中学三年の秋の話 その2
前回までのお話
中学三年の誠一は親友の海斗に背中を押され告白を決意し、告白されているであろう紅羽の元へ向かったのだが
。
「お、やってるやって……ん?」
なんと、五人の男子生徒が彼女に掴みかかっていいたのだ。
彼女は涙目で必死に抵抗していた。
だが、相手は五人でしかも男子ばかりだ。
女子一人の力ではどうしようもない。
「お前ら、何して……」
海斗がそういう前に彼の手を振り払って、反射的に動き出していた。
自分でも驚きだったが、頭は冷静で次の攻撃を決めていた。
彼女の右側にいる生徒に飛び蹴りを食らわす。
そいつはそのまま壁に身体を叩きつけられる。
何が起こったかわからず、びっくりしているうちに紅羽の胸倉を掴んでいる一人を殴り飛ばす。
そして、彼女に駆け寄る。
彼女の顔を見ると恐怖で今にも泣きそうな顔で……。
「おい、お前ら……」
残りの三人を睨みつけるが、残りの三人はこちらを見て笑っている。
まるで僕相手なら簡単に勝てる、そんな顔だった。
確かに体格差はあるだろう。
「あぁ、お前か……暁の腰巾着」
そう言って先程の不意打ちとは違い、真正面なので圧倒的力の差で掴みかかられる。
「はい、そこまで」
「なんだ、おまっ……」
男が腕を掴まれた方を見ると、海斗の顔を見て顔色が変わる。
「お前ら、俺の親友に何しようとしてんの? あん?」
男達は海斗の顔を見ると、顔を真っ蒼にして逃げ出していく。
「あ、待て~」
こちらを見て親指を上に立てると、棒読みで彼は走り去っていった。
演技下手すぎだろ。
先程の男の腕を掴んで睨んだ方がよっぽど迫真に迫っていたぞ。
「……大丈夫か?」
僕ははだけている彼女の服の上からブレザーを掛ける。
制服はこの時期、自由に選べるのだが彼女は服が所々敗れているので下着が見えてしまっている。
「ありがとう」
彼女が必死に笑顔でいようとする姿をは見ていてつらかった。
無理して笑っているのがまるわかりなのだ。
この時をきっかけに、彼女に徐々に距離を縮めたと思う。
いや、もしかした初めから脈がなかったのかもしれない。
「好きです」
だけど、告白した。
彼女がまだ傷が癒えてないにも関わらず、更に彼女を困らせてしまった。
結果的に振られてしまったが、それでもかまわまなかった。
気持ちを伝えたかっただけで、成就するなど初めから烏滸がましかったのだ。
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