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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第13章:未開のジャングルと荒野の魔族! 大自然の特大クレーム対応

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第193話 暴走する巨大重機と、オカン流・コンセント引き抜き術

 神聖アルビオン帝国が荒野の奥地に建設した、自然を食い荒らす『採掘プラント』。

 アレンの神速の剣技、赤き鷹たち荒野の魔族の正確な弓、そして空からの雷鳥サンダーバードの爆撃によって、プラントの防衛線はあっという間にズタズタに引き裂かれた。

 だが、プラントの中央で凄まじい土煙と轟音を上げている「一番デカい粗大ゴミ」……山のように巨大な『魔導掘削機』だけは、止まる気配があらへんかった。


『ええい、構わん! あの野蛮人どもを、重機ごと轢き潰せ!』


 掘削機の操縦室に立て籠もった帝国の部隊長が、拡声魔道具で狂ったように叫ぶ。

 ゴゴゴゴゴォォォッ!!

 無数の巨大な歯車が回転し、大地を削り取るための凶悪なバケット(鉄の爪)を振り回しながら、数十メートルはある巨大な鉄の塊が、うちらに向かって猛スピードで突進してきたんや。


「……おおおっ! なんという巨大な鉄の化け物だ!」


「我らの弓が、分厚い装甲にすべて弾かれるぞ!」


 赤き鷹たち魔族の戦士が、放った精霊の矢がパラパラと無力に落ちるのを見て、顔を青ざめさせる。


「静江さん! 下がって! あんな質量が真っ直ぐ突っ込んできたら、いくら僕の剣でも弾き返せません!」


 アレンが西の大陸の長剣を構え、うちを庇うように前に出る。


「アホ! 下がったら後ろの山が削られるだけや! どんなにデカい機械でも、動いてる以上は必ず『弱点』があるんやわ!」


 うちは猛スピードで迫り来る巨大重機を前にしても、一歩も退かず、アイテムボックスからタロットカードを取り出した。


 バシッ、バシッと、土煙が舞う地面に二枚のカードを展開する。

 出たのは、『戦車(The Chariot)』の逆位置、そして『塔(The Tower)』の正位置や。


「『戦車』の逆位置は、コントロールを失った暴走。『塔』の正位置は、土台からの崩壊やな。……なるほどな」


 うちは特大のサングラスを押し上げ、暴走する巨大掘削機を、上から下までジッと鋭く観察した。


「……あいつら、パニックになって出力上げすぎとるわ。機械のあちこちから、不自然な紫色の魔力の火花が散っとる」


 巨大なキャタピラが大地を削り、バケットが空を裂く。

 一見すると無敵の要塞に見えるが、おばちゃんの「家電を見る目」には、致命的な欠陥が丸見えやった。


「ええか、アレン! 赤き鷹の兄ちゃん! 家の掃除機が暴走して火ぃ噴きそうになった時、一番最初にやらなあかんことは何や!」


「そ、掃除機……? すみません、分かりません!」


「コンセントをぶち抜くんや!!」


 うちのオカン理論に、アレンが「えっ!?」と目を丸くする。


===========


「どんなにデカい兵器でも、動力が繋がってなきゃただの鉄クズや! よう見なはれ、あの重機の背中! プラントの地下から伸びてる『極太の魔力ケーブル』が、あいつの腰のあたりにガッツリ刺さっとるやろが!」


 うちが特大のゴミ拾いトングで指差した先。

 確かに、巨大掘削機は単独で動いているのではなく、プラントの地下に設置された魔力炉から、血管のように太いケーブルを通じてエネルギーを供給されとったんや。


「なるほど! あのケーブルを断ち切れば、巨体はただの鉄の塊になるんですね!」


 アレンがハッとして剣を握り直す。


「せや! けど、あのケーブルの周りには分厚い『魔力シールド』が張られとる。あんたの剣でも、一撃じゃ斬れへんわ。……せやから、空から特大の『ショート』をかましたるんや!」


 うちは拡声魔道具メガホンを口元に当て、上空を旋回している黄金の霊鳥に向かって腹の底から怒鳴り上げた。


「おーい! 鳥さん! あんたの住処汚した一番デカいゴミが、あいつやで! 思いっきり怒りの雷(お小言)、落としたりなはれ!!」


『ピギャアアアァァァッ!!』


 雷鳥サンダーバードが、うちの合図に呼応して、プラントの上空にどす黒い雷雲を急激に呼び寄せた。

 バチバチバチッ! と凄まじい紫電が雲の中で渦巻き、次の瞬間、まるで天の怒りそのもののような極太の落雷が、暴走する巨大掘削機の真上へと一直線に降り注いだんや!


 ドゴォォォォォォンッ!!!


『ぎゃあぁぁっ!? 落雷だ! シールドの出力が低下していく!』


 操縦室の帝国兵が悲鳴を上げる。

 雷鳥の規格外の大自然の雷撃が、機械の魔力シールドに凄まじい負荷をかけ、過負荷オーバーロードでバチッと弾け飛んだ。


「今やアレン!! コンセント抜いてきなはれ!!」


「承知しました! 風よ、僕の剣に宿れ! 『刹那の観測』!!」


 アレンが地面を蹴り、強烈な突風を巻き起こしながら、土煙の中を神速で駆け抜ける。

 シールドが剥がれ、無防備になった巨大重機の背後。

 アレンの西の大陸の長剣が、目にも止まらぬ速さで閃き、極太の魔力ケーブルを、見事にスパァァンッ! と真っ二つに斬り裂いたんや!


