幼馴染みは嫉妬する
なんて、安易に考えて居た自分を呪う。
なんせ、待ち合わせ場所に行くとそこには僕の良く知っていた顔が居たのだから。
その顔は僕の方を見てニッコリとほほ笑んでいる。
スゲ~怖え~。
幼馴染だからわかる、これは相当怒っていらっしゃる。
そう思いながら、メンバーが揃うとお店に向かった。
場所は近くのカラオケだった。
まぁ、高校生なのでこれは妥当だ。
「それじゃあ、自己紹介から……」
そう言って互いに自己紹介する。
学校では顔を会わせているが、それぞれの趣味や小話などを話していった。
僕の自己紹介をしている間も、彼女は僕の方をニッコリと見ていた。
だから怖えって。
「私、飲み物取ってくるよ」
「お~、気が利くね~」
そう言って僕の方を見る。
着いて来いよと言っている感じがした。
まぁ、端っこなので僕が行っても何ら不思議ではなかった。
「俺、コーラ」
「あ、じゃあ俺ジンジャーで」
そう言われ、紅羽と共にドアから出る。
「まさか、本当にいくなんてね」
まるで風船のように頬を膨らましている。
この言い方だと、僕が合コンに来たことに怒っているようだった。
「お前こそ来てんじゃん」
意味が解らなかった。
彼女もここに居る時点で同類というか、告白を唆してくる女の行動には思えなかった。
「私は貴方が来るって佐川君から聞いたの」
海斗~!!
紅羽の言葉でなんとなくわかった。
これは数合わせではない、来なくても2対2でやるつもりだったのだ。
「そもそも、なんで紅羽が海斗の連絡先知ってんの?」
「ん? 私、クラス全員の連絡先知ってるよ?」
なんというコミュ力お化け。
僕なんか、中学もそうだったが、入学してから新規ゼロだぞ?
営業利益は無しだ。
いや、営業してないけども。
「にしても、ショックだなぁ~……半年前、私に告白してきたのにもう他の女の子に鞍替えか~」
およよ~っと泣きまねをする彼女。
「別にいいじゃないか、半年も前だしもう君に未練はないよ」
紅羽に対する恋はあの時に置き去りにしてきたのだから。
そう言うと、紅羽は顔を近づけてくる。
近い近い。
何度見ても綺麗な顔だった。
それにいつもよりも、少し化粧をして私服を着ているせいか余計に美人に見えた。
「じゃあ、これから私に惚れさせればいいわけね」
僕の方を見てニコッと笑う。
その笑顔は僕の心臓を跳ね上げてくる。
「私、君を落として見せるから」
そう言うと、彼女は僕から離れドリンクバーのある場所へ歩き出した。
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では次回、彼女の猛アタックに誠一は耐えれるのか、こうご期待。