四十七話 見習い勇者
ありがとうございます。
今日は歯医者に行きました。
日差しはまだまだ強いですね。
半袖ポロシャツ・七分パンツ・サンダルで練り歩いて居ります。
が、吹く風が少し『秋風』を感じました。
「ほう♪『無茶苦茶』かな?」(苦笑)
カムランは、パッと自分の口を両手ておおう。
「そうだね、いきなり『勇者になれ』は、怯んでしまうか。
しかし現在の君たちのままでは、この厳しい『魔節』は、生き残れない」
信頼出来る、絶対強者にズバリと言われると『そうなんだ』と、腑に落ちてしまう。
「だから、君たち自身を『勇者のごとく』強くする」
『強くする』......出来るんだ。
「君たちの中で、『身体強化』魔法が使える者は?」
タムを含め、カムランや幾人かが手をあげる。
先陣を担う男性陣が、多い様だ。
「強化魔法の、使用時間は?」
「約60秒です」
使える者たちは、うんうんと同意する。
「60秒を超えて、ずっと無限に使える方法がある、としたら?」
タムの瞳が、熱意と期待に燃える。
後は、半信半疑と言うところか。
「タムは、普通の人族かな」
「はい」
「私も、元は『普通の人族』なんだ」
えっ!?
「なんで『勇者の力』を使えるのか。理由がある。
知りたくは無いか?」
「知りたいです!」タムは、即答する。
にこり
「よし。教えよう」
だが、まだ、二人以外は、半信半疑な表情をしている。
「ではタム。身体強化魔法の質問をして良いかな」
「はい」
「身体強化は、どう自らにかける?」
「はい。身体全体に魔素を纏います。そして魔力で『身体強化』魔法を発動させます。
そして、魔素を消費し尽くすのが、約60秒です」
「なるほど。
そこでだ。私が教える方法とは。
『身体に『精霊』を宿させる』んだ」
ざわり
「私の身体の中に、精霊が同居してくれている。
その精霊が、魔素を集め・維持・強化してくれている。それが......」
隼執事を見る。
全員の視線も、隼に集まる。
「『彼』は、その『精霊』が、実体化したんだ」
え?
ざわざわ ざわざわ
「『彼』が同居し始めた時は、私は『身体強化』が精一杯だったよ。
それだけでも、嬉しかったけどね。
それから、『彼』と二人三脚で『修行』して『強化』していった。
......いろいろ紆余曲折を経た結果、私の魔素と魔力は、『絶対強者』として強くなり、
隼も、『使い魔』として『執事』の役割も、出来る様になった」
「召喚?顕現?」
「うーん。両方の魔法を......混ぜた?」
「......どちらにせよ、かなりの魔素と魔力の量が必要よ」
「そうだね。一人のシングル・ウィザードとすれば、維持は大変だ」
『実体の精霊』として『存在』している隼を見ながら、コソコソ議論していた、神官三人は(ヤバィ)と、身をすくめる。
「かまわない。自由に議論してほしい」
「しかし、シングル・ウィザードだとしても、身体内の精霊が『魔素と魔力』を、継続的に、
『無限』に、増幅してくれたら、どうなる?」
!無限!?『身体強化』が、無限!?
なるほど。
ロウソクの焔程度の火魔法でも、無限に強化できれば、都市一つも燃やし尽くせるだろう。
マルチ・ウィザードとも、いい勝負になりうる。
全員が改めて、隼執事を見る。
「......イケますね」
タムが、にっこり微笑みながら、つぶやく。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
『ごちそうさま』をした者の、軍用・メストレーは、すぐさまに消える。
「さて。全員、立ってくれ」
みな、素直に立ち上がる。
「私は、セルガさんに召喚された。
なので彼女に問うた。
『絶対強者に、何を求めるのか?』と。
その答えは
『生きとし生ける全てが、平穏に日々実実に暮らせ、
明るい未来を語り合える、世にしたいです』
と、述べられた。
そして、彼女自身の命を掛けてでも、私を召喚した、熱意と覚悟を知った。
私は彼女の『平穏な日々』への願いと覚悟に感動し、彼女に合力を誓った」
聞いていた、皆の瞳に、焔が宿る。
「教会衛兵隊諸君。戦術神官諸君。皆に、改めて問いたい」
猛は、戦場音楽でうるさい戦場でも通る、声を張る!
「君達も、セルガさんに、合力してくれるか!」
ウォー!!!
猛の腰に、日本刀『銀鈴鬼』が現れる。
カチリ
左手親指で愛刀、銀鈴鬼の鯉口を開く。
スラリ
右手で、銀鈴鬼を少し抜く。
鈍く光る刃が、見える。
シャキーン!
