れた湖のド真ん中に、ポツンと一つの『巨大な島』が浮かんでいた。

 ドーム状に盛り上がったその島は、岩肌がむき出しで、不自然なほど木が一本も生えていない。


「島……ですね。でも、あんな岩だけの不毛な島が、なぜこんな湖の中心に?」


「……ただの島やないわ。アレン、あの島の頂上のあたり、よう見てみぃ。うっすらとやけど、見覚えのある『ドス黒い煙』が上がっとるで」


 うちの言葉に、アレンが『刹那の観測』の極限の視力で島の頂上を凝視する。


「……本当だ! 煙突のようなものが見えます。静江さん、あんな湖の真ん中にまで、帝国の連中が工場プラントを建てているというんですか!?」


「あいつら、魔力とカネの匂いがするとこなら、便槽の底にでも工場建てる連中やからな。……アレン、ちょっとあの島まで『送迎』頼むわ」


「了解です! ちょうどいい倒木がありました、これでイカダを作りましょう!」


 アレンが剣で倒木を瞬時に切り揃え、ツタで縛って即席のイカダを組み上げる。

 うちらがそれに乗り込むと、アレンは足元に風の魔法を纏わせ、その推進力で帆もないイカダをモーターボートのような猛スピードで湖のド真ん中へと走らせた。


===========


 ザザァァッ……!

 イカダが島の岸辺(岩肌)に乗り上げ、うちらは分厚い岩でできた島に上陸した。

 だが、その大地に厚底ブーツを下ろした瞬間、うちは強烈な「違和感」に襲われた。


「……なんやこれ。この地面、土や岩の感触やない。それに……」


 ドクン……。ドクン……。

 微かに、けれど確実に、足元の地面の奥底から、巨大な心臓の鼓動のような『脈打ち』が伝わってくるんや。


「静江さん! この島、少しずつですが……『揺れて』います! 波の揺れじゃない、島そのものが自らの意志で動こうとしているような……!」


 アレンが体勢を低くして警戒する。


「……やっぱりな。どうやら、えらい大物に出くわしてしもうたみたいやわ。アレン、ちょっと待っとき。この島の『正体』と、帝国の連中が何をやらかしとるんか、キッチリ丸裸にしたる!」


 うちは、脈打つ岩肌の上にパイプ椅子をガシャンと広げてどっかと座り込み、アイテムボックスから使い込まれたタロットカードを取り出した。

 今回は、事態の全体像と根本的な原因を深く掘り下げるための大技、『ヘキサグラム・スプレッド(六芒星)』や。


 バシッ、バシッ、バシッ……!


 うちは、六枚のカードを六芒星の形に配置し、最後にその中央(核心)に七枚目のカードを叩きつけるように展開した。


「よう見ときや、アレン。……まず、過去を示す位置に『魔術師』の逆位置。そして周囲の環境に『皇帝』の逆位置や」


 うちはカードをデコネイルで弾き、空を見上げた。


「『魔術師』の逆位置は、悪知恵と自然への冒涜。『皇帝』の逆位置は、傲慢な支配者……つまり、帝国軍がこの大自然のバランスを無視して、悪質な計画を実行したっちゅうことや」


「あの頂上にあるプラントのことですね」


「せや。次に、現状を示す位置に『月』の正位置。そして、相手の願望を示す位置に『ペンタクルの4』の正位置が出とる」


 うちは『月』のカードに描かれた幻惑の絵と、『ペンタクルの4』の重圧を抱え込む男の絵を睨みつけた。


「『月』は隠された真実と幻影。……アレン、うちらが立ってるこれ、ただの島やないわ。岩肌に見えるのは、とてつもなく巨大な『生き物の甲羅』や!」


「こ、甲羅!? この島全体がですか!?」


===========


「せや! そして『ペンタクルの4』が示すのは、過度な重圧と執着。……この下におる巨大な生き物は、帝国の連中に背中の上に勝手に重たい工場ゴミを建てられて、文字通り『重圧』で身動きが取れんようになっとるんやわ! 人の背中に勝手に荷物乗せて、極度の『特大肩こり(甲羅こり)』になっとるんや!」


 うちのオカン的解釈(ド正論)が響き渡った、その直後やった。

 ゴゴゴゴゴゴォォォォォ……ッ!!!

 島全体が、地震のように激しく揺れ始めた。

 周囲の湖面が爆発的に盛り上がり、巨大な滝のような水飛沫とともに、うちらが立っている島(甲羅)の先端から、信じられないほど巨大な『岩の首』が天を衝くように持ち上がったんや!


『……グォォォォォォォンッ……!!!』


 それは、獣の咆哮というより、大地そのものが軋むような重低音の悲鳴やった。

 現れたのは、山のように巨大な頭部を持つ、古代の伝承に語られる『大地のアスピドケロン』。

 だが、その巨大な瞳は苦痛に濁り、重たすぎる甲羅の上の施設プラントのせいで、首を上げるのすら辛そうに身悶えしとった。


「……なんて巨大な神霊だ! 静江さんの占いの通り、この島自体が、一つの命だったなんて……!」


 アレンが強風に煽られながら、必死に足を踏ん張る。


「アレン! 占い(ヘキサグラム)の結論や! 中央のカードは『世界(The World)』の逆位置。……不完全な環境と、身動きの取れない停滞! そして未来を示す『塔』の正位置は、このままやと重みに耐えきれずに、この亀さんごと湖の底に沈んで崩壊してしまうっちゅう警告や!」


 うちはパイプ椅子を蹴り飛ばし、特大のゴミ拾いトングを肩に担ぎ直した。


「……人の背中に勝手にドス黒い工場建てて、魔力チューチュー吸い上げながら、ゴミまで不法投棄する……。悪徳マッサージチェアみたいな商売しやがって! 絶対に許さへんで!」


『……ギュォォォォォン……ッ!』


 大地の亀が、痛みに耐えかねて、湖の水を大津波のように巻き起こし始めた。


「暴れたらアカン! 余計に肩(甲羅)が凝るで! アレン! あの亀さんの背中に乗っかってる『帝国の不法建築物(重荷)』、うちらの出張鑑定で、跡形もなく解体マッサージしたるで!」


「了解しました! 神霊の苦痛、僕がすべて斬り払います!」


 湖に浮かぶ巨大な大地の亀と、その背中に巣食う帝国の不法投棄プラント。

 言葉の通じない大自然の化身を救うための、オカン流『特大の肩こり解消(解体)作業』が、霧の湖を舞台にいよいよド派手に幕を開けようとしとったんや!



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