【なろうラジオノミネート作】5年がかりで専業主夫を目指す僕ですが、年収2000万のバリキャリ女子だって落としてみせます。
お陰様で『第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』ノミネート作に選ばれました!
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【なろうラジオノミネート記念】【ヒロイン視点】年収2000万のバリキャリ女子ですが無職学生に落とされてしまいました。
作品URL : https://ncode.syosetu.com/n7344iq/
16歳で調理の専門学校に入った。コックになるためじゃない。専業主夫になるためだ。
1年目は日本料理、2年目中華、3年目洋食を学びそこも退校。4年目はハウスクリーニングを学びつつ5年目に結婚相談所に登録。僕の婚活が始まったわけだ。
働いたことすらない僕に対して申し込みはゼロ。全然めげない。僕自身は年収の高い女性にばかり申し込みを続けた。年齢差は10歳以上。何せ『若さ』が僕の重要な長所ですので。
初めてマッチングして、高級ホテルのラウンジにでかけた。
現れた女性は12歳上。年収2000万の経営者。顔は僕の好みにドンピシャリ。
やった〜! 1人目からサイコーの人が来た!
「本当に学生じゃん……」
呻いた。さらに僕の希望が『専業主夫』と聞いて、彼女の目が完全に死んだ。
『消化試合』と割り切ったのだろう。猛烈に婚活の不満をぶちまけ始めた。ろくな男がいないらしい。
「『海外旅行』『ワイン収集』って趣味、改めて下さいって言われて」
うっわ〜! ゾクゾクする! 『金のかかる女』って避けられてる!
神妙に拝聴して「僕にあと1回だけチャンスを下さい」と頭を下げた。
翌週ピクニックに誘い芝生の上でお弁当を広げる。彼女が息を飲んだ。
カレー粉の効いたサンドイッチ。生ハムとパリッとした冷たいルッコラのサラダ。手作りスコーンやレモンパイ。
ポットから注いだ飲み物を一口飲んで
「んんんん〜〜!♡」と身をよじり悶える。
「美味しい〜〜〜〜ホットワイン!」
そう。果物やスパイスを仕込んだホットワイン。これがサンドイッチにピッタリ合う。1番好きな旅行先がイギリスだよね? あなたのSNS、全部読みましたよ。
そのまま彼女の家に転がり込むと、チャチャチャチャ〜ッと冷蔵庫の残りでつまみを作った。実技試験です。
翌朝興奮し切った彼女から電話がきた。
「お粥ぅ!」
僕は昨日お粥を炊飯器にセットしておいた。ホタテ缶と出汁と塩の簡単なやつだが、朝食べて感激のあまり電話してきたらしい。
「お粥も得意なんです。離乳食? お任せ下さい」
「フヒッ」
彼女が完全に陥落した。
最初の死んだ目もどこへやら。目をギラギラさせて
コノオトコノガシテナルモノカ
となった彼女に僕は攻め落とされ、めでたく成婚退会。専業主夫になった。
アニメを見ながら洗濯物を畳む。望み通りの生活。幸せだ。
僕のレストランたった1人のお客様のため、スーパーに自転車を走らせる。妻の笑顔こそ僕の生きがい。夕飯、何にしようかな。




