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魔術寄生体マギアクネ  作者: ゆじゅき
第1章 異世界こんにちは編
15/23

第13話 【実戦】

集落生活16日目


目が覚めて、まず初めにオークの解体を始めた。


日本にいたころからなのだが、基本的にじょるのと悠月は日に1食か2食ほどしか食べない、なぜか分からないが朝ごはんという存在を体が受け付けなかった。

普段は無理やり食べようとしても、全然胃袋の中に入っていかない。


この世界に来てからは、かかるコストが少なくっていいじゃん、くらいに思っていた、のだが。


なぜか最近は朝起きるとめちゃくちゃ腹が減って、とりあえず果物を食べていたり、じょるのが狩ってきたオークを捌いてこっそり食っていたりする。


怪我をしてからか運動を久々に始めたからなのか。

体が回復のためか知らないが異様に腹が減るようになってしまった。


まあ、そんな悠月のちょっとした変化などどうでもいい、少しコスパが悪くなった程度だ。


(さて...どうするかな)


焚火でいつものオーク肉を焼き、食べている間に少し考える。


(あの女に対して色々疑問はあるが、それは置いておく)


あんな化け物に深くかかわる気はないし、正直あまり考えたくない。


けれど、あの強さの秘訣は知りたい。


(多分あの女の特筆すべき点は圧倒的な身体能力(ステータス)


あのグリフォンの首を蹴り落とした時、あの女はグリフォンの上から降ってきた。

予想では岩壁の上から落下してきたんだと思うが、あの小柄な体系でただ落下してきただけで、悠月が目に捉えられないほどの速度が出るとは到底思えない。


予想では、空気中に足場を作るスキル、もしくは、体重操作、重力操作系のスキルを持っている、と推測している。


(レベルの高さ故のステータスって言われたらそれまでだけど...鍛え方が足りないとかそんな差じゃないと思うんだよな)


あの女の体は、筋肉のきの字も見えないような女子の体をしていた。

鍛えているとは思えないあんな細足でグリフォンの太い首を引きちぎれるのか?


(へし折るならまだ分かるけど、引きちぎるだぞ?)


まるで処刑台で首を切り落とされたような一撃だった。

確実にこれには何か悠月のしらないからくりがあるはずだ。


(まあいい、とりあえずいい機会だし、ステータスのレベル上げでもするか)


何かからくりがあったとしても実際に自分のステータスが足りていないのも一つの理由ではある。

それに実の所、悠月は一人で魔物を狩ったことがない。

じょるのはオークやゴブリンを毒スキルで一方的に狩り殺しているが、悠月がオークやゴブリンと戦うなら一対一のちゃんとした殺し合いをしなくてはならない。


治療手段もない状態で怪我を負うのは致命的、と判断して必要な時以外の殺し合いは避けていたが、今はそうも言ってられない。

このままだと今後もじょるのの足手纏いになるだろう、それだけはかならず避けなくてはならない。


「さて行くかッ...」


しっかり肉を食い腹がいっぱいになった。

焚火の火を消し軽く伸びをした。

簡単なストレッチをして、壁に立てかけていた槍を携えると、悠月はそのまま森の中へと入っていった。




―――数時間後




「まあ、こんなもんか...」


倒れた大木に座りながら「ふぅ」と一息ついた。

結果、悠月は今現在ゴブリン4体、オーク2体を狩った。


当然だが1対2では勝てないので、独立した個体と1対1で戦った結果だ。


なんといえばいいのか、今実際に戦ってみた感想として思うのは...


(俺が強いというよりも槍が強い...)


