一末の不安とこれから 紅羽視点
「今日は付き添ってくれてありがと」
「お大事にな」
そう言って彼は出て行こうする。
帰ってほしくないなぁ~。
もう少し一緒に居たい。
だがいう勇気がない。
私ってヘタレだなぁ~。
たった一言一緒に居てというだけなのに、それが言えない。
重いとか面倒くさいと思われたらいやだと思ってしまうのだ。
「泊まっていけばいいのにね」
誠一が出て行くと、美優が私の横に並んでそう言ってくる。
そして私の身体を支えてくれる。
いつもは悪態ばかりついている彼女だが、こういう時は優しいのだ。
「ありがと、美優」
「……お風呂にする?」
照れくさそうに俯きながらそう言った。
我が妹ながらなんて可愛いのだろう。
いつもこんなんだったらいいのに……。
「お風呂入ろっかな、ねぇ一緒に入ろうよ」
「狭くない?」
「いいじゃん、背中流し合おうよ」
「……そうだね」
そう言って彼女の支えの元、服を脱いで風呂にはいる。
「ふぅ~」「ふぃ~」
お湯につかると同じような声をあげる。
最後に入ったのは小学校中学年の時だった気がする。
大きくなったなぁ~。
昔と違い、態度だけじゃなく色々と成長していた。
「やっぱり狭いね」
「だから言ったじゃん、昔と違ってお姉ちゃんも私も成長しているんだから当たり前だよ!!」
「それもそっか、ねぇねぇ美優」
「何?」
「好きな人出来た?」
「どうしたの? 急に……」
「ほら美優って浮いた話一つも聞かないからさ」
美優は中学の頃から浮いた話を聞いた事が無い。
誰を好きかとか一切聞いた事が無いのだ。
だから聞いてみたくなった。
「う~ん、今は興味ないかな」
「そうなの?」
「だって私ってお姉ちゃんと違って影の者だよ?」
「……影の者?」
「一人で居る事も多いし、友達だっていない影の薄い子って事。 自分で言って恥ずいわ!!」
あぁ、漫画での言い回しね。
相変わらずわかりにくい言い方をする妹だ。
「でもよく放課後呼び出されてたじゃない」
「あ~、あれ凪ちん」
「凪咲ちゃん?」
「うん、凪ちゃんって男子にモテるから」
凪咲ちゃんに近づきたいからって可愛い妹を出していると、そういう事か……。
最低ね。
自分で何もせずに仲のいい友達伝いなんて成就するわけがない。
「まぁ、凪ちゃんだけじゃなくて私にってのもないことはないけど」
「ふ~ん、そうなんだ」
まぁ、私の妹だし化けの皮を隠せばそれなりにモテるだろう。
どうも皆さま、おはようございますからこんばんわ。
本日のお話はいかがでしたでしょうか?
表現の間違い……自分ではお風呂シーンの表現の他にもたくさんあるかもですが、指摘していただけると勉強になりますので、どうかよろしくお願いします。
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