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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第13章:未開のジャングルと荒野の魔族! 大自然の特大クレーム対応

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第184話 大河の巨大ダムと、オカン流・水回りの大掃除

 特大スコールとオカンの「塩分補給」によって帝国軍の前線基地を無力化したうちら『オカン・ユニオン』は、現地住民の案内でさらにジャングルの奥深くへと進んどった。

 道なき道を歩くこと数日。周囲の木々はますます巨大になり、空気はねっとりと重く、息をするだけで肺に水が溜まりそうなほどの湿気や。


「……あー、もうホンマに最悪や! せっかく綺麗に巻いた金髪が、湿気でペチャンコになってもうたわ! おまけにこの泥道、厚底ブーツがズブズブ沈んで、歩くたびに太ももがパンパンになるで!」


 うちは、アイテムボックスから取り出した日傘代わりのハデなパラソルをアレンに持たせながら、ブーブーと文句を垂れとった。

 極端に短いホットパンツに、背中に龍が躍る銀色のスカジャン。ジャングルには絶対におらん「ド派手なギャル」の登場に、森の虫たちすらドン引きして寄り付かへんレベルや。


「……静江さん、文句を言いながらも歩くスピードが全く落ちていないのが恐ろしいです。僕でも少し息が上がってきたというのに」


 パラソルを持つアレンが、額の汗を拭いながら苦笑いする。


「当たり前や! おばちゃんの足腰はな、毎日のスーパーの特売ダッシュと、自転車の立ち漕ぎで鍛えられとるんや! こんな泥道、坂道の立ち漕ぎに比べたらへっちゃらやわ!」


 うちがガハハと笑い飛ばしている横で、ピンクのデコ魔導銃を肩に担いだガトーたち海賊は「陸地はやっぱりキツいぜ……」とゼェゼェ息を吐いとる。


 そんなうちらの先頭を歩いていた現地住民の男たちが、ふいに足を止め、木々の隙間から前方を指差した。


「……オカン。着いたぞ。あれが、俺たちの森を殺し、大河を汚している諸悪の根源だ」


 彼らの顔が、深い悲しみと激しい怒りに歪む。

 うちがサングラスを押し上げて視線を向けると、そこには、豊かなジャングルの景色を暴力的に切り裂く、異様な建造物がそびえ立っとった。

「……なんや、あれ。えげつないデカさやな」


 それは、ジャングルを貫く巨大な大河を、端から端まで完全に塞ぎ止めている『超巨大なコンクリートのダム』やった。

 ダムの壁面には無数のパイプが突き刺さり、そこからせき止められた大河の水が、魔力抽出の工程を経て、ドス黒い紫色の『猛毒の廃液』となって下流へと吐き出されとる。

 本来なら澄み切っていたはずの川の水は完全に死に絶え、周囲の岸辺には、毒水を飲んで息絶えた魔獣や魚の死骸が山のように打ち上げられとった。


===========


「……ひどい。川の流れを完全に止めて、大地の魔力を強引に吸い上げている。これでは、森全体が枯れ果ててしまう……!」


 アレンが、怒りに声を震わせる。

 すると、ダムの頂上に設置された監視塔から、拡声魔道具を使った傲慢な声が、ジャングル中に響き渡った。


『……フハハハハ! ネズミどもが、我らが誇る第7魔力抽出プラントまで辿り着いたか!』


 見上げれば、真っ白な軍服に身を包んだ、いかにも神経質そうな帝国の工場長が、ワイングラスを片手にうちらを見下ろしとった。


『下等な未開人どもめ! 貴様らは、自然に媚びへつらうだけの遅れた存在だ! 見よ、この巨大なダムを! これこそが、大自然を完全に支配し、無限のエネルギーを搾り取る、我ら帝国の偉大な「文明」の象徴なのだ!』


 工場長が勝ち誇ったように叫ぶと、ダムの上から何百という帝国兵が、一斉に魔導銃の銃口をうちらへ向けてきた。


「……文明やて?」


 うちは、パイプ椅子をガシャンと広げてどっかと座り、アイテムボックスからタロットカードを取り出した。

 バシッ、バシッと、泥の上に二枚のカードを展開する。

 出たのは、『塔(The Tower)』の正位置、そして『節制(Temperance)』の逆位置や。


「『塔』の崩壊と、『節制』の逆位置……つまり、循環の停止と不純物の蓄積やな」


 うちはカードをデコネイルで弾き、拡声魔道具メガホンを口元に当てて、ダムの上の工場長に向かって腹の底から怒鳴り返した。


「おい、そこの白服の兄ちゃん! 文明? 自然の支配? アホか! 流れを止めて、毒を溜め込んでるだけやないか! おばちゃんから言わせれば、そんなもんただの巨大な『便秘』や!」


『べ、べんぴ……!?』


「せや! 水回りっちゅうのはな、常に流して循環させなアカンねん! 詰まりを放置して毒素を溜め込むような設計、配管工のド素人でもやらへんわ! 今すぐその巨大なトイレの栓、おばちゃんが抜いたるから覚悟しなはれ!」