今日戦ったゴブリンとオークの個体は、それぞれ斧と直剣しかもっていなかった。

はっきり言って間合いに注意して、槍でヒット&アウェイを繰り返していけば比較的簡単に倒せた、それほどまでに間合いの広さは有利を得られるのだ。


ただ、それでもやはり知性ある魔物達だ、当然一筋縄ではいかなかった。


オークは耐久が高く反射神経が低い、ほとんどのオークが一撃受けた後に反撃してくるスタイルだ。

一匹目はそのおかげで何度腹に槍を突き立てても死なず苦労した、しかも躱しきれずに一発貰った。


二匹目で理解したが、オーク対策としてまず一槍目に狙うべきは左肩だ。

オークのほとんどは左利きなので左肩を槍で抉ると反撃がほとんど不可能になる、そのあとは苦しめないように首を狙ってなるべく早く殺す。


ゴブリンは基本的に1対1なら問題はないので、安心して......戦ってはいけない、慢心せず速攻で首を落とす、できれば不意打ちがベストだ。


ゴブリン達はちゃんと頭がいい、距離が足りなければ斧や石をぶん投げてきたり、土を投げつけて目つぶししてきたりする、それでも無理なら即座に逃げ出して仲間と合流しようとする。


正直ゴブリンの方が厄介だったりする。

ちなみに悠月は、ゴブリンに二度逃げられて、二回目では逆に大量のゴブリンに追いかけまわされていた。


これが悠月なりの、ゴブリンやオークへの対策と対応だ。


「この過程全部すっ飛ばす毒スキルって...やっぱ破格だな」


神経毒で落として処刑するだけって、悠月の飴玉はマジで一体何なのか...

これ考え始めると心が虚しくなってくるからやめよう。


(こう見ると漫画の主人公ってやっぱすげぇんだな)


ゴブリンとかオークを完全に雑魚扱い、異世界で無双している。

それに比べて悠月は一対一でちゃんと苦戦して逃げ惑う始末......正直不甲斐ない。


(.....あぁ...本当にちゃんとした主人公なら失敗もしねぇんだろうなぁ...)


最近悠月は魔術に関して失敗し、完全に時間の無駄遣いをしてしまった。

それを引きずって、実際にはいない理想の完全無欠な異世界の主人公像と自信を比べて、落ち込み。

さらに今、魔物と戦ってもじょるのとの差を思い知らされ、少し落ち込みモードに入っていた。


「はぁ...さて、と、行くか...」


頭の中の嫌なイメージを振り払い、小休憩を辞めて槍を手にして立ち上がる。


そこからさらに数十分ほど奥に進む。

向かっているのはこの前のゴブリンの巣穴だ。


(もしかしたらもう一度くらいあの女の動きを目にできるかも...)


なんて危険は承知で向かっていると、この前途中で見かけたグリフォンの死体が、まだその場に転がっていた。


(かなり腐ってるな...)


下半身から腐っているようだが、羽根に関しては全く穢れがない。

今後町に行くならグリフォンの羽根はいい値段がつくかもしれない、このまま腐らせるくらいなら貰ってもいいだろう。


(ナイフ持ってくるべきだったな...)


仕方なく槍を背中の羽根の付け根に突き刺すが、めちゃくちゃ固い。

皮か骨か肉なのか分からないが、槍が全然動かない。


なんとか踏ん張りながら槍で切り取ろうと踏ん張って.....――


「ッ!」


――どこからか鋭い蹴りが顔面に飛んできた。


「ッ!?ぶッ!?」


一切反応できず、グリフォンに槍が突き刺さったまま体だけが吹き飛んでいく。

地面の上を体がバウンドし、木に激突。


「...あなたは...人?...」


そんなつぶやきが聞こえるが悠月の体は全く動かない、視界が暗転していく。


(反応も...でき....な.......)




※※※※※※※※※



.....

...........

..................




「ん.....んお」


「起きた?...」


目が覚めると牡丹色の大きな瞳と目が合った。

端正な顔立ちがすぐ目の前にあり、悠月は数秒目が開けたまま固まった。


(ん?...なんでこの女に膝枕されて...)


