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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明
第11章:魔の海域と海賊諸島! 無法者たちのオカン爆誕

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第166話 双子海賊の兄弟喧嘩と、オカン流・特大ミックスお好み焼き

 ボロボロになった王都の貴族たちを救出した後。

 うちらは彼らを近くの安全な海域まで運び、案内役のガトーに手配させて、通りかかった中立港トルーガ島行きの商船へと無事に乗せ換えた。

 彼らを見送った『オカン・ユニオン』の艦隊は、アルビオン帝国による海の支配を完全に防ぐための「特大の海上封鎖(嫌がらせ)」を完成させるべく、さらに海賊諸島の奥深くへと船を進めとった。


「姐さん! 前方に見えてきた、あの二つの岩山が連なる島。あそこが次なる中堅派閥、『双頭の海蛇ヒュドラ一家』の縄張りですぜ!」


 すっかり案内役として板についたガトーが、甲板で海図を指差す。


「双頭の海蛇なぁ。いかにも強そうな名前やけど、島からえらい黒煙が上がってへんか?」


 うちは特大のサングラスを押し上げ、島を睨んだ。

 見れば、島の湾内では、同じドクロの旗(双頭の蛇のマーク)を掲げた海賊船同士が、真っ二つに分かれて激しい大砲の撃ち合い(砲撃戦)を繰り広げとるんや。


「あちゃー……。あそこは今、絶賛『身内揉め(内戦)』の真っ最中なんですわ。……双子の船長である兄と弟が、先代の親父さんが死んでからずっと、些細なことで対立してましてね」

 ガトーが呆れたように溜息をつく。


「双子の兄弟喧嘩? ええ大人が、島一つ巻き込んで大砲撃ち合ってるんか。アホくさ。……アレン、アーニャ! ちょっとあのバカ兄弟のお仕置きに行くで! 船、ど真ん中に突っ込ませなはれ!」


「了解しました! 砲弾は僕がすべて斬り落とします!」


「任せな、姐さん! 野郎ども、帆をいっぱいに張れ!」


 アーニャの号令で、うちらの旗艦が、砲撃戦を繰り広げている双子海賊の船の「ど真ん中」へと猛スピードで割り込んでいった。


===========


 ドォォォンッ! ドォォンッ!

 左右から飛び交う大砲の弾を、アレンが『刹那の観測』による神速の剣技で次々と真っ二つに斬り裂き、海へと叩き落としていく。


「な、なんだあの船は! どこから割り込んできた!」


「ば、化け物か!? 大砲の弾を剣で斬り落としたぞ!」


 突然乱入してきたうちらの船に、双子の海賊たちはドン引きして砲撃を止めた。

 うちは甲板の舳先へさきに立ち、拡声魔道具メガホンを口元に当てて、左右の船に向かって腹の底から怒鳴りつけた。


「こらーーッ! あんたら、ええ加減にしなはれ! ええ大人が、近所迷惑も考えんと兄弟喧嘩で大砲撃ち合うな!」


 うちのオカン全開の怒声に、右の船に乗っていた兄船長と、左の船に乗っていた弟船長が、揃って顔を真っ赤にして言い返してきた。


『部外者はすっこんでろ! これは、亡き親父から受け継いだ「海蛇一家の魂(伝統)」を懸けた、誇り高き聖戦だ!』


『そうだ! 俺たち海賊の胃袋を満たす、親父の「秘伝の鉄板焼き」の正統なる後継者は、俺だ!』


「……は? 鉄板焼き?」


 うちはメガホンを下ろし、ポカンと口を開けた。

 ガトーが横から、気まずそうに耳打ちしてくる。


「……姐さん。あいつら、先代が残した『秘伝の粉もん料理』の具材を巡って争ってるんです。兄貴の方は『海の男は絶対に魚介とキャベツだ!』って譲らなくて、弟の方は『戦うには豚肉と天かすが必須だ!』って言い張ってまして……」


「……」


 うちは、あまりのくだらなさに、頭の血管がブチッと音を立てて切れそうになるのを感じた。


「……あんたら、そんなアホみたいな理由で、部下を巻き込んで船ボロボロにしとったんか!!」


===========


 うちはアイテムボックスからタロットカードを取り出し、バシッと一枚、甲板に叩きつけた。

 出たのは、『恋人(The Lovers)』の逆位置。

 コミュニケーション不足、そして「些細なすれ違いによる不和」の暗示や。


「アレン! 船を無理やり横付けさせなはれ! あいつらの頭、物理的に冷やしたるわ!」


 うちらの船を双子の船の間に強引にねじ込み、うちは両方の船長を、特大のゴミ拾いトングで襟首を掴んで、自分たちの甲板へと乱暴に引きずり出した。


「痛ててっ! な、何しやがる、この派手な女!」


「親父の味の具材を巡って喧嘩やて? アホか! 具材が違うんやったら、どっちも混ぜて焼いたらええだけのことやろが!」


 うちは、アイテムボックスの奥深くに両腕を突っ込んだ。


「おばちゃんが、本場・大阪の『特大・ミックスお好み焼き』の神髄、あんたらの胃袋に直接叩き込んだるわ!」


 ドサドサドサッ!


