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幼馴染みが僕を放してくれない  作者: ユウキ±
第一部
223/229

皆で初詣 紅羽視点

「誠くん、向こうに日和たちが居るみたい」


 私の言葉に誠くんは「そっか」と返す。

 私達は初詣をやる為に日和達のいる場所へ向かって手をつなぎながら人混みをかき分けていく。

 あれから変わった事、それは自然に人目を憚らず躊躇わず手をつなぐことができるくらいには進展したと思う。

 だけど、クリスマス以降それ以上の進展はない。

 キスして進展したと思ったらまたもとに戻った感覚だ。

 まぁ、これはこれでいつも通りで私は心地いいんだけど。

 葉は「つまんない」らしいけど。


「ねえ、羽~ちゃん、変わってよ~」

「駄~目、今日は皆と初詣なんだから」 

「ちぇ、二人っきりで行けばいいのに、このヘタレ」

「何か言った?」


 私がそういうと、彼女の声が聞こえなくなる。

 逃げたな。

 

「やっぱり人多いな」

「だねぇ~」


 とはいえ、誠くんと入れるだけで私は幸せなんだ。

 何気ない事でも誠くんと一緒に居れば何もかもが良く感じる。

 そんな風に今は特に進展の無いこの状況がもどかしくも心地いい。

 そうして人混みをかき分けると、日和達がいた。


「お二人さん、仲がいいですなぁ~」


 着くなり開口一番、日和が茶化すように言ってくる。

 誠くんと互いに視線を合わせ笑いあう。


「まぁね、順調だよ」

「ちょっと誠一君、この子借りるねぇ~」

「ちょっ、何!?」


 あぁ、離しちゃった。


「さぁ、何があったか聞いてもいいかしら?」


 誠くん達から少し離れたのを確認すると、日和達が詰め寄ってくる。

 こういう事になると二人は鬼のように詰め寄ってくるのだ。


「特に何もないよ」


 クリスマスが終わって以降今までと何も変わらない。

 いつもの生活に戻っただけだ。

 いつも通りの日々だ。

 私達姉妹と誠くんの三人で年末を過ごし、三人でゲームしたりこたつでゆっくりしていた。


「え~、仲が進展してないわけないじゃんあの感じ、教えてよ~」

「本当に何もないって」

「クリスマスに何かあった?」

「……何もないよ」

「あったんだ」

「……内緒」

「いいじゃん、教えてよ~」


 抱き着きながら彼女は胸を揉んできた。


「ちょっと日和どさくさに紛れてどこ触ってんのよ!!」


 変態か!!


「よいではないか、良いではないか~」


 そうしていると「いい加減にしなさい」といって郡が彼女をチョップし止める。 


「でもまぁ、良かったよ。 二人とも上手くいってて」


 日和は嬉しそうに笑いながらそう言うと離れている男子二名に「二人とも行くよ!!」っというと二人でこっちに合流した。

 何の話をしてたんだろう?

 

「みゆきち大丈夫?」


 日和が心配そうに人混みが苦手な美優に問いかける。

 

「だ、大丈夫」


 人混みに寄ったのか、眉間にしわが寄り気分が悪そうだ。

 こういう時はそろそろヤバいサインだ。

 

「全く、世話の焼ける妹だ」


 そう言って私は美優をお姫様抱っこする。

 いつもなら抵抗する美優だが、流石に気分が悪いのか私にもたれ掛かるようにぐったりしていた。


「ごめん皆、美優休ませていくから、先行ってて」

「それなら僕が二人といるから四人で行ってきなよ」


 二人でいさせるのは心配なのか、誠くんはそう言ってくれる。

 なんだか悪いと思ったが、彼は引かないだろう。

 

「わ、私も残っていいですか?」


 美優の事が心配なのか、凪咲ちゃんが手を上げる。

 優しい子だなぁ。


「じゃあ、四人でいるから三人で行ってきなよ」

「なら私も残ろっかな」


 今度は郡が言い出した。

 その目は何かを閃いたようににやりそう言っていた。

 何を考えているのかわからないが、良からぬことを考えているのはなんとなくわかった。

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