のそっと女の膝から起き上がる。


「......」


「......?」


3秒ほど牡丹色の瞳と目を合わせ、女が首を傾げると、悠月は冷や汗をだらだらと垂らし...バッ!と即座に距離をとった。


(やばッ!!く、首ついてる!?首ついてるよな!?)


そこで急に何をされたのか思い出して、全身と背筋に凍ったような嫌な感触が溢れた。

悠月がグリフォンを解体しようとしてたら、認識はできなかったけど多分顔を蹴り飛ばされた、っていうのは覚えてる。


(首は大丈夫...ってことは、殺す気はない?)


なんなんだこの女、どういうつもりだ?

いきなり俺のこと蹴り飛ばしといて、なんで膝枕?


悠月の頭の中に疑問と恐怖だけが溢れていく。


「その...大丈夫?...」


警戒されている当の本人は、心配そうに近づいてきて、悠月が恐怖で動けずにいることを良いことに、そのまま至近距離まで近づくと、鼻を優しく撫でてきた。


「ごめんね.....」


多分敵意はない、というかあったらすでいに自信がここに生きて残ってはいないことを確信し、息をのんで謝罪に対する言葉を返した。


「...謝るなら最初から蹴らないでくれよ」


「ん...その、この子の...泥棒?...かと思ったから...」


「.....そうか」


そう言われると何も反論できない、実際にグリフォンの素材頂こうと悠月は考えていた、泥棒はただの真実だ。

でも絶対にそんな素振りは見せない。

やっぱり泥棒だ、と判断されてぶっ殺されたら笑えない。


「ふぅ....それで?...あんたは、こいつをどうするつもりなんだ?」


「...供養...しようと...思った」


そういって女は軽々とグリフォンの死体を持ち上げると、そのまま少し歩き始める。

歩いた先には大きな穴が開いていた、ちょうどグリフォン一匹が入りそうな穴。

女がそこにグリフォンを入れると、近くに置いてあったスコップで上から土を被せ始めた。


(...供養中に偶然俺が通りかかったわけ、か...運ねぇなぁ)


まあ今回は運だけじゃなく欲を出した悠月自身も悪い。


しばらくして、穴に埋め終わった女は、スコップをグリフォンを埋めた場所に突き立て、くるりと振り返った。


牡丹色の瞳が悠月を逃がすまいと見つめている。


「それで...あなたは...人?」


そう問いかけてくる女に悠月は少し困惑する。

まるで悠月が人以外の何かの可能性がある、みたいに聞いてくるのだ。


(これどっちが地雷だ?...人だといいのか?それとも人以外の何かの方がいいのか?)


今悠月が生かされてるのは、このどっちかだと殺せないから、とそんな予測を立てる。


実際全く分からない、可能性は二分の一だ。


...とはいえ人型の化け物なんて種族今の悠月には皆目見当がつかない、下手に嘘ついて不況を買う方がまずいだろうか?せめてもう少し情報得て判断しよう。


「答えてもいいけど...あんたのことも教えてくれよ、互いに自己紹介するべきじゃないか?」


「ん、分かった、私は....クロ...種族はゴブリンビィーナス」


(...ゴブリン!?...)


内心めっちゃ驚いたが表情には出さないように口をぐっと噛む。

けど脳内は疑問だらけだ。


お前のどこにゴブリン要素があるのだろう、ただの人間にしか見えない。


(見た目は完全にただの黒髪褐色ロリだろうがッ!?)


