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十五話 デモンズ・ゲート

出来るうるだけ、連続投稿してみます。

宜しくお願い致します。





うおおおおおおおおおおおおぉお!!!



巨大魔人ギェンガーの恐怖に言葉を失っていた公都民は、

危険が去り、我に帰った公都民の一斉の歓喜で包まれ揺れる。


「すごい」

「凄い」

「今度の勇者様って…… スゴい」

「凄い」

「『聖なる光の剣』で、大都市壊滅級だいとしかいめつクラス巨大魔人(ギェンガー)を、一撃だと!」


余りの歓喜に、皆『凄い』しか、言えない。


「御名前は?!」

「そうだ! 聖なる光の剣を(かか)げる勇者様の御名前(おなまえ)は?!」

「本日、御召喚(ごしょうかん)されたばかりで、御披露目(おひろめ)は、されて無い見たいだぞ」

「教会に、問い合わせよう!」


公都民全員の胸に、強い『希望』が、湧いて来る。



○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○


ひゅうん


串刺しのままの龍神の事は気になったが、この世界の常識を、まだ理解していない猛は、

この世界の『知り合い』兼『ガイド』役でもある、セルガさんとワードマンさんの元に戻る。


「……ターケン勇者様…… 貴方様は『何者』なのです?」


セルガさんは、目の前で起こった事態を受け止め切れない複雑な表情をし、猛に()うて来る。


「はい?」

(たけし、なんだけど(泣)あと、

貴女(セルガ)が、私を召喚したのでしょ?)


『私も御聞きしたい…… 貴方の『魔力』の強大さは、何なのですか?』


『天使』と言う神霊(しんれい)のはずのワードマンさんまでも、青い顔で問い詰めて来る。


「えーと…… どこから説明すれば、良いのやら……」


痛み出す頭を、少しひねる。



ぱ き ん



「あ」

「まぁ」

『え』


その場の二人プラス天使は、同時に感じる。


音では無い。


何か意識に感じる、何か『張り裂けた』感覚が伝わって来た。


それは歓喜に沸く公都民全員の意識にも響き、全員静まり当たりを見渡す。


「何だ? いまの『ぱきん』て」

「あぁ、俺も感じた」


そして、何か『禍々(まがまが)しい』感覚が、空高くから感じ始める。



ぱ り ん



『上です!』


ワードマンさんが、叫ぶ。


見上げれば、聖湖の真上の青空の一部が、裂け始めて居る。

裂け目が大きくなるにつれ、禍々しさは強くなる。



◯ ◯ ◯



「まさか!デモンズ・ゲート(魔界の門)!」

ディグリーは、その次元の裂け目を一目見て叫ぶ。


あれは! 歴史に残る四百年前の『魔王の蹂躙(じゅうりん)』時に出現し、

門から進軍して来た魔王自ら率いる魔族軍団により、ヴォーグ大国の半分が焦土と化した。

当時の勇者様が『刺し違え』て、やっと魔王を葬った記録が......

その時ニーグ様の愛する連れ合いも、亡き者にされたはず......


しかし現在、頼みの龍神ニーグ様は動けない。


...... いまここに、聖なる光の剣を操る勇者様が居られる。

...... 巨大魔人ギェンガーを葬っていただけたなら、引き続き、御力を御貸しいただけるかしら?


ザザザザザザ


裂け目からコウモリの群れの様に、何かの集まりが『吹き出して』来る。



◯ ◯ ◯



「あああっ! 魔王軍じゃ無いの! 教会の中に入って祭壇の結界内に入るのよ!

