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生あるモノへ  作者: 妻戸裕次


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ハルカス

大和川の向こう

遠く小さなハルカスを見た

まだ少し靄り

人のまだ卵の心に似て

電車音はカタンコトンと


眼下に交叉する大和路線

その先に普通のハルカスを見た

少し霞とけて

人の幼虫の心のように

電車音はゴーゴーと


車窓から透る

大きなハルカスを見た

朝雲の呪文から解き放たれて

人の蛹の心のように 

電車音は寡黙の一歩手前まで


青空を引き連れた

壮大なハルカスを見た

確かに懐深く聳え立つ

人は人の心で職場へと


電車音は やさしく 

なおもやさしく

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