椎名日和
ドリンクバーの元へ向かうと、僕らはそれぞれ頼まれたジュースを入れる。
海斗のだけは、コーラの代わりにコーヒーに炭酸水を入れた特製ドリンクを作った。
せめてもの嫌がらせだ。
「お待たせ~」
僕に対する態度とは裏腹に、彼女は元気そうに入っていく。
「お、お待たせ」
「お~、戻ってきたか~」
海斗は僕が恨めしそうに見ると、彼はばれたのを察したのか舌を出す。
余計に腹が立つ。
「ほれ、頼まれた物だ」
僕はコーヒー炭酸水を彼の机に置く。
そうして、彼は喉が渇いていたのか一気に飲み干した。
彼は飲み干ほそうとしたが、コーヒー炭酸水という考えられない味に彼はよほど不味いのか、一気に飲み物を噴き出した。
それを先読みして、僕は女の子にかからないように持ってきたトレイを彼の前に出すと彼の吹いた飲み物がトレイに吹きかかった。
「おい!! 何入れたんだよ!!」
うげえっと不味そうに舌を出す海斗。
「親友を裏切った罰だ……良かったな、毒じゃなくて」
復讐は果たした。
清々しい気分だった。
「ほれ、水だ」
お口直しに一応持ってきた水を渡す。
しかし、先程の件もあるのか、疑いの目を向けてくる。
「大丈夫だ、これは本当の水だから……なぁ?」
「私が保証するわ」
紅羽がそう言うと、海斗は水を飲んだ。
「なんてことしてくれんだよ!!」
「それはこっちのセリフだ!!」
僕らが口喧嘩をしている間、紅羽は二人に何か耳打ちをしていた。
すると、二人の女性徒はほっとした顔で僕らを見ている。
「はいはい、喧嘩はそれくらいにして……皆、楽しめないわよ?」
そうして僕らが言い合いしているのか、紅羽が割って入りそう言うと黙る。
「さて、馬鹿二人の喧嘩が終わったところで二人一組のお話タイム~!!」
そう言ってそれぞれ配置につく。
「こうやって話すのは初めてだね」
この子の名前は確か、椎名日和だったか?
亜麻色の綺麗な髪に眼鏡が印象的な女の子だ。
「椎名さんだっけ?」
「え、さっき自己紹介したばかりだよ?」
そう言ってフフっと手を当てて笑う。
この子はこの子で可愛らしい印象だった。
「ねぇ、海斗君から聞いたんだけど……紅羽ちゃんとは幼馴染なんだって?」
「うんまぁ」
「そっかそっか、いいなぁ~」
そう言って羨ましそうな顔をする椎名さん。
「二人は、付き合ってたりするのかな?」
「いや、僕らは付き合ってないよ」
「……本当?」
「あぁ、嘘を吐く理由なんてあるのか?」
嘘はついていない、だって振られているのだから。
「なら、私……君の彼女に立候補してもいいのかな?」
……え?
それは、恋人的な物だろうか?
「えっと……」
「あぁ、友達からでいいの……駄目?」
潤んだ瞳で僕を見てくる。
ノーとは言い切れなかった。
「友達からなら……」
僕ってチョロいな。
「やった、連絡先教えてよ」
そう言ってスマホを取り出して連絡先を交換した。
家族と紅羽、海斗以外で初めての連絡先追加だった。
「時間で~す、次の組んでない人の所に回ってくださ~い」
「残念、それじゃあまた後でね」
彼女は立ち上がり、ウィンクをしながら手を振って次の所に向かった。
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