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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第12章:新大陸カチ込み! 奴隷船の解放と中央総督府の大掃除

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第180話 本社の防衛線と、デコ魔導銃と社畜の解体作業

 巨大なブラック工場を内側から崩壊させ、解放された数千の労働者たちを引き連れたうちら『オカン・ユニオン』は、ドス黒い煙で淀んだ西の大地(新大陸)の中枢へ向けて、ズンズンと行軍を続けとった。


「……あー、もう! この道、アスファルトで舗装されてへんから、厚底ブーツの底に泥がこびりついて歩きにくいわぁ! おまけに空気が悪いせいか、お肌も乾燥してしゃあない!」


 うちは、アイテムボックスから取り出した日傘代わりのハデなパラソルをアレンに持たせながら、ブーブーと文句を垂れとった。

 極端に短いホットパンツに、背中に龍が躍る銀色のスカジャン、そしてキラキラの付けまつげ。

 そのどう見ても「夜の街から飛び出してきた派手なギャル」が、先頭で偉そうに文句を言いながら歩く姿に、後ろを歩く解放されたばかりの労働者たちは、完全に困惑しとった。


「……なぁ。俺たちを帝国から救ってくれたのって、マジで『あの女』なのか……?」


「すげえ頼りになるオカン声だったのに、見た目は完全に……その、いかがわしい商売の姉ちゃんにしか見えないんだが……」


 労働者たちがヒソヒソと囁き合うが、うちは聞こえないフリをしてデコネイルのお手入れを進める。

 そんな労働者たちの横で、巨漢の海賊ガトーが、重たい『魔導銃』を肩に担いで、深ぁぁく溜息をついとった。


「……なぁ、オカン。港で帝国の兵士からこの最新鋭の魔導銃を何十丁もぶんどったのはいいんですが……なんで、全部こんなことになってるんですか?」


 ガトーが肩に担いでいる魔導銃。本来なら無骨で黒光りするはずのその銃身には、一面に『ピンクのラインストーン』や『星型のハデなシール』がビッシリとデコレーションされとった。


「なんや、文句あるんか? 武器かて可愛くないと、持ってるだけでテンション下がるやろ! うちらはただの野蛮な軍隊やのうて、おばちゃん率いるファンシーな清掃業者ユニオンなんやから、見た目から明るくいかなアカンわ!」


「いや、可愛いとかテンションとか……。俺たち海賊がこんなキラキラした銃を構えてたら、敵に完全に舐められますって……」


 ガトーをはじめとする荒くれ者の海賊たちが、デコ魔導銃を持って顔を真っ赤にして恥ずかしがっとる。


「ええねん! 舐められとるくらいが、隙を突きやすくてちょうどええわ!」


 うちがガハハと笑い飛ばした、その時やった。


===========


「……静江さん! 前方に見えてきました。あれが、この大地のすべての魔力と命を吸い上げる巨大ブラック企業の本社、『中央総督府』です!」


 日傘を持っていたアレンが、鋭い声で前方を指差した。

 地平線の向こうから、天を貫くようにそびえ立つ禍々しい巨大な塔が姿を現した。

 だが、その総督府へと続く幅広い一本道には、分厚い白銀の装甲に身を包んだ帝国の「精鋭防衛部隊」がズラリと陣形を組んで待ち構えとった。

 さらにその後ろには、見上げるほど巨大な『自律型魔導ゴーレム』が何十体も立ち並び、無機質な赤いカメラアイをうちらへ向けて、威圧感を放っとる。


「……あれは、第三型ゴーレム! 帝国が新大陸の防衛用に開発していた最新兵器だ……。完成していたのか……!」


 労働者たちの中から、絶望的な悲鳴が上がる。

 すると、最も巨大なゴーレムの肩の上に立っていた防衛部隊の指揮官が、拡声魔道具を使って、傲慢に、そして嘲笑うように宣言した。


『止まれ、下等な反逆者ども! ……暴動を起こしたと聞いて来てみれば、なんだその先頭にいるふざけた女は!』


 指揮官は、うちのホットパンツと金髪の盛り髪、そして海賊たちが持つ「キラキラのデコ魔導銃」を見て、腹を抱えて笑い出した。


『あっはははは! どこぞの娼婦の慰問団か!? それとも、ピエロの旅芸人か! 帝国の神聖なる絶対領域に、そのような下俗で恥知らずな格好で足を踏み入れるとは、笑止千万!』


 その言葉を聞いた瞬間。

 うちの額に、ピキッ! と青筋が浮かんだ。


「……誰が娼婦やコラァッ!!」


 うちは拡声魔道具メガホンをひったくり、腹の底からドス黒いオカン声を響かせた。


「このヒョウ柄はな、気合を入れるための勝負服ユニフォームや! あんたみたいな、分厚い鎧着て安全な後ろから偉そうに指示出してるだけの『カタログスペック盲信エリート』に、うちのファッションセンスをバカにされる謂れは一ミリもあらへんわ!」


『だ、黙れ下賤な女! 我が帝国の最新鋭魔導兵器の前に、そのふざけた銃ごと塵となって消え去るがいい! 撃てェッ!』


 ガシャァァン! と、何十体もの巨大ゴーレムが一斉に腕の魔導砲を構え、膨大な魔力をチャージし始めた。


「野郎ども! デコレーションされてても中身は帝国の銃だ! 撃ち返せ!」


 ガトーの号令で、海賊たちが恥ずかしがりながらもピンクに光る魔導銃の引き金を引く。

 バキュゥゥンッ! と強力な魔力弾が放たれるが……。

 カンッ、カァァンッ!

