幼馴染みは距離感がおかしい
そう言って彼女は手を振っていくと、紅羽が僕の方へ向かってくる。
やっぱり怒っているようにしか思えない。
なんていうか、顔には出ていないがはっきりわかる。
「隣、いいですか~?」
「何を怒ってるんだ?」
「怒ってないですよ~。 えぇ、怒ってないですとも……付き合ってほしい人が女の子にデレデレ鼻を伸ばしていたからって付き合ってないんだから怒るはずないでよ~」
僕に笑顔で、そして敬語で話す彼女。
どう考えても怒ってないという方が無理な感じだった。
因みに笑顔でも目は全く笑っていない。
「そうか」
触らぬ幼馴染に祟りなし。
僕はそう思いながら黙っていると、
「そんなに私じゃ嫌?」
「嫌っていうか振られてるし」
「今告白したら、大成功ならぬ超成功間違いなしだよ?」
「ゲームか」
「言っとくけど、君が隠してるHなゲームの話じゃないからね」
「誰がそこを言ったか、てか隠し場所を大声で言うな」
後、なんで知っていると言いたかったが、何度か隠した所が尽くバレたので何とも言えなかった。
「ばれて困る物を隠す方が悪いんです~!!」
べ~っと舌を出す。
そのまま掴んで引っこ抜いてやろうか。
「人の秘境に手を伸ばすのが悪いに決まってるだろ」
「ま、そんなんじゃ彼女は私以外呼べないね~」
なんでお前は平気なのかと言いたいのだが、結構見つかって平気そうだったのを見てた……っというかガン見してたのを覚えている。
「てか、思ったんだけど、お前ってむっつりだよな」
「うん、そうだけど?」
そこは否定しろよ。
女子、しかも可愛い女子がそういうのはどうかと思う。
「夢を壊すようで悪いんだけど、清楚系で顔真っ赤にするって人見知りかキャラ作ってるかどっちかだからね」
本当に夢壊してきたな、こいつ。
「そんなことないだろう」
「女子の生々しい会話聞いたことないからそんなこと言えるのよ」
何か気になってきたが、聞いたところで彼女は絶対に答えないだろう。
紅羽はそう言うと、僕に身体を密着してきた。
「近いって」
「別にいいじゃない」
よくない、この密着度は非常によろしくない。
腕に柔らかい感触が当たっているので健全なる男子高校生に毒……否、猛毒である。
「離れろ」
「照れちゃって~、このこの~」
彼女は細くきれいな指で僕の頬をつついてくる。
「……照れてない、離れろ」
「ちぇ~、冷たいな」
「冷たいもんか、君の距離感がバグっているんだ」
正直、彼女の人との距離感は近い。
そのせいで僕も含め勘違いする男子がどれだけ犠牲になった事か。
「バグ? なに?」
「おかしいって意味だ」
「そうかな?」
「そうだよ」
「でもまぁ、好きな人となら距離を近づけたいよね」
顔を更に近づけ可愛らしく笑ってくる。
本当にこの子はこういうことをスラスラと……。
それと二人な事もあり、ずっと疑問を投げかけることにした。
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