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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第13章:未開のジャングルと荒野の魔族! 大自然の特大クレーム対応

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第195話 荒野の大宴会と、次なる秘境へのタロット

 神聖アルビオン帝国の採掘プラント(環境破壊の元凶)を完全に沈黙させ、大長老の心を開いて「真の同盟」を結んだうちらは、荒野の大集落へと凱旋した。

 大長老が「人間を家族として迎える!」と高らかに宣言したことで、集落の空気は一変しとった。

 数日前までうちらに殺気を放って弓を向けていた魔族の戦士たちが、今や満面の笑みでうちらを囲み、子供たちはうちのヒョウ柄のポンチョの裾を引っ張って遊びに誘ってくる。


「ガハハハ! 今日は無礼講や! おばちゃんが、お祝いに特大の『バーベキュー』振る舞ったるでぇぇっ!」


 うちは集落の広場のど真ん中に、アイテムボックスから巨大な鉄板と、大和郷で仕入れておいた極上の牛肉、そして荒野の特産である巨大なキノコや野菜をドサドサと積み上げた。

「アレン! あんたの神速で、この肉と野菜を一口サイズに切り分けなはれ!」

「了解しました! 『刹那の観測』、調理モード!」


 アレンの西の大陸の長剣が、目にも止まらぬ速さで食材を美しく切り揃えていく。

 うちはそこに、特製の「甘辛い焼肉のタレ」をぶっかけ、さらに疲労回復の『イチゴ味』と、精神を安定させる『オレンジ味』の飴ちゃんをすり潰して隠し味として投入した。


 ジュウゥゥゥッ……!


 鉄板の上で肉の脂とタレが焦げる、あの暴力的なまでに食欲をそそる匂いが、荒野の集落全体に立ち込めた。


「おおぉぉっ! なんだこの、五臓六腑にガツンとくる匂いは!」


「美味い……! 肉が柔らかくて、タレの甘辛さがたまらんぞ!」


 魔族の戦士たちや女性たちが、焼きたての肉を頬張って歓喜の声を上げる。

 あの頑なだった大長老も、切り株の椅子に座りながら、モグモグと肉を噛み締め、ポロポロと大粒の涙を流しとった。


「……美味い。……長年、人間への憎しみで心がカチカチに固まっていたせいか、飯の味すら分からなくなっていたが……。この甘辛い肉の味は、どうしてこうも心を解きほぐすのだ……」


「せやろ? 怒りや憎しみで胃袋を縮ませてたら、もったいないで。美味しいもん食べて、みんなでガハハって笑うのが、一番の『平和』なんやからな」


 うちは大長老のお椀に、さらに大盛りの肉と野菜をよそってやった。


 上空では、すっかり元気になった雷鳥サンダーバードが、ご機嫌な様子で旋回しながら時折ピカッと祝福の稲妻を光らせている。

 足元では、巨大な精霊狼スピリット・ウルフが「お肉ちょうだい」とばかりに尻尾を振って、うちの足にスリスリと擦り寄ってきとる。

 大自然の化身たちと、荒野の魔族。そして、オカンと若き騎士。

 種族も常識も超えた、最高に賑やかな大宴会が、夜通し続いたんや。


===========


 翌朝。

 澄み切った青空の下、うちらは集落の入り口で、旅立ちの準備を整えとった。


「……本当に、もう行ってしまうのか。静江。そしてアレンよ」


 大長老が、杖を突きながら名残惜しそうに言う。


「せや。あんたらの『ゴミ掃除』は終わったけど、帝国の連中はまだこの新大陸のあちこちで、身勝手な環境破壊(不法投棄)を続けとるはずや。……それに、うちの『出張鑑定』は、世界中の迷い羊を全部ピカピカにするまで終わらへんからな」


 うちが特大のゴミ拾いトングを肩に担いで笑うと、赤き鷹が進み出て、胸に手を当てて深く一礼した。


「貴女たちの恩は決して忘れない。我ら荒野の魔族は、この聖地を二度と帝国には荒らさせない。……いつでも呼んでくれ。我ら『オカン・ユニオン』の家族として、地の果てまで駆けつけよう」


「おう! その時は特大のバーゲンセールやから、気合入れてきなはれや!」


 そして、大長老が少しだけ真剣な顔つきになり、声を潜めた。


「静江よ。この新大陸は、我らが住む荒野だけではない。ここからさらに南……鬱蒼とした熱帯雨林が広がる未開の奥地には、我ら魔族すら立ち入れぬ『伝承の領域(秘境)』が存在する」


「伝承の領域?」


「ああ。精霊狼や雷鳥のような、大自然の意志そのものである『神霊』や『幻獣』たちが、手付かずの自然の中で生きている場所だ。……帝国は、その強大な魔力資源を狙って、すでに奥地へと部隊を進めているという噂がある。言葉の通じない神霊たちが帝国の理不尽な破壊に怒り狂えば、この大陸そのものが沈む大災害になりかねん」


「……なるほどな」


 うちはアイテムボックスからタロットカードを取り出し、南の方角へ向かってバシッ、バシッと二枚展開した。

 出たのは、『愚者(The Fool)』の正位置、そして『隠者(The Hermit)』の逆位置や。


「『愚者』の未知なる旅立ちと、『隠者』の逆位置……つまり、外部からの干渉で静寂を破られ、怒り狂ってる存在の暗示やな」


 うちはカードの絵柄を指先で弾き、特大のサングラスの奥で目を細めた。


「言葉が通じへん神様や幻獣か。……上等やないの。どんなにデカいバケモノでも、どこが痛いんか、何に怒っとるんか、おばちゃんのタロットと飴ちゃんで、きっちり『問診』したるわ!」


「……ええ。彼らが何を訴えているのか、僕たちが聞き届け、帝国の横暴を叩き斬りましょう」


 アレンも、西の大陸の長剣を構え、頼もしく頷く。

 荒野の魔族という新大陸における最強の陸上戦力を『同盟』に引き入れたおばちゃん一行。

 次なる舞台は、帝国によって縄張りを荒らされ、怒り狂う言葉の通じない「伝承の人外」たちが待つ、新大陸のさらに未開の秘境や。


「ほな、おっちゃんら! 留守番頼んだで! 健康には気ぃつけて、ちゃんと野菜も食べるんやで!」


「ああ! オカンも、道中気をつけてな!」


 大長老や赤き鷹、そして荒野の魔族たちに見送られながら、静江とアレンの二人は、果てしなく続く南の未開の地へ向かって、力強く歩き出した。

 新大陸の大自然と、伝承の存在たちまでもをオカン・ユニオンに組み込んでいく、超特大クレーム対応の旅が、いよいよここに幕を開けたんや!




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