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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第12章:新大陸カチ込み! 奴隷船の解放と中央総督府の大掃除

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第175話 五枚のカードと、オカン・ユニオンの特売ダッシュ

「帝国の戦艦やと? 新大陸への一番乗りを狙っとるんやな。……でも、不気味な船ってなんや?」


 黒海亀一家の哨戒船からの急報を受け、うちは眉をひそめ、アイテムボックスから使い込まれたタロットカードを取り出した。


「……アレン、アーニャ。ちょっとその『不気味な船団の正体』、視せてもらうで」


 うちは甲板の木箱の上に、五枚のカードを十字と中央にバシッ、バシッと展開した。

 海風が吹き抜ける中、めくられた五枚のカードを一瞥した瞬間。

 うちの背筋に、氷のような冷たい怒りが走った。


「……なんやこれ。えげつない並びやな」


 うちは特大のサングラスの奥で目を細め、カードが示す素直な意味を、静かに、けれどドス黒い怒りを込めて口にし始めた。


「一枚目、敵の戦艦の性質は『戦車(The Chariot)』の正位置。圧倒的な武力と侵略の進行や。力ずくで前へ進もうとする暴力の塊やな」


 アレンがゴクリと息を呑む。


「二枚目、船団の目的は『審判(Judgement)』の逆位置。過去の過ちの繰り返し、そして救われない状況や。……あいつら、カリカや地下王国でやったような搾取と支配を反省するどころか、また別の場所で同じことを繰り返そうとしとる」


 うちはギリッと奥歯を噛み締め、三枚目のカードにデコネイルを突き立てた。


「そして三枚目……戦艦に曳航されとる、不気味な船の正体や。『悪魔(The Devil)』の正位置」


 カードに描かれた、鎖に繋がれた男女の絵。


「束縛と堕落、理不尽な搾取のカード。……つまりあの船は、無理やり鎖で繋がれた連中がギッシリ積み込まれとる『奴隷船』や! きっと新大陸の開拓用に、各地から掻き集められたんやわ!」


===========


「なっ……! 新大陸開拓のための奴隷船……!?」


 アレンが激しい怒りに顔を歪め、西の大陸の長剣の柄を強く握りしめる。アーニャや周囲の海賊たちも、そのあまりにも非道な帝国のやり方に息を呑んだ。


「四枚目、船団の規模と状態は『ワンドの10』の正位置や」


 うちは重い十本の杖を抱えて歩く男の絵を指差した。


「限界ギリギリの重圧と過労。……奴隷船の中は、定員オーバーもええとこや。荷物みたいに人が詰め込まれて、今にも潰れそうになっとる。一刻の猶予もあらへん」


 うちは最後の一枚を拾い上げ、見せつけるように高く掲げた。


「五枚目、このえげつない船団を動かしとる敵国の国家意図。……『皇帝(The Emperor)』の逆位置や」


 うちはカードを握り潰さんばかりに力を込め、腹の底から怒鳴りつけた。


「傲慢な暴君、自己中心的な支配や! 他人の命を数字としか見ず、自分さえ良ければええっていう腐った腹の底やわ! こんなもん、絶対に見過ごせるかい!」


 うちはパイプ椅子を蹴り飛ばし、拡声魔道具メガホンを口に当てて、三十隻の艦隊の全員に向かって叫んだ。


「ええか、あんたら! うちらは今から、東の大和郷と西のルミナに手紙を出して、援軍を待つつもりやった! ……でもな! あの奴隷船に乗せられとる連中は、そんな何ヶ月も待ってはくれへん!」


 海賊たちが、唾を飲み込んでうちの言葉を待つ。


「往復で何ヶ月も待ってたら、アルビオン帝国に新大陸のええもん全部取られてまうし、何より、あの船の中で潰れそうになっとる連中が死んでまうわ! うちらには今、綺麗に磨き上げた『三十隻の新しい家族オカン・ユニオン』がおるやろが!」


===========


「……オカン。俺たちに、やらせてくれ」


 静まり返った甲板で、最初に声を上げたのは、かつて悪徳ボスとして君臨し、今は雑巾がけで心を入れ替えた大男、ガトーだった。


「俺たちは、ずっと海で好き勝手やって、他人から奪うことしかしてこなかった。……でも、オカンに助けられて、腹いっぱい美味い飯を食って……初めて『誰かを守る』ことの誇りを知ったんだ。帝国の理不尽な奴隷船なんざ、この海賊島を束ねる俺たちが許しちゃおけねえ!」


「そうだ! ガトーの言う通りだ!」


 赤鯱と金鯱の船長が、揃って刀を振り上げる。


「俺たちオカン・ユニオンの初陣だ! 帝国のエリートどもに、海の掟とオカンの恐ろしさを教えてやろうぜ!」


「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉッ!!! 一生ついていきやす、オカン社長ォォッ!!」」」


 三十の海賊団が、一つの強固な「軍隊」として、天を衝くようなときの声を上げた。

 それはもはや、略奪者の声ではない。海を護り、理不尽をぶっ壊すための、誇り高き「海の掃除屋」たちの雄叫びやった。


「……よっしゃ、その意気や! さすがうちが見込んだ家族やで!」


 うちは特大のゴミ拾いトングを肩に担ぎ、新大陸の方角……帝国の奴隷船団が向かった南西の空をビシッと指差した。


「目標、帝国の奴隷船団! 東西の援軍なんか待たんと、このままの勢いで追撃や! これより、オカン・ユニオン全艦隊で『特売ダッシュ(カチ込み)』をかけるでぇぇッ!!」


「「「応おおぉぉぉぉぉッ!!!」」」


 バサァァァァッ!

 三十隻の海賊船が一斉に、特大の「ヒョウ柄のライン」が入った統一の帆を張り上げた。

 魔の海域の真の主を浄化し、三十の海賊団を最強の艦隊へとまとめ上げたおばちゃん。

 帝国の非道な国家意図をタロットで暴き、オカン・ユニオン単独での『奴隷船団への追撃ダッシュ』という特大のクライマックスが、怒涛の勢いで幕を開けたんや!



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