 巨大ゴーレムの分厚い装甲は、魔導銃の直撃を受けても、微かに焦げ跡がつく程度で全くビクともせんかった。


「ダメだオカン! いくら帝国の銃を奪っても、相手の装甲が厚すぎて傷一つ付かねえ!」


 ガトーが焦燥の声を上げる。


===========


「……チッ。やっぱり、銃(カタログの威力)だけでどうにかなる相手やないか」


 うちはメガホンを下ろし、パイプ椅子をガシャンと広げてどっかと座り込んだ。

 そして、アイテムボックスからタロットカードを取り出して、バシッ、バシッと二枚のカードを展開する。

 出たのは、『戦車(The Chariot)』の正位置、そして『愚者(The Fool)』の逆位置や。


「『戦車』の圧倒的な前進と、『愚者』の逆位置……足元の不注意、無計画な自信過剰やな」


 うちはカードをデコネイルで弾き、指揮官に向かって鼻で笑った。


「……最新鋭の魔導兵器やて? アホか。現場の苦労も知らんと、ふんぞり返ってカタログの数字だけでドヤ顔しとるから、足元すくわれるんやわ」


「なに……?」


「おい! あんたら!」


 うちはパイプ椅子から振り返り、後ろで震えている数千人の労働者たちに向かって、ニカッと極悪な笑みを浮かべた。


「あのデカい鉄くず、あんたらが『適性法』とやらで徹夜で泣きながら作らされた『ノルマの品』やろ! 社畜としてこき使われたんやったら、あの製品のクレーム(弱点)箇所くらい、造った本人が一番よう知っとるんちゃうか!」


 うちの言葉に、手に手に工具を握りしめていたドワーフや人間の労働者たちが、ハッとして顔を上げた。


「……そうだ! あの三型ゴーレムの右脚の関節! 納期が短すぎて、装甲の焼き入れが甘いまま無理やり納品させられた箇所だ!」


「魔導砲の冷却パイプもだ! 上からのコスト削減の命令で、細い粗悪な管を使わされた! 連続で三発撃てば、絶対に排熱が追いつかなくてオーバーヒートして動きが止まる!」


 彼らの目に、恐怖ではなく、現場で苦労した職人としての「冷徹な分析の光」が宿った。


「上等や! アレン! ガトー! あんたらはデコ魔導銃と素早さで、ゴーレムの攻撃を『三回』だけ引きつけて無駄撃ちさせなはれ! 労働者の兄ちゃんらは、その隙にあの不良品の鉄くずどもを、綺麗に『返品解体』したってや!」


「「「おおおおおぉぉぉぉぉッ!!!」」」


===========


『撃てェッ! 娼婦もろとも一掃しろ!』


 指揮官の号令で、ゴーレムの魔導砲が一斉に火を噴いた。

「娼婦じゃない、オカンだ! 野郎ども、キラキラの銃で牽制だ! 三発だけ耐え凌げ!」

 ガトーたち海賊が、ピンクに光る魔導銃を乱射してゴーレムの意識センサーを引きつけながら、泥臭く砲撃を回避していく。

 アレンも『刹那の観測』の神速で、直撃軌道の魔力弾だけを的確に斬り弾いた。

 一発、二発、そして三発目。


 プシュゥゥゥゥッ!!


 労働者たちの予言通り、強引に連射したゴーレムたちの冷却パイプが限界の悲鳴を上げ、全身から白い蒸気を噴き出して、その巨大な動きがピタリと停止したんや。


『なっ!? なぜ動かん! マニュアル通りに稼働しているはずだぞ!』


 パニックに陥る指揮官。


「今だ! やっちまえ!!」


 その隙を逃さず、解放された労働者たちが怒涛の勢いで雪崩れ込んだ。


「納期短縮の恨みだァァッ!」


 ドワーフの親方が巨大なハンマーを振り下ろし、強度が足りていない「右脚の関節」を正確に粉砕する。


「残業代の未払い分、きっちりこの鉄屑で返してもらうぞ!」


 人間の労働者たちが、スパナやバールを使って、ゴーレムの装甲の隙間にある「魔力回路の急所」を、まるで手慣れたライン作業のように次々と引っこ抜いていく。

 帝国の誇る最新鋭兵器は、それを造らされた『現場の社畜たち』の手によって、瞬く間にただの粗大ゴミへと解体されていったんや。


「ひ、ひぃぃぃッ! ば、馬鹿な! 精鋭部隊が、ただの汚い労働者どもに……!」


 ゴーレムを失い、海賊たちのキラキラ光るデコ魔導銃に囲まれた帝国の防衛部隊は、完全に戦意を喪失して武器を投げ捨てた。


「……現場の職人舐めたらアカンで。自分らで手ぇ汚さんと、人こき使って作らせたもんで威張るから、こういう特大のしっぺ返しを食らうんや」


 うちはスクラップの山を踏み越え、特大のゴミ拾いトングを肩に担いで、ついに『中央総督府』の重厚なエントランスの前に立った。


「やりましたね、静江さん。これで本社の入り口は完全に丸裸です」


 アレンが剣の血振りをして、頼もしく微笑む。


「……さぁて、いよいよ一番デカいゴミ箱の中身を拝ませてもらおやないか」


 うちは、厚底ブーツの音を響かせ、総督府の巨大な扉を力強く押し開けた。

 この大地の命を吸い上げる、悪徳ブラック企業の中枢。

 そこに潜む「総督」へ向けた、おばちゃんとオカン・ユニオンの怒りの『特大ガサ入れ』が、今、本社のド真ん中へと踏み込んでいったんや!



読んでくれてありがとうございます!


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