連れさらわれたら『恐怖』を喰われて、魂を抜かれてしまうは!」


美熟女は慌てて少し離れた婚礼教会の入口に向かい、可愛い孫娘を抱いたまま駆け出す。


「...... でも、ゆうしゃさまがいるでしょ。 さっきの『まじん』のように、たいじしてくだしゃるは♪」

孫娘は『ひかりのけんのゆうしゃさま』をすっかり信じ、祖母の焦りをキッパリ否定する。



◯ ◯ ◯



「うああああ! 魔王軍じゃ無いかっ! 急いで祭壇の結界内に逃げるんだ!」


公都民も我先に、公都内のあちこちに設けられた外祭壇や教会の祠に集まる。

この結界内に入れば、魔族は手を出せない......はずだ。



◯ ◯ ◯



「やはり来たはね! 魔族軍の先鋒隊!」

ディグリーは、再度叫ぶ。


「城塞砲塔! 弾幕を張れ! 総弓手! 魔法ブースト掛けて、一匹でも多くの魔族を撃ち落とせ!」

歴戦の傭兵であったタキタルは、いま行える迎撃方法を叫ぶ。



◯ ◯ ◯



ザザザザザザ


裂け目からコウモリの群れの様に、何かの集まりが『吹き出して』来る。



「あれは! 歴史に残る四百年前の『魔王の蹂躙(じゅうりん)』戦と同じ! 魔族軍の先鋒隊です!」


セルガは、一目見て叫ぶ。


『...... 魔王自ら率いる魔族軍団で、このヴォーグ大国の領土約半分を、焦土と化しました』


ワードマンさんが、焦る表情に成る。


武良も、人間と同じ大きさの魔族達を、多数認識する。


ドンドンドンドン


神殿城塞砲塔が、魔法ブーストされた迎撃の赤い弾幕を貼り始める。


ピヒュン


ピヒュン


神殿建物群あちこちから、魔法ブーストされた多数の赤い矢が放たれる。


ボン! ボボン! ボン!


コウモリの群れに当たれば、魔族を撃ち落とせる様子だが、明らかに弾幕は薄い。

このままでは、多数の論理で押し切られてしまう。



◯ ◯ ◯



ザッ!


グェハハハハハ!


美熟女と孫娘の目の前に、上空から着地した上背ニメートルはある魔族が立ちはだかり、

下品な笑いを浮かべながら享楽の唸り声を上げる。



「「きゃぁぁ!」」

自分と孫娘の悲鳴と共に、美熟女の足はすくむ。


『ひかりのゆうしゃさま』の存在を確信する孫娘は、キッと魔族を睨み付ける。

「まじょく! ひかりのゆうしゃさまに、たいじされちゃうのよ!」


美熟女の腕の中から、孫娘は強く宣言する。


ギャッハハハハハハ!


魔族は、楽しそうに高笑う。



◯ ◯ ◯



グァハハハハハハ!


バキン! ピシピシ!


公都都民が逃げ込んだ聖域結界に、上空からほぼ落ちてきた勢いの魔族が飛び蹴る。


その一発で結界障壁に、ヒビが入る。


「え!?」


ゲハハハハハハハハ!


ズシン!ズシン!ズシン!


ワラワラと降りてきた魔族達は、次々と、障壁を殴り出す。


ビキビキ


怯えて身がすくんでしまった公都民達には、なすすべ無く、障壁のヒビは増えてゆく。



○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



ドンドンドンドン、ドッ......


ブシュー!


急に、城塞砲の一基が、筐体の排熱スリットから煙を排気して、撃て無くなる!


『二番城塞砲、過負荷で......二十秒撃てん!四番、七番もあと数秒で止まる!』

バスクじぃのドラ声が、館内放送に流れる。


「補助バリスタは?使えるモノは使え!」

タキタルも怒鳴る!



