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十二話 初魔人 1

ありがとうございます♪


ドッ、ゴーン!



いきなり、衝撃が来る。



ドッ、ゴーン!。



(隼。なんだ?)



ドッ、ゴーン!



(タイ・クォーン教会神殿の周囲ニ、

シールド(障壁)が存在しまス。そこに、

ワードマンさんとは異なる波長の、

強力な『生体エネルギー集合体(しゅうごうたい)』が、

激しくシールドに何度も激突していまス! 。

ア、神殿コア、出力増加しまス!)


「あれか!」


教会隣の湖の上空に、

身長三十メートル位はある、

かなり巨大な魔人?が浮いている。


頭に闘牛のツノ。背中にコウモリの様な大きな羽。

全身は漆黒の獣毛にビッシリ覆われている。

先が尖った細長い尻尾も見える

いかにも『ミノタウルス』系の魔人の様だ。


ガラン! ガラン! ガラン!ガラン!ガラン!


一番背の高い鐘楼塔から、鐘が割れんばかりに、

鳴り響く。



ドッ、ゴーン!。



また、地面が揺れる。


その巨大魔人は、神殿に向かって突き進もうとして居る様だ。



『がっはっはっは!。新たな勇者様とやらは何処だ!。

クソ尊顔(そんがん)を、(おが)みに来てやったぞ!』



巨大魔人の銅鑼声(どらごえ)は、拡声魔法(かくせいまほう)も混ぜて居るのか、

公都全体(こうとぜんたい)に響き渡る。



ドッ、ゴーン!



また、地面が揺れる。



◯ ◯ ◯



ドッ、ゴーン!



突然『礼拝堂ごと』揺れる。


神殿(コア)整備の指示を出し終えて、

また召喚魔法陣の間に戻ってきた

副司祭メルダの目の前に、勝手に魔法陣が一つ現れる。


ザザッ


それは黄色と赤色に交互に切り替わりながら、

時折(ときおり)魔法陣の画像が乱れる。


「神殿最外側障壁に、巨大な過負荷が掛かりました!

(げっ)

......巨大魔人(クラス)です!

......障壁は、そう長くは(たも)てません!」


メルダの表情は驚愕(きょうがく)に引きつり

絶叫で報告する。



ドッ、ゴーン!



ガラン! ガラン! ガラン!ガラン!ガラン!



「魔族襲来警報! まさか! 巨大魔人ギェンガー!?

もう復活したの! ...... 龍神様に御一報します!」


ディグリーは、彼女の見事な双丘の深い谷間に下がるペンダントを取り上げ、

両手で自分の(ひたい)まで掲げ、

よろめきながらも両目を閉じ祈りを始める。



ドッ、ゴーン!


タキタル王都衛兵隊々長おうとえいへいたいたいちょうは、

それまで礼拝堂の高い天井に大きく開いた大穴を、

口あんぐりと見上げて居た。


「神殿城塞砲(じょうさいほう)準備急げ! 戦術魔法士も居るな!

忘れずに、砲弾(ほうだん)に魔法ブーストを掛けさせろ!

教会建物? 聖湖(せいこ)火線(かせん)を結べば、被害は出ない!!」



ドッ、ゴーン!



激しい地揺(じゆ)れと、副司祭メルダの絶叫警告(ぜっきょうけいこく)と、魔族襲来警報(しゅうらいけいほう)(かね)把握(はあく)しつつ、

大窓から巨大魔人ギェンガーの位置を一瞥(いちべつ)するなり、タイ・クォーン教会衛兵隊に、

実戦経験者(じっせんけいけんしゃ)らしく戦場に(ひび)き渡る銅鑼声(どらごえ)で、的確に発令する。



ドッ、ゴーン!



「「「はっ!」」」


命ぜられた教会衛兵達は、タキタル隊長の頼もしい発令に、

激しい地揺れにひるむ事無く遅延(ちえん)無く動き出す。



ドッ、ゴーン!