 甲板の上に用意されたのは、特大の鉄板。そして、大和郷から仕入れてきた極上の「小麦粉」「山芋」「卵」「キャベツ」。さらに、兄が主張する「新鮮なエビやイカ」と、弟が主張する「分厚い豚肉」と「天かす」や!


「ええか! 粉もんっちゅうのはな、自分の好きなもんを全部一つにまとめて、丸く美味しく焼き上げるから『お好み焼き』って言うんや! 兄弟で具材分けてどないすんねん!」


 うちは神業のような手つきで生地を混ぜ合わせ、熱した鉄板の上にジュワァァッ! と流し込んだ。

 そこに、魚介と豚肉をこれでもかというほどトッピングし、コテを使って完璧な黄金色になるまで焼き上げていく。

 鉄板から立ち上る、生地と具材が焼ける暴力的なまでに香ばしい匂い。

 いがみ合っていた双子の兄弟も、周囲で武器を構えていた海賊たちも、思わずゴクリと喉を鳴らした。


===========


「まだまだ! 仕上げはこれや!」


 うちはアイテムボックスから、前世の記憶を頼りに異世界の素材で再現した「特製・濃厚甘辛ソース」と「マヨネーズ」、そして青のりとかつお節を取り出した。

 熱々のお好み焼きの上に、ソースをドバァッと塗りたくり、マヨネーズを綺麗な網目状にかける。


 ジュウゥゥゥッ……!


 ソースが鉄板で焦げる、あの「悪魔的な匂い」が、潮風に乗って海賊たちの鼻腔を直撃した。

 さらには、そこに精神を安定させる「オレンジ味」と、前向きな活力を生む「リンゴ味」の飴ちゃんを粉末にしてパラパラと振りかける。


「ほら! おばちゃん特製、海蛇一家仲直り『超特大・ミックスお好み焼き』や! 冷めんうちに、二人で半分こして食いなはれ!」


 うちはコテで真っ二つに切り分け、双子の兄弟の口に強引に押し込んだ。


「んぐっ……!?」


 熱々のお好み焼きを頬張った瞬間、二人の目がこぼれ落ちそうになるほど見開かれた。


「……な、なんだこれ……! 魚介の旨味と、豚肉の脂の甘さが……ふんわりとした生地の中で完璧に一つにまとまっている……!」


「ソースの甘辛さとマヨネーズのコクが、すべての具材の良さを引き出している……! 親父が作ってくれた味より、ずっと……美味え……!」


 オレンジ飴の精神安定効果が、二人の頭に上っていた血をスゥッと冷まし、リンゴ飴の魔力が「兄弟で同じものを食べる喜び」を呼び覚ましていく。

 二人は、熱々のお好み焼きを涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら頬張り、やがて顔を見合わせて、ポロポロと涙を流し始めた。


「……ううっ……。兄貴……俺が、悪かった……。豚肉だけじゃ、やっぱり味が単調だったんだ……」


「……いや、俺の方こそ意地を張りすぎた。……お前が言う通り、天かすと豚肉の脂があってこそ、魚介の味が引き立つんだな……」


 双子の兄弟が、鉄板の前で互いの肩を抱き合い、号泣しながら和解した。

 それを見ていた海賊の部下たちも、「おおぉぉっ! 船長たちが仲直りしたぞぉっ!」「俺たちももう大砲撃たなくていいんだな!」と、一斉に歓声を上げて喜び合っとる。


「……ふぅ。やれやれ、手のかかる兄弟やで」


 うちは残ったお好み焼きをアレンやアーニャたちに切り分けながら、特大トングを肩に担いでニカッと笑った。


「さてと、二人とも。お腹いっぱいになって仲直りしたんやったら、今日からあんたらも『オカン・ユニオン』の傘下に入りなはれ。……帝国の軍艦が来ても、うちら全員で『特大のミックス焼き』みたいに力を合わせれば、絶対に負けへんからな!」


「「応ッ! 俺たち双頭の海蛇一家、今日からオカンに一生ついていきやす!!」」


 くだらない意地で作られた内戦の火種は、オカンの作る「お好み焼きのソースの匂い」によって、見事なまでに平和な鉄板の熱気へと塗り替えられた。


 アルビオン帝国を迎え撃つための「三十の海賊団」の結集は、また一つ、大きな勢力を飲み込んで確実なものとなっていったんや。


読んでくれてありがとうございます!


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