===========


 ブツンッ!!

 エネルギーの供給を絶たれた巨大魔導掘削機は、激しいショートの火花を散らしながら、けたたましい警告音を鳴らし始めた。


『ば、馬鹿な! 動力が……動力が落ちた!? 再起動しろ! 早くしろ!』


 ギュル……ギュルルル……ガコンッ。


 数十メートルの巨体が、慣性で数メートル前に進んだ後、まるで電池の切れたオモチャのように、不格好な音を立てて完全に沈黙した。

 振り上げられていた巨大な鉄の爪も、力なく地面にドスンと落ちる。


「……よっしゃ! これでお掃除完了や! どんなデカい兵器も、コンセント抜いたらただの粗大ゴミやな!」


 うちは、沈黙した鉄の塊の前に歩み寄り、特大のトングでその装甲をカンカンと叩いた。

「……し、信じられん。あのような巨大な鉄の化け物を、たった数分で、ただの鉄屑に変えてしまうとは……」


 赤き鷹たち魔族の戦士が、呆然としながらも、やがて歓喜の声を上げて武器を天に突き上げた。


「おおおぉぉっ! 勝ったぞ! 我らの聖地を食い荒らしていた化け物が止まった!」


『ピルルルッ!』


 上空から雷鳥も舞い降りてきて、うちの隣で誇らしげに胸を張っとる。


 操縦室のハッチが開き、中から這い出してきた帝国の部隊長は、完全に戦意を喪失し、泥だらけになってへたり込んどった。


「ひ、ひぃぃ……! 降参だ……命だけは……!」


「命までは取らへんわ。でも、不法投棄と器物損壊の罰金は、きっちり身体で払ってもらうで。この荒らした土地、あんたらが手作業で元通りにならすんや!」


 うちがサングラス越しに睨みつけると、部隊長は「は、はいぃぃっ!」と何度も土下座した。


 アレンも剣を鞘に納め、ホッとしたように歩み寄ってくる。


「お見事でした、静江さん。雷鳥との連携、そしてあなたの『コンセントを抜く』という発想。……これで、このプラントの機能は完全に停止しましたね」


「せやな。これで外堀は完全に埋まったわ」


 荒野の魔族たちと、雷鳥、そしておばちゃんの完璧な連携。

 圧倒的な力を持つはずの帝国軍のプラントは、完全に機能を停止し、聖地には再び平和な静寂が訪れようとしとった。

 ……だが、うちはその時、足元の地面から伝わってくる「微かな、けれど不吉な振動」を見逃さへんかった。


===========


「……ん? なんや、この嫌な揺れは」


 うちが眉をひそめた瞬間。

 沈黙したはずのプラントの、さらに奥深く……地下の分厚い鋼鉄の扉が、ギゴゴゴゴ……と不気味な音を立てて開き始めたんや。


「なっ……!? まだ奥に何かがいるのか!」


 赤き鷹が弓を構え直す。


 開いた扉の奥から姿を現したのは、全身を禍々しい「黒い魔導装甲」で包み込んだ、一人の男やった。

 ただの部隊長やない。このプラント全体の総責任者であり、帝国軍の本隊から派遣された『特務司令官』や。


『……ククク。たかが現地の野蛮人どもが、よくぞ我が帝国のプラントをここまで破壊してくれたものだ』


 男の声は、拡声器を通したように無機質で、冷酷やった。


「あんたがここの親玉か。悪いけど、あんたの店、もう営業停止(倒産)やで。さっさと白旗上げなはれ」


 うちがトングを向けて宣告するが、司令官は狂ったように笑い出した。


『白旗だと? 笑わせるな。……貴様らは、帝国の真の恐ろしさを知らぬ』


 司令官は、懐から「真っ赤に発光する魔石の起爆装置」を取り出し、それを高く掲げた。


『このプラントの地下には、採掘した魔力結晶を圧縮した「特大の汚染爆弾」が仕掛けられている。これを起爆させれば、この荒野一帯は数百年草木も生えぬ「死の灰の土地」と化す! プラントを失った以上、もはやこの土地に価値はない。貴様らごと、すべてを灰にしてくれるわ!』


「なっ……!? 聖地を、灰にするだと!?」


 赤き鷹が絶望に顔を歪める。


「静江さん、マズいです! あの魔力濃度……起爆すれば、僕たちの足の速さでも絶対に逃げ切れません!」


 アレンが血相を変える。


 自分たちの利益にならんと分かれば、土地ごとすべてを腐らせて捨てる。

 それが、巨大な覇権国・神聖アルビオン帝国の、最もタチの悪い「究極の不法投棄」やった。


「……チッ。ほんまに、最後まで迷惑なクレーマーやで……!」


 うちは起爆装置を握る司令官を睨みつけた。


 絶対絶命のカウントダウン。

 だが、その最悪のピンチに、荒野の彼方から「地鳴りのような足音」が響いてきたんや。


『――待てェェェッ!! 帝国の悪鬼ども!!』


 土煙を上げて駆けつけてきたのは、数千人にも及ぶ荒野の魔族の大軍。

 そしてその先頭で、黒光りする杖を掲げ、怒りに燃える瞳で司令官を睨みつけていたのは……。

 人間を絶対に許さないと頑なに拒絶していた、あの『大長老』やったんや!


「お、おじいちゃん!?」


 大長老のまさかの登場。

 荒野の魔族との「真の同盟」を懸けた最後の総力戦が、爆発寸前のプラントを舞台に、いよいよ熱く燃え上がろうとしとった!



読んでくれてありがとうございます!


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