===========


『だ、黙れ下賤な女! その汚い口ごと、文明の力でハチの巣にしてやる! 撃てェェッ!』


 工場長の号令で、ダムの上から無数の魔力弾が雨あられと降り注いできた。

「アレン! ガトー! お客さんの攻撃、引きつけなはれ!」


「任せてください! 『刹那の観測』!」


「野郎ども、ピンクの銃で撃ち返せ!」


 アレンの神速の剣が魔力弾を次々と斬り払い、海賊たちがデコ魔導銃でダムの上へ向かって反撃を開始する。

 だが、ダムのコンクリートの壁は分厚く、下からの銃撃ではかすり傷しかつけられへん。


『フハハハ! 無駄だ! このダムは帝国の最新魔力障壁でコーティングされている! 貴様らの貧弱な武器で傷一つ付くものか!』


「……それはどうかな」


 うちはニヤリと極悪な笑みを浮かべ、背後に控えていた現地住民の男たちを振り返った。


「おっちゃんら! あんたらの出番やで! この川の精霊に声かけて、あのダムの裏側に溜まってる水を、一気に『押し出せ』って頼めるか!?」


「で、できるが……。今の俺たちの魔力じゃ、あの巨大な水を動かすのは……」


「魔力が足りんのやったら、これでフルチャージや!」


 うちはアイテムボックスの奥深くに両腕を突っ込み、精神力(魔力)を回復させるオレンジ色の『オレンジ味』と、体力を回復させる赤色の『イチゴ味』の飴ちゃんを、これでもかというほど大量に引っ張り出した。


「ほら、これ全員で舐めなはれ! 特大のカロリーと魔力補給や!」


 現地住民たちが、一斉に飴ちゃんを口に放り込む。

 その瞬間、過酷な労働で枯渇していた彼らの身体から、本来の彼らが持っていた濃密で清らかな『緑色のオーラ(自然魔力)』が、一気に噴き上がったんや!


「「「うおおおおぉぉぉぉッ!! 川の精霊よ、今こそ怒りの奔流となれェェッ!!」」」


 彼らが両手を大河に向かって突き出すと、ダムの裏側でせき止められていた膨大な水が、まるで巨大な生き物のようにうねり、コンクリートの壁を内側から凄まじい水圧で押し始めた!

 ミシミシッ……! メキキキィィッ!!


『なっ!? なんだこの異常な水圧は! ダムの壁面に亀裂が……!』


 工場長がパニックになって叫ぶ。


「アレン! 仕上げや!」


 うちは、ダムの壁面の中央――水圧で一番大きくヒビが入った箇所を、特大トングでビシッと指差した。


「あの『ヒビ(手抜き工事の跡)』に、あんたの全力の斬撃を叩き込みなはれ! トイレの詰まりは、スッポン(圧力)で一気に押し抜くんや!」


「スッポンの代わりですか! 了解しました!」


 アレンは風の魔法を足元に纏い、垂直のダムの壁面を駆け上がった。

 そして、空中で身体を大きく捻り、西の大陸の長剣にありったけの魔力を込めて、その亀裂のど真ん中へ向かって容赦ない一撃を振り下ろした!


「――穿てェェェッ!!」


===========


 ドゴォォォォォォォォンッ!!!


 アレンの剣圧が亀裂を完全に貫通した瞬間。

 限界まで高まっていた水圧が、コンクリートの壁を内側から大爆発させるように吹き飛ばした。

 何百万トンという大河の濁流が、解放された野獣のようにプラントを飲み込み、巨大な施設をただの鉄屑に変えて下流へと押し流していく。


『ぎゃあぁぁぁぁっ! 私の、私の文明がァァッ!』


 工場長や帝国兵たちが、自分たちがせき止めていた水の暴力に巻き込まれ、ド派手な水飛沫とともに流されていく。


「アレン、おっちゃんら! 木の上に避難や!」


 うちらは間一髪でジャングルの高い木の上へと飛び移り、その凄まじい『大河のお掃除フラッシュ』を見下ろした。


 数十分後。

 激しい濁流が引き、本来の穏やかな流れを取り戻した大河は、毒の紫色から、元の美しい透明な青色へと戻っとった。


「……消えましたね。川の淀みも、帝国の施設も、完全に洗い流されました」


 アレンが木の上から飛び降り、剣を鞘に納める。


「……おおぉ……。俺たちの川が……生きた流れが、戻ってきた……!」


 現地住民たちが、清らかな川の水をすくい上げ、歓喜の涙を流して抱き合っとる。


「せやろ? 水回りの掃除は、こまめに通水せなアカンっちゅうことや」


 うちは木から飛び降りると、浅瀬の泥の中に頭から突っ込んでピクピクしている、真っ白な軍服の男――工場長を見つけた。


「……た、助けて……」


 ガシィッ!

 うちは特大のゴミ拾いトングで、工場長の襟首を挟み上げて宙吊りにした。


「……自然をコントロールできると思ってるから、こういう特大のしっぺ返しを食らうんや。あんたらの文明は、この森には合わへんから、もう二度と来るな」


 うちは工場長をポンと陸地に放り投げ、彼らが逃げ帰っていくのを冷ややかに見送った。


「さてと! これでこの辺りの大掃除は完了やな!」


 うちは大河の風を胸いっぱいに吸い込み、さらに西の奥――ジャングルの果てを睨みつけた。


「次はいよいよ、このディストピアの『本当の心臓部』か、それともさらに海を越えた北の魔境か……。どっちにしても、おばちゃんの特売ダッシュは止まらへんで!」


 大自然の力と本来の魔力を味方につけ、帝国の巨大ダムを完全に粉砕したおばちゃん一行。

 新大陸の解放は、さらなる未知の領域と、帝国の核心へ向かって、いよいよ猛スピードで加速し始めとったんや!



読んでくれてありがとうございます!


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