五十二話 楽しい たくらみ
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お陰様で、2000PVを越えられました。
御感想頂けたら幸いです。
「はぁああああぁぁ」
メルダは情けない声をあげながら、巨大な大問題解決の見通しが立った事で全身の力が抜けて、
テーブルにおデコをつけてへばってしまう。
良かったああああ......
「それでですね、旧設備も『学術的資料』となりえますので、私の無限収納に一時保管させて頂きます。
教会建物のどこかに、保管場所が定まればそちらに移設させて頂きます」
「それは、ありがたい。 壊れかけの骨董品とは言え、国費備品だからな。
廃棄申請しなければ、廃棄出来ないんだよ」
バスクは、苦笑する。
「で? 幾らだ?」
バスクの一言に、ピクんとメルダが反応する。
「何がですか?」
「衛兵隊の騎士と騎馬の......新規制服も作ったんだろ? 『お友達価格』としても、見積もりを出せよ。
そうしなければ、ヴォーグ教会としての『メンツと筋』が通らん......なぁ、メルダ」
(寄進されたとは言え、依代ゴーレムって、御幾らなのでしょうか?)ヒソヒソ
(『かなり』飲み食いもされて居られたしな......)ヒソヒソ
「うううううう」
メルダは、恐る恐る顔をあげ、不安げに猛を見る。
「いえ。それら全て、私の立案での作戦行動の一環です。
ですので『全ての経費を私持ちで』運営して頂きます。
ですので、全て無料です」
それを聞いたメルダは、にっこり笑う。
「ふん。『タダより怖いものはなし』と言うが」
「御心配無く。費用対効果に見合う『無理難題』を、ガンガン提案して行きますよ♪」
「無茶苦茶『御心配』だよ!」
「では、新規敷設しますねー」
「否応無しかよ!」
「現公爵よりかは、はるかに現実的で建設的な計画だと、自画自賛したいのですが?」
「ぬぐっ......まぁ、そうなんだが......『どこまで』やらされるのかが、いちばん怖いんだよ......」
「ドワーフって長命種ですよね。また洞窟が落盤して生き埋めになっても、笑って出て来れるのですよねー」
「なんで知ってるんだよ! 身体や寿命まで、すり減らしかねない難題なのかよ!」
「あはは、ははは」
(トイレ行きたい......)
再度メルダは、腰砕けになりそうだった。
「では♪ レプリケート!」
猛が発言したら、神殿コア室の迷路と化していた、 骨董品な設備と配線が、全て消える。
すぐに、神殿コアの台座の前に、公園の水栓中(水飲み場)くらいの台が、ポツンと置かれる。
台の上には『白いコースター』がひとつ、ポツンと置かれる。
「完了です。お試しで、微弱魔力を流します......
うん、建物施設全てオール・グリーンですね......
十世紀は保たれるでしょう」
「十世紀って......なんだよ。
はぁあああ、『永遠』の底なし沼に、どっぷりハマった気分だ......」
「で、バスク動力長」
「お、おう?」
「動力施設の管制精霊を、紹介します」
例の『白いコースター』を、バスクに渡す。
渡されたバスクは目の前に、普通のコースターの様に、恐る恐る置く。
ちろりと、メルダを見る。
メルダの手元にも、さっき返した『白いコースター』がある。
「アレと、コレは、違うのか?」
【【同じですよ】】
「おう!?」
「えっ!?」
バスクとメルダの両者の手元から同時に出た声が、双方から同時に聞こえる。
丸い円盤が、タイヤの様に立ち上がり......中心から光が広がり......幾何学模様の水晶フラーレン・オーブに変化した。
バスクとメルダの目の前から離れない程度に、水晶フラーレン・オーブは、ゆっくりと転がり出す。
「わぁ♪ 可愛い♪キレイ♪」
メルダは、オーブをそっと持ち上げる。
【メルダさん、こんにちは】
「わぁ〜♪」
【バスク動力長。こんにちは】
「お、おう......」
「神殿動力コア、ステータス・オープン」
バスクとメルダの前に、ステータスを表示する『丸い魔法陣』が、浮かぶ。
猛のウィンドウは四角いが、コチラでは丸い魔法陣がポピュラーだから、デザインと表示機能を合わせた。
「これは......神殿動力コアのステータスか!」
「はい。何時でもどこでも、コレから神殿コアを、操作出来ます。
今は音声で起動させましたが、この管制精霊との同期と同調が慣熟すれば、
バスク動力長の脳内だけで、思念だけで、動力コアを無言で操作・調整出来ます」
「ほほう」
「当面は『以前の出力』で、運用出来ます」
「『当面』はな」
「もちろん......バスク動力長は、『火遊び』をしたいですか?」
