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【完結】大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる 〜無限の飴ちゃんと特大トングで、異世界の理不尽を『大掃除』したるわ!〜  作者: 川原 源明
第11章:魔の海域と海賊諸島! 無法者たちのオカン爆誕

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第164話 クラーケンの海域と、全力退避のタロット警告

 幽霊船への海鮮炊き出し供養で赤鯱一家を味方につけ、うちら『オカン・ユニオン』の海賊艦隊は、魔の海域のさらに奥深くへと航路を進めとった。

 案内役としてすっかり板についた元悪徳ボス・ガトーが、甲板で海図と睨めっこしとる。

「姐さん! この先は潮の流れが複雑に絡み合う難所ですぜ! まぁ、俺に任せてもらえれば……ん?」


 ガトーが言葉を切り、遠くの海上に目を凝らした。

 ドォォォンッ! ドォォンッ!

 くぐもった、しかし重たい砲撃の音が、風に乗って微かに聞こえてきたんや。


「砲撃戦……! 姐さん、前方の海域で、船同士が戦っています!」


 見張り台からアーニャの部下が叫ぶ。


「海賊同士の縄張り争いかいな?」

「いえ、違います! 追われているのは……帆にエルゼ様たちの国、『グランシェル王国』の国旗を掲げた大型商船です! そして、それを砲撃しながら追い詰めているのは……神聖アルビオン帝国の軍艦三隻!」


 その報告に、アレンが弾かれたように剣の柄を握りしめた。


「グランシェル王国の商船!? エルゼ様やバネッサさんの国の船が、なぜこんな魔の海域の深部に……! 静江さん、助けに行きましょう! このままでは帝国軍に沈められてしまいます!」


「おう! 姉御、俺たちも大砲の準備はできてやすぜ! 帝国の犬どもに、目に物見せてやりましょうや!」


 黒海亀の船長や赤鯱の海賊たちも、打倒帝国とばかりに息巻き、武器を構えて船を前進させようとする。


 だが、うちは胸の奥が「ざわっ」と嫌な音を立てるのを感じて、彼らを手で制した。


「ちょっと待ちなはれ」


「えっ? 静江さん、待っていたら商船が……」


「焦ったらアカン。……この海域、なんか『変』や。波の音が全くせえへん」


 うちはアイテムボックスからタロットカードを取り出し、急いで木箱の上に三枚のカードをバシッ、バシッと展開した。


 出たのは、『塔(The Tower)』の正位置、『ワンドの8』の逆位置、そして『ソードの6』の正位置や。


 そのカードの並びを見た瞬間、うちの背筋にゾクッと氷の刃が走った。


「……アカン!! 全船、今すぐ停船! いや、帆を限界まで張って、全力でこの場から後ろへ離れなはれ!!」


「えっ!?」


 アレンも海賊たちも、おばちゃんの異常なまでの切羽詰まった声にポカンと口を開けた。


「『塔』の崩壊! 『ワンドの8の逆』は制御不能な大災厄の急接近! そして『ソードの6』は、危険地帯からの全力の避難や! あの商船に近づいたら、うちらの艦隊ごと一瞬で海の藻屑になるで!!」


「し、しかし姉御! あの商船を見捨てる気ですか!?」


 ガトーが血相を変えて食ってかかるが、うちは首を横に振って、さらに二枚のカードを追加で展開した。

 めくられたのは、『ペンタクルの5』の正位置と、『星(The Star)』の正位置。


「見捨てるわけやない。あの商船の運命は……『ペンタクルの5』で船はボロボロになって極限の窮地に陥るけど、最後に『星』が出とる。……何があっても、命だけは絶対に助かるっちゅう暗示や。やから、今は絶対にあそこへ近づいたらアカン!! ええから、さっさと船をバックさせんかい!!」


「わ、分かりました! 全船、後退ィィッ! 姐さんの指示に従えぇ!」


 ガトーたちが慌てて号令をかけ、うちらの艦隊は、戦場から遠ざかるように全速力で距離を取り始めた。


===========


 うちらの船が安全な距離まで退避した、その直後やった。


「あ……っ!」


 アレンが、信じられないものを見るように、遠くの海域を指差した。

 グランシェル王国の商船を追い詰め、勝利を確信して砲門を開いていた三隻のアルビオン帝国軍艦。


 その巨大な軍艦の周囲の海面が、突如として『真っ黒な墨』を流したように、どす黒く染まり始めたんや。


『な、なんだ!? 海の色が……! 船の底に、何か巨大な影が……!』


 帝国軍の艦上から、恐慌状態に陥った悲鳴が聞こえてくる。

 次の瞬間。


 ズバァァァァァンッ!!


 という鼓膜を破るような轟音とともに、真っ黒な海面から、軍艦の帆柱よりも太く、無数の吸盤が蠢く『クラーケンの巨大な触手』が何本も、天を衝くように打ち上がったんや。


「ひぃぃぃッ!? ク、クラーケンだぁぁッ! 魔の海域の主だぁぁッ!」


 歴戦の海賊たちですら、甲板にへたり込んで震え上がるほどの、規格外の大怪異。

 クラーケンの巨大な触手は、帝国軍の軍艦に容赦なく巻きつき、分厚い装甲をまるでダンボール箱のようにメキメキとへし折っていく。


『ギャアアアッ! 撃て、撃てぇッ!』


 帝国軍が大砲を放つが、その程度で怯むような化け物やない。

 巨大な触手は、三隻の軍艦をまるごとしめ上げると、そのまま問答無用で、真っ黒な海の底へと一気に引きずり込んでいった。

 ……ザバァァン。

 数十秒後。さっきまで最新鋭の軍艦が浮かんでいた海には、何事もなかったかのように、ただ黒い渦だけが残されとった。


「……うそ、だろ……」


 アレンが、モップ槍を取り落としそうになりながら呆然と呟く。


「静江さんの占いがなかったら……僕たちも一緒に、あの化け物に引きずり込まれていました……」


「……お、恐ろしい。占いが外れて突っ込んでいたら、俺たちの艦隊も全滅だった……」


 ガトーや海賊たちも、うちのタロットの恐るべき正確さに、改めて畏怖の目を向けて平伏しとる。


「……ふぅ。えらいもん見てしもうたな。やっぱり、大自然のクレーム対応が一番厄介やわ」


 うちは震える手でハチミツ味の飴ちゃんを口に放り込み、ガリッと噛み砕いて冷や汗を拭った。


「でも、静江さん! 見てください! あの国の商船!」


 アレンが指差す先。

 クラーケンが暴れた余波と、帝国軍の砲撃でマストは折れ、船体は穴だらけのボロボロになっとるが……不思議なことに、その商船だけは黒い渦に巻き込まれることなく、奇跡的に波間にプカプカと浮いとった。


 まさに『ペンタクルの5(ボロボロ)』と『星(希望)』の暗示通りや。


「よっしゃ、占い通りや! あいつら、強運な星の下に生まれとるで!」


 うちは特大トングを肩に担ぎ直し、パンッと手を叩いて海賊たちに号令をかけた。


「怪獣のお食事の時間は終わったみたいやな! ガトー、アレン! あのボロボロの商船、回収しに行くで! 王国の連中がなんでこんなとこまで来たんか、きっちり話聞かせてもらわなアカンからな!」


「応ッ!!」


 魔の海域が牙を剥く、圧倒的な大自然の驚威。


 それをタロットの警告で見事に回避したおばちゃん一行は、沈みかけの故郷の商船を救出すべく、再び海域へと船を進めるんや。



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