幼馴染み妹の冷たい視線
「お待たせ、お兄ちゃん」
暫くして、先程の氷のような視線を維持して美優ちゃんが部屋から出てくる。
どうやら、まだ怒っているようだ。
「あの、美優ちゃん?」
「何?」
僕の方をある種の奇行種なら喜ぶような目で見てくる。
「その、さっきはごめん」
「いいよ、気にしてないし」
その顔と目で言われても、全く説得力の埃すらないんだが?
そう言うと、彼女は僕の方にもたれ掛かってくる。
「……お兄ちゃん、おぶって」
美優ちゃんはプルプル震えながら僕に言った。
「限界……」
美優ちゃんはその場にへたれこむ。
どうやら、怒っているのではなく痛みであの表情になっていたようだ。
「お兄ちゃん、おぶって」
彼女は両手を広げて先程の氷のような視線とは違い、潤ませた視線で僕を見てくる。
「は~や~く~」
「はいはい」
そう言って僕は彼女をおぶって下に降りると、相沢さんが心配そうにこちらに駆け寄ってくる。
「み~ちゃん、大丈夫?」
「うん、昨日お兄ちゃんと激しい運動をして筋肉痛が酷いけど、大丈夫だよ」
うん、言葉はあっているんだけど、なんだろう……何か汚れた言い方な気がする。
「そっか、激しい運動で筋肉痛……えぇ!?」
相沢さんは、そう言うと顔を真っ赤にして僕らを交互に見ている。
まぁ、何も知らない人からすれば、美優ちゃんの言い方はそう捉えられても仕方ないだろう。
「昨日、テニスしたんだ……この子のお姉ちゃん達と」
「あ、そういう事ですか」
僕が補足説明をすると、彼女はほっと安心して胸を撫でおろす。
「凪ちゃんは何だと思ったの?」
「えぇ!? えっと……その……」
彼女は再び頬を茜色に染めながらもじもじしている。
その姿が、とても可愛らしい。
この子、きっとモテるだろうな。
可愛らしい雰囲気に、整った容姿にスタイルもいい……学校の男子が放っておくわけがない。
悪戯っぽく相沢さんに言う美優ちゃんと合わさると、可愛い天使と悪魔だろう。
「それより、これからどうするんだ? 筋肉痛だからまた今度にする?」
「何言ってんの? 行くに決まってんじゃん」
この子が何言ってんの?
僕がおぶらなければ動けないのに、どうやって行く気なのだろう。
「お兄ちゃんが義妹の私の運転手になるのだ~!!」
それはつまり、彼女をおぶって連れて行けという事だった。
流石にそれは恥ずかしい。
「無理」
そりゃそうだ、いくら人が多いとはいえ彼女は中学生、流石におぶっていくのは周囲の視線が痛い。
「なんでさ、昔は連れてってくれたじゃん!!」
「それは小学4年の話だろ?」
ほんの四年、されど四年……色々な部分が昔とは違うのだから。
「だからスカートはやめて短パンにしたんだよ!?」
「そういう問題じゃ……」
「仕方ない、おろして」
彼女の言われるまま下ろすと、彼女は立ち上がる。
そして、僕の腕に身体を寄せてくる。
「これで我慢します」
「大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないけど、頑張る」
そういう彼女は大丈夫そうには見えなかった。
「それじゃあ、行こう」
そう言って彼女は介助の元、僕らと目的地へ向かった。
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
我慢している美優ちゃんの表情、もう少しいいの無いかなって思いました。
難しいです。
こうしたらいいよとかアドバイスをしていただけると、取り入れながら頑張っていきたいと思います。
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け、決して5にしてほしいとかは言いませんが、出来れば5がいいななんて……。
まぁ、純粋に評価をしていただけると僕は嬉しいです。
それではまた次回、よろしくお願いします。