『撃つのはちょっと待て!タキ坊!』


バスク施設動力長のドラ声が、館内放送に響く。


「どうしました動力長!あと、タキタルです!!」


見習い小僧時代の呼び名で呼ばれたタキタルは、

ドラ声で抗議を返す!


『いいか!武器(コア)に、さっきの過剰魔素が抜けてねぇ!

連射すれば、直ぐに焼き付く!

左右八砲あるが、左右二砲ずつ、交互に撃て!

二砲ずつ休ませながら撃つんだ!

魔素は有り余ってやがるから、

ゆっくり、ガンガン撃て!いいな!タキ坊!』

バスクは抗議を無視して、必要事項を怒鳴る。


「ぬぅ......えい!バスクじぃの指示通りに!」

「「「はっ!」」」


タキタルの部下たちは、

ガキ扱いされた上官に(苦笑)しながらも、

持ち場へかけ出す。





◯ ◯ ◯



巨大魔人が、障壁と激突して居るすぐそばに、絶景の聖湖を一望出来る、教会の結婚式場がある。


正に今から結婚式を取り行おうと言う、二家族の親類縁者が集って居た。


先程の『大地震』で結婚式を一時中断し、式場から出て来ている。


もう真上に、全長三十メートルは有る巨大魔族の足裏が、見える。


ドッ、ゴーン!


また、地面が揺れる。


全員が、魔族の迫力に()(すく)み、棒立(ぼうだ)ちだ。


「これから、キムタが嫁を貰う最良の時だと言うのに、人生最後を迎えるなんて……」

純白の礼服に着飾った美熟女が、小さな幼女を抱えながら、(なげ)く。


「ねぇ。おばあちゃま。あれが『まじん』なの?。すごくおっきいのね!」

幼女は、抱かれながら首を真上に向け、素直に聞く。


「そうだよ。一年前にセタ村が一晩で無くなってしまったは...... 二ヶ月にはホホカ村が一瞬で燃え尽きた...... おんなじ巨大魔人だは!」

その声は、恐怖に震える。


「でも、でもでも、あたらしくおいでになった『ゆうしゃさま』が、いるのでしょ?。たいじして下さるのでしょ?」幼女の声に、期待感がのる。


「そう見たいだけど、あんなに大きな魔人なんて……御一人(おひとり)じゃ、無理よ」孫を抱きしめながら、強い絶望に、顔を青くする。



◯ ◯ ◯



「……すいません。魔人て、あんなに尊大なのですか?」


武良は、セルガさんとワードマンさんに聞く。


『はい。魔族は、欲望の塊です。顕示欲(けんじよく)誇大(こだい)です』

ワードマンさんは、苦虫(にがむし)()(つぶ)した表情で答える。


「ふうん。なかなかに、強そうですね」


「はい。あれは……巨大魔人です……大都市をも壊滅させる程の」

セルガさんの鈴の音の声は、緊張に(ふる)える。



キュン、キュン、ドンッ!



教会建物や、公都あちこちの二連砲の砲台から、赤い光が次々と打ち出される。


ドス、ドスドス、ドス!


巨大魔族に、赤い砲弾は当たるが……効いてる様子は、まるでない。


『早く、出て来いや!。元の世界に尻尾を巻いて戻るなら、見逃してやらんでもないわ!。がっはっは!』


ジャキン


巨大魔人の右手に、三又(みつまた)のピッチフォークが現れる。


ブン


巨大魔人が、三又のピッチフォークを振るう。


バキンッ


城塞砲塔目の前のシールドに当たり、割れ(くだ)ける。



◯ ◯ ◯



バキンッ!


「「きゃぁ!」」


ディグリーと副司祭メルダが操作して居た魔法陣が、赤く瞬いたかと思うと、ガラスが割れ弾ける音がして、動きが固まる。


ヴォン


聖湖側(せいこがわ)三番砲塔前(さんばんほうとうまえ)障壁崩壊(シールドほうかい)砲員退避(ほうとういんたいひ)!」

タキタル隊長が叫ぶ。








宜しくお願い致します。

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