メリークリスマス!
「今度は5秒以内に届けましたよ!」
配達センターに戻ったプアールは嬉しそうにタダノに告げた。
「よく頑張ったな」
タダノも満面の笑みで迎えた。
仕事がひと段落ついて、皆が帰っていく。そう、今日は、クリスマスである。家族と祝う者。恋人と祝う者。友だちと祝う者。パソコン画面と祝う者。それぞれのクリスマスだ。
しかし、今宵も、夜勤はプアールである。
まぁ、夜勤と言っても、その隣の倉庫で勝手に寝泊まりしているだけなのであるが。
誰もいなくなった事務室にタダノ課長が顔を出す。
「今日はお疲れさん!」
その手には串に刺した魚の焼きマスが二匹と、ノンアルコールのシャンパンが握られていた。
「どうしたんですか! それ?」
「今日はクリスマスだろ」
「私にくれるんですか?」
「アホか! 俺が食うんだよ!」
「えぇぇぇ、私にはないんですか」
「ちょっと多いから、お前も食うか?」
「ハイハイ! 喜んで!」
にこやかに微笑みながら焼きマスをほお張るタダノとプアール。
その様子はまさに親子であった。
プアールにとって、この配送センターはブラックであっても、家なのかもしれない。
タダノにとってプアールは、出来の悪い娘なのかもしれない。
お互い口悪いが、一生懸命に生きている。
お金はないが、目の輝きはなくなっていない。
そんな人生も悪くないのかもしれない。
窓の外から《《第九》》の歌声が響く中、嬉しそうに焼きマスを食べるプアールを見ながらタダノは思った。
そして、プアールの頭の上にポンと大きな手を置いた。
「コレ! 私のですから! あげないですよ!」
「誰がいるか! 《《貧乏人》》!」
しかし、イヤマのエロ本は誰が発注したのであろうか?
たしか、イヤマは転職雑誌しか頼んでいなかったはず。
そう、それはタダノ課長が、受注管理の画面をチョちょいとクリック!
えっ?
そんなことはしていない?
タダノ誤配達だって?
まぁ、そうですよね、ココはブラック企業megazonですから。
そんな事も有りますよ。
完