「否。『日々無事が、最上の喜び』だ」
「では。『権限キー』をお渡しします」
ポーン
バスクの脳内に『起動音』が鳴る。
神殿コアの『権限』が、委任された事を実感する。
同時に神殿コアが吸い上げる魔素や、貯留槽に滞留する魔素、
神殿コアから神殿建物や敷地内を伸びる魔力の流れが、刻々と『手に取る様に』分かる。
「すげぇな。教会神殿建物の隅々まで、魔力の流れ具合を『実感』出来るとはな......」
「浮いた時間は『好きな事』が、出来ますよ」
ちらりと、製図台を見る。
「それは、ありがたい」
「それで、その管制精霊と二十四時間肌、身離さず過ごして貰いますが、どう言う形態にしますか?」
「まぁ普通に契約の精霊とは、死ぬまで一緒だわな。で、形態て?」
「例えば......この様な」
猛の胸元に、幾何学模様のペンダントが下がる。
猛の左手の甲に、幾何学模様の紋章が刻まれる。
猛の周囲に、幾何学模様のオーブが、ふよふよと、浮かぶ。
スっと、全て消える。
「そして『何も無し』も、出来ます。
これら以外の、バスク動力長の『好み』の形態や、使い方も『カスタマイズ』出来ますよ......メルダさんも」
「取り敢えずは、左手甲の紋章かな......いくらでも変えられるのか......カスタマイズか......」
「ほぇぇ。私も!?」
「メルダさんへの特典としては、精霊は『財務会計』の補佐が出来ますよ。
ゴーレムを数体出して、『人海戦術』で溜まった書類を、短時間で片付けられますし。
ゴーレムの経験値は、メルダさんの経験値と同期出来ますから、
『財務会計』全てに目を通した様に把握し、管理出来ます。
『財務会計』ステータス」
メルダさんの神殿コア・ステータスの隣に、『財務会計』ステータスの魔法陣が出現する。
「うわぁ、年度毎の収支が、こんなに事細かく......分かりやすい!
収支予想も、的確ですね!」
ガタン!
「ありがとうございます!」
歓喜に震えたメルダは、椅子を倒しそうになりながら立ち上がり、深くお辞儀する。
「コレで、私からの『要請』も、引き受けやすくなりますね♪」
ピシッ
バスクとメルダは一瞬で固まり、青い顔になる。
(......見事な、逃げ場無死『下知』の出し方だのう......)ヒソヒソ
(はい......受け入れないと、明日までに神殿コアは復活しないのですから。
模擬戦しても感じましたが、見事な先読みです)ヒソヒソ
(私たちへの『無理難題』は、なんでしょうね(冷汗)ヒソヒソ
「そして......ニーグさま♪」
「な!なな、なんだ?」ビクビク
龍神なのに、猛の見事な詰め寄りに、ビクついてしまう。
((そらきた!))ヒソヒソ
ワードマンとセルガは、そっとニーグから離れる。
「神殿全ての記録によりますと......現在の動力炉室ですが、
当初の予定では、もっと大きな容量の動力炉を設置したかったのでは?
将来の増設の余裕を持たせるにしては、広い様に思います。
......もっと教会施設や敷地全体に及ぶ『大きな計画』があったのでは?」
ちろりと、ニーグを見る。
「ニーグさまも設計に参加された、記録もありました」
王手を刺された将棋の棋士の如く、うろたえるニーグは猛を無視して、バスクと目で会話し始める。
バスクは、全てを諦めた様に、顔を横にふる。
「ニーグさま。アンタのダンナの方が、数倍も上手だよ。
全部ぶちまけた方が良い......良いようにして下さる......さ」
お前も『この沼に入れ』、とばかりに全てを悟ったような微笑みで、ニーグに手招きする。
逃げ場無死、打つ手無死の立場に『追い込まれた』心境とは、こう言う感じなのか......初体験だ。
上には上が、存在するのです。
母様の、訓示の一つの御言葉が、脳裏に蘇る。
母様、絶対強者種である我を、圧倒する存在が居ましたよ......
「ニーグさま?」
案外近くに、猛の顔があった。
「うえぁおい!」変な声が出る。
「いやいや、責めている訳では無いですよ......ただ......」
「たっ、ただ......なんじゃ?」
「ニーグさまの考えた『私の最強の教会神殿』を、見てみたいなぁ......と」
「ぐっ......」
「それでですね、先程サーチした『全て』の製図を重ねましたら......」
「「!」」
ニーグと、バスクは、ギクリとする。
「こうなりました」
『共通作戦状況図』上の、神殿コアを中心に、新たなコアが八方に設置される。
「計算上、単純に魔素は八倍になります。」
バスクを、見る。
ニーグも、見る。
「そろそろ『楽しい、たくらみ』を、教えてください♪」
宜しく御願い致します。