悠月も戸惑いのあまり、内心吠えていた。


「そっちの番」


「ん、ああ俺は...悠月、種族は.....人間だ」


「そう.....なんだ...」


できるだけ焦りを見せないように、クロの様子を注意深く見ながら人間をカミングアウトする。

するとどこかクロは残念そうな顔を浮かべていた。


ぶっちゃけその表情で悠月は肝が冷えた。

ああ、もしかして二択の選択肢間違えたんじゃないだろうか、と。


「ユヅキ...いい名前」


ただそんな悠月の怯えなどつゆ知らず、クロは残念そうにしながらもニコッと笑いながら微笑みかけてくる。

その顔に、少しだけ悠月の気が緩んだ。


(可愛い、なんて思うな俺ッ!こいつは魔物、悪い奴ではないだろうが...それでもちょっとした機嫌の悪さで殺されてもおかしくない)


絶対に隙は見せるな、圧倒的な格上。

だが一般的なゴブリンと違って言葉が通じる、それなら頭を使え、クロに悠月は殺したくないと思わせろ。


「ありがと、クロもいい名前だよ」


悠月も硬かった表情を一変させ、笑顔を浮かべてそう返す。


「嬉しい、けど.....その、ここは...ユヅキが...人がいちゃいけない場所...帰ってほしい」


人がいちゃいけない場所ね。

帰るにしてもこの森に住んでるし、帰る場所なんてないのだが。


「ここってのは何処の話だ?」


「この森、桜岳大森林のこと」


人がいちゃいけない場所ってのは、ゴブリンの巣とか場所じゃなくてこの大森林全体を指してるのか?

いずれ、この森から出ていくつもりではあるが、今すぐに出ていくというわけにもいかない。


「なんでこの森にいちゃいけないんだ?」


「それは...ん...言えない」


「そうか」


言えないなら無理に聞き出すわけにもいかない、下手に逆上されたら終わりだ。


とはいえ困った。


(クロに出て行けと言われたら出ていくしかない)


簡単な話、悠月達の方が弱くてこの女の方が強者だから。

従わないなら物理的に追い出されるか、グリフォンと同じように土の下に追いやられる。


こいつは人がいい、上手く誘い出して飲み物としてじょるのの毒を飲ませて、殺す――いや結構な賭けだ。

それにできればじょるのを巻き込みたくはない、死ぬなら悠月一人だ。

このクロという女に目をつけられたのは全て悠月の責任なのだから。


どうするか...考えている内に、突拍子もない案が頭に浮かんだ。


「はぁ...よし分かった、クロは俺が出て行ってくれないと困るんだよな?」


「...そう...無理?...」


「いや、出てくよ」


「本当ッ」


「ただし、条件がある」


悠月的に、この森はやばい奴もいるが比較的安全だったと思っている。

だからこそ悠月たち程度の奴がここまで生きてこれた、かなり運が良かったのだ。


きっとこの森の外は更に危険な世界だ、目の前のクロという女と同じような化け物が出てくるかもだし、敵は魔性類だけじゃない、相容れない人間だっているだろう、人を殺さなくてはいけない時だっていずれ来るんだろう。


けど、このまま外に出るには悠月は弱すぎる。


(使えるものはなんだって使ってやるさ)


冷やせを垂らしながら、悠月は笑顔を張り付ける。


「俺は強くなるためにこの森に来た、つまり強くなれば出てくってわけだ」


「うん」


「俺が見た中でクロは凄く強かった、どうだろう?俺を鍛えてくれないか?ある程度強くなったら潔く俺は森から出ていく」


「ん、分かった」


その返事はあっけないほど簡単に了承された。

正直、面倒くさい、殺して穴に埋めた方が速い、なんて考えられてもおかしくはなかった。


だが、悠月の感じたこのクロという女の善性を信じたが故の決断は、結果的に上手くいった。


「ただ...私...誰かに、教えたことない...それでも、いい?」


「大丈夫だ...ただ殺すのはなしで頼むよ、師匠」


「師匠...ん、分かった。じゃあ...はい」


師匠という言葉に少しだけ口角を上げて微笑んだクロは、殺さないでくれ、という事を簡単に了承する。

そして――


悠月に向かって両手を広げた。


(え、意図が全然分からん...攻撃して来いってこと?)