○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



ディグリー(王都神官長)は、キッと外の魔族たちをにらむ。

急に身をひるがえして、扉にむかう。


「どちらへ?」

タキタルが ディグリー(王都神官長)の行く手をはばむ。

「......壊滅魔法を、はなちます!」

「いけません......まだ、ディグリー(切り札)様を、使う時ではありません」


万能魔法使い(マルチ・ウィザード)である彼女の、壊滅魔法ならば、大多数の魔族軍を排除出来るだろう。

が、それはディグリー(王都神官長)の命の灯火(ともしび)を一瞬で燃やし尽くすだろう。


「いま、使わねば!いつ使う!覚悟は出来ています!」

周囲を圧倒する気合いで、怒る。


「われわれには、新参の勇者様がおられます」

タキタルは、彼女の気合いを受け流しながら言う。


「あ......でも、お助け下さるか......」

彼女の力は、抜けた。

「ギェンガーを片手間にひねられたお方ですよ」

タキタルは、イカつい顔で、ほほえむ。

「勇者様を、信じましょう」



○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○





(たけし)の戦術眼と感覚に、危険警報(レッド アラート)()(ひび)く。

アレ(魔族)は人類とは、決して相容れない存在だ。

ならばアレ(魔族)等は、手抜かりなく殲滅(せんめつ)させねばならない。


「サウザン・ハンズ・システム、戦闘モード! 戦闘ドローン展開!」


(たけし)の頭上に、水晶ポイントの様に半透明で、持ち手の無いランス様な戦術ドローン八機が現れる。

(たけし)を中心に、八方向に展開する。

(たけし)の意識の中で、全ての魔族に照準(ロック・オン)が完了する。


「フォトン・アロー! 千本単位(サウザン)!」


ザァッ!


それぞれの戦闘ドローンから、千本単位の『光の矢』が、連続で打ち出される。


ザァッ!


ザァッ!


それは、数には数をと言わんばかりの、圧倒的大多数の光の矢の、奔流だ。


ザァッ!


ザァッ!


くり返し、くり返し、放たれる。


◯ ◯ ◯


ザシュ!


「ガギャァアァアアァ!」


美熟女と孫娘に立ちはだかる魔族の胸に、斜め上から『聖なる光の矢』が突き刺さる。


ファサッ


魔族は、黒い煙と消え去る。


「え?」

「あれ?まじょくは?」


美熟女と美幼女は、急に去った危機に、とまどう。



◯ ◯ ◯



ザシュ!


「グギャァ!」


ザザザザザザザザザザザザザザザザザザ


「光の矢」が、どしゃ降りの様に、魔族たちにふりそそぐ。


「「「「「「グギャ!」」」」」」


ファサッ


ヒビだらけの聖域結界の障壁まわりの魔族たちは、

一瞬で消え去る。


パリパリ パリン


ちょうど、障壁は崩れ去った。


「へ?」

「あれ?」


おびえていた公都民たちは、

急に去った危機に、とまどう。



◯ ◯ ◯




『ナンだ! このバカげた、聖なる矢の数は! 先行部隊からの報告に無いぞ! 回避! 回避っ!』

魔族先鋒隊の隊長格の魔族が、周囲に喚く。


言われなくともコウモリの群れの様な魔人達は慌てて回避しようとするが、コウモリの群れを上回る数の光子の矢(フォトン・アロー)は、土砂降り(どしゃぶり)の様に降り注ぎ、彼らの回避場所をことごとく潰す。



そして一匹も()らさず、魔族を殲滅(せんめつ)さて行く。



◯ ◯ ◯



「な、な、な...... ナンですか、あのバカげた『聖なる矢』の数は......」


副司祭メルダは無数の光の奔流に、思考回路が付いて行けず、無意識に口をパクパクさせている。


「...... セルガは、勇者様の御助けを得ることに『成功』したのでしょう。タキタル隊長の言う通りだは」


ディグリーは、微笑む。

...... 少し、怖い微笑みだが。


「え?」


「この短時間で勇者様が、どこまでこちらの諸事情を御理解頂いたか分かりません。が、人族に絶好なタイミングで巨大魔人ギェンガーが襲来し、デモンズ・ゲート(魔界の門)が開いた...... 勇者様も、とりあえずは『人族(われわれ)を庇わざるを得ない』でしょう。 このままなし崩しに人族(われわれ)の御味方について頂く、良い機会です」


セルガやメルダよりも、少し長く王侯貴族や教会内部のヒラエルキー内の丁々発止をして居るディグリーの思考回路は、やはり戦略的に成ってしまう。


しかし上位に在る者は、(したた)かに成らなければ、弱い庶民を守れない。


「...... はい......」


副司祭メルダも立場上、その丁々発止に片足を突っ込んで居るので、不本意(ふほんい)ながら頷くしか無い。


タキタルはただ、イカつい顔に満面の笑みを浮かべていた。



◯ ◯ ◯



ゴゴン!


急に前代未聞に巨大な魔人の右手が、ヌッと差し出され、デモンズ・ゲート(魔界の門)(はし)鷲掴(わしづか)む。


手の大きさから予想すると、身長百メートルは超えそうだ。







ありがとうございます。


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