ウォーン
『金打の誓い』の音が、全員の芯に響き、染みてゆく。
タムは、はっと気が付き、慌てて自分の剣をもちあげる。
静かに剣を少し抜く。
ジャキン!
衛兵隊・戦術神官達も、慌ててめいめいの剣を持ち上げる。
ジャキン!
キーン!
ピーン
程なくして、全員の『金打の誓い』が終わる。
「......我々は、ひとり一人が『守護る剣』だ。なので『なによりも強い剣』で在るべきだ」
猛は、厳かにつぶやく。
「装着!」
キューン
全員の腰周りに、光が集まる。
シュオン
真円の金色のバックルを備え、質の良い白い革ベルトが巻かれている。
教会衛兵隊の、白地色に合わせる。
デザインも、衛兵隊の白い全身甲冑や戦術神官服に、馴染んでいる。
「!え!」
「何これ?」
「コレは、皆が『安全に身体強化』出来る様になるための補助魔具だよ。そして」
全員の前に、小皿を出す。
小皿には、10円玉ほどの大きさの白いラムネ?が乗っている。
「一般の人族は、食物から魔素を取り入れる。睡眠や休息によって、魔力が戻る。で、良いですね」
メルダに向かって、問う。
『はい。そうです』
リモート中の、メルダの3D映像が答える。
「......あの、立体映像?も、勇者さまの御業なのよね」
「......だって」
「もう......なにもかもお任せして、良いのじゃない?」
一応神官ともなれば魔法陣を操れ、魔法技術者として技術を磨く。
なので、当初のメルダの様に、新参勇者さまの魔法技術が『どう言うレベル』にあるのか、理解は出来る。
「この白い錠剤に『精霊が宿れる素』が入っている。
腰の補助魔具を起動させてから、コレを食して貰うと、
全員が安全に『勇者』となれる......『下準備』が出来る......起動!」
ポーン!
全員の真円のバックルが、ほのかに青白く光る。
はっ
メルダさんが、何かに気が付く。
『あの、勇者さま。ずいぶんと『勇者になれる手順』が、しっかり整ってますよね?......
つまり、これまでも、何度も『勇者への導き』を、されたのですよね......』
「ええ」
「あ」
「そうか」
聞いていた衛兵隊の中にも、メルダの疑問に気が付く。
『勇者に成れた人数は、これまで何人でしょうか?』
「はい。『侍』には、約三千人の『人造超人』が居ります。まぁ、内の半数が『見習い超人』ですが」
はい?
「四百名程が、平和維持武力として地球全土に散らばり、平和維持活動をしています」
『『絶対強者』が、三千人!?......』
メルダの顔から、表情が抜け落ちる。
ざわざわ ざわざわ
え?新参勇者さまみたいなのが、四百人!?
「そうだねぇ。
こちらと同じように、超人同士をピラミッド型に、強さのランク分けが出来るかな?
初心者は魔具の補助を借りて、勇者となれる。
私ぐらいベテランになると、勇者のまま『力を自由に強弱出来る』から、普通の日常生活を送れる様になるよ」
なるほど。騎士見習いと、師団長位の力の差か。
「なので、皆には『勇者見習い』から、始めてもらう。
ちなみに、見習いでも現在の『身体強化』を、何時までも使い続けられる」
なんだって!?
特にタムの表情が、嬉しさと希望に輝く。
「傾注!」
新人を鍛える、上官の気迫を出す。
「君は今から『絶対強者』への道を歩き出す。
簡単に他を滅ぼせる。それを自覚し、留意せよ。
もちろん使用開始と強制停止の権限は、私にある。
良いな!」
はい!!!!
ヴーン
真円のバックルが、優しく振動を始める。
「よし。全員のマナ・サークル循環が、安定した。
では、錠剤を飲んでくれ」
タムは、ためらいなく錠剤を口に入れる。
「へぇ、しゅわしゅわしますね。あと、甘い♪」
皆も、おっかなびっくりで、口に入れ始める。
「わー♪爽やかにあま〜い」
「美味しい♪......もっと食べたいかも」
「そうそう。
皆の体内に精霊が定着したら、頭の中で精霊と脳内会話が出来る様になる。
疑問有れば、精霊に質問してくれ。
出来る事・出来ない事を教えてくれる。
見習い勇者への『導き手』となってくれる。
精霊とは良く話し合い、『良き相棒』となれる様に。
あ、相棒の名付けを各人するように。
いずれ自分だけの執事として対外的に働いてくれるから、妙な名前にはするなよ」
はーい♪
しかし若いなー皆。
そうかー、コチラは15歳で成人かー。
なんだか、高校教師にでもなった気分だ。
「では、勇者への修行を始めよう。変身!」
キューン
衛兵隊全員が、聖なる青白い光に包まれる。
宜しく御願い致します。