そのたった数秒、意図を考えたその瞬間、腹部に足が突き刺さった。


「ぐべぇッ!?」


クロの前足蹴りにより悶絶、両手で腹を押さえながら地面にうずくまる。


「今...気抜いた...死んじゃうよ?」


クロの一撃に胃の中の物が逆流するが、無理やり飲み込み。

荒い息を吐き、腹を押さえながらもなんとか立ち上がった。


「はぁ...ふぅ...そう、いう感じ、ね...」


悠月の腹に穴が開いていないことから手加減はされているようだけど。

今からいきなり開始だとは聞いていない。


「じゃあ...もう一回」


同じように両手を広げるクロに、今度は一切気を抜かない。

地面に落とした槍を握りしめ構える。


「ッ!」


一歩踏み出しながらクロの心臓めがけて槍を突き出す、がクロは表情一つ変えず本当にギリギリのところで避ける。

そのまま連打、槍を突き出し続けるが掠りもしない。

動きが読まれているのかと思って、わざとクロを狙わず外して突き出せば、そもそも躱しすらしない。


多分、こいつは俺の動きを読んでるとかじゃなくて、全部目で見て避けている。


「はぁはぁッ...」


15分くらい全力でクロを狙い続けたが、一度も掠りもせず、クロの毅然とした表情が変わることはなかった。


そして、息を吐き疲れ果てる悠月に向けて、クロは疑問を投げかけた。


「...一つ聞かせて...どうして...魔気を使わないの?」


「はぁ...え?...使う?」


魔気というのは、魔術気体のことであってるのだろうか。

魔気、つまりMPの話だ。

身体強化の魔術の話だったりするのだろうか、それなら少し困ってしまう悠月は魔術が使えない。


「手...貸して」


「え...はい」


手を前に差し出すとクロはその手を握りしめる。

そして少しすると手に妙な感覚がした、例えるなら手先がピリピリとしびれているような感じ。


「分かる?...」


「多分...」


「これを...できるだけ速く...回して...こう」


クロが右拳で近場の木を思い切り殴りつけると、そこに拳大の穴が開き、拳が貫通した。


「使わないと...こうなる」


そのあともう一本の木をクロが殴りつける、速度もさっきより遅く、木に穴は開かずそのままへし折れた。

そして木を殴りつけた拳からは血が垂れていた。


(素で化け物じゃねぇか...まだあんまよく分かんないけど、魔気を使いこなせれば身体能力の向上にダメージも抑えられるってことか)


これが悠月の知らなかった、クロの異常な身体能力のからくりなのか――


「それじゃ...やろ?」


「え?」


「上手く使って...実戦...しよ」


「ッ!?」


ギリギリだった。

悠月に思考する間も与えず、急襲するようにクロの放った回し切りが鼻をかすめた。

驚きのあまり悠月はそのまま後方に倒れしりもちをつく。


(体が...ついてこないなッ)


クロの動きは手加減されているおかげもありギリギリ視界に捉えることができるのだが、避けるのさえ危うい。

見えても体が全く動かないのだ。


(できれば反撃までしたい...)


「また...遅い...」


座り込んでいる俺の顎をムーサルトの要領でクロの足が打ち抜く。


(やばい、頭が.....)


なんとか立ち上がりながら、槍を構えなんとか一歩前に突き出すが、左手で簡単に逸らされもう一発顎に右の掌底が撃ち込まれた。


(やば...落ちる...)


魔気とか意味分からないものいきなり見せられて、ほとんど説明なく、やってみろ実戦でな、って流石に酷いだろ、もうそんな悪態をつくほどの余裕しか残っていない。


視界がぼやけ意識はぐちゃぐちゃ、気持ち悪い吐き気のようなものを感じながらなんとか槍に縋りつくようにして震える体を立たせる。


「はぁ...」


最後の力を振り絞って、一槍報いてやる、その気力だけで槍を構えて突き出し、クロの姿が視界からきえると...――世界が瞬く間に暗転した。


「...槍...へた...」


そんな腹立つ言葉を最後に、意識が消えた。

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