四十五話 サジタリウスの弓
ありがとうございます。
台風は、大丈夫でしたか?
晴れ男と自他共に認められている私は、
私が外を歩く時は、雨がやみました。
屋根の下に入ると、雨が再度降り出すんです。
同行した友人達も、いつも驚いています。
しかし通勤カバンには常に、折り畳み傘は入れています。
晴れ男を『過信』すると、不思議と降られてしまうのです。
ドゴンッ!
聖湖の対岸の茂みから、爆音が上がる。
「ぬ!?」
ワードマンは、その音とタケシの間に、素早く入る。
(ワードマン様。その地点にはニーグ様が直行しましたは。なにか『見つけた!』と叫びながら)
(おや? セルガも念話が使えたのか?)
(はい。こちらの『ハヤブサ』執事さんから、勧められました)
ワードマンの前にも、簡易平面COPが出る。
龍神ニーグの印が、味方を現す緑に光っている。
しかし彼女?の周囲に、敵を現す赤い印は無い。
なるほど!コレが『共通作戦状況図』の有効利用のひとつか!
戦況がひと目で把握出来る。
(......欲しかったな......)
(ワードマン)
(はい、ニーグ様)
(タケシを狙ろうたのは、『サジタリウスの弓』じゃ)
(!ロイヤル・ガード!......やはり今回のファザンは『第七王子』)
(そうじゃ。ロイヤル・ガードが三名おったは。我が抑える前に、転移して行きおった)
(射てすぐに、転移陣を起動していたのですね)
(じゃな。『射れば必中』のサジタリウスの弓じゃし)
(かの弓が引けるなら、精鋭組ですな)
ワードマンの背後では、気絶中の猛が、気おつけの状態で、仰向けに浮いている。
漆黒の六尺棒は、隼が既に収納した。
シューン
猛の周囲が、クリスタルの様な素材におおわれ、不透明になり、猛の姿は見えなくる。
「あのー」
離れた所で、様子を伺っいていた、衛兵隊の一人が声をかけてきた。
「おう。サージか」
「第一守護天使様!お久しぶりです」
「「「「「第一守護天使様!♪」」」」」
慕う第一守護天使の周りに衛兵隊員達は、集まって来る。
教会孤児院出身が多い彼らにとって、第一守護天使は、頼もしい父親を感じさせる。
「三日前から、御苦労!」
「アレ?我らの予定を、把握してくださってるんですか?」
「いいや。ついさっき知ったんだ」
「へ?」
「それも、新参勇者殿の御業さ」
「......イケますね」
「なにが?」
「......コチラのはなしっス。で、勇者様は、大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ。少し休めば」
皆の視線が、猛の入るクリスタルに向けられる。
「騎士たる名勝負を邪魔したアレは、サジタリウスですよね!」
「......いくら王族って言っても、魔族崇拝結社に組みした者まで、警護するなんて......」
「ロイヤル・ガードはとにかく『王家の血統』を守らねばならぬからな......個人の思惑は知らぬが」
「宮仕えは、ツラいっすね」
「そうだな......で、先ほどの激戦だが......」
「大丈夫です。許可が出るまで、守秘ですよね!」
「逆だ。衛兵隊で、赴くままに話してくれ」
「へぇ?」
「気を失いながらも、逃がさぬ工夫を尽くされて居られるのだ。そんな気概を、皆に知らしめないでどうする」
「でも、気を失われたんじゃぁ......」
「......失ってなお、 深紫騎士団の次席を、吹き飛ばせるか?」
「......無理です」
「こんどの勇者さまは、『あるがまま』がお好きなんだ。勝とうが負けようが」
「......へぇ」
「そして、この『魔節』を、どうにかしてくださる」
サージはその言葉を聞いて、にこりと微笑む。
「ヤッパ、イケますね」
「そうだな(苦笑) イケるな」
カポカポ カポカポ カポカポ カポカポ
「おっと、負傷組の馬車が、来ました」
「そうか。どれどれ」
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
「そうそう。その神経を丁寧に繋げるんだ。いいぞリート」
「は!はい!」
カムランの右太もものを、グルリと繋ぎ合わせた傷が残っている。
その傷をおおう、帯状の魔法陣を、リートが繊細に操る。
パチン
「うごっ!痛たたっ!」
カムランは、正常に戻った痛覚に、身体を震わせる。
「よし、繋がった『ヒール』!」
ワードマンのヒールに、太ももの傷が消えて行く。
ひは~
カムランは痛みが取れて、ぐったりする。
「良し、成功だ♪」
「はい♪」
『むぅ われの治癒魔法も、効いていルのでる』
「あぁ、もちろんだ救護アイテム。御前のお陰で、カムランは足を失わずに済んだのは、確かだ。いつも、ありがとう」
『......『謝意』を受けるは、われ、いと喜ぶ?ウ。照れルーやも?』
「本当よ......助かっているは、ありがとう」
「そうだ。ありがとうな、サムリ♪」
リートとカムランにも礼を言われる。
『へほむー』ピー
微妙に温かくなった救護アイテムから、沸いた薬缶の様な音が出る。
照れているな。
(おおう。コチラが救護アイテムなのですね!ちゃんと人格が有るでは無いですか!)
(そうなんだ。結構前に『作られて』な。いつの間にか『会話』出来るようになっててな)
(コレは......何代もの錬金術士さん達が、魔改造を積み重ねられてますネ!)
(じゃぁ、ハヤブサ。御主なら『どう』魔改造する?)
(えー......そうですね。いくつか有りますが、マスターの認証と救護アイテムのカウンセリングが必要でス)
(救護アイテムのカウンセリング?)
(はい。知性体にも『希望・要望』が有ります。ソレを確認いたしませんと)
(つまり使い魔と対等な立場で、議論されると言うのだな......それは、タケシ殿の凄味のひとつだ。
まったく『なにひとつ』こだわりが無い)
(はい。『最良な意見で、あれば良し』と、常々申しております)
(『融通無碍』なのだな。うらやましい)
(......ワードマン様も、なかなかに『融通無碍』で、在らせられると思いますが( 苦笑 )
宜しく御願い致します。
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