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生あるモノへ  作者: 雄すけ
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少年Y.D

 氏神さんの境内に穴? 穴? 穴? 地面に無数の穴があった。

<蝉の穴? そうじゃない、ビー玉遊びの穴だ>。

少年Y.Dは、少しくたびれて、夏休みも、もう終わりやな、と思う。この頃になると夏休みの名残のように心の奥底にたまった喪失感ポツんポツんと落ちていく。それはオレンジや赤の混ざった夕陽のようだ。

少年Y.Dは陰ひなたのなかに落日を見る。彼は、もう来年の夏休みを待つかのように佇んでいる。

 それから、少年Y.Dは家へ帰ると、姉三人を巻き込み宿題、宿題、宿題の山だ。 

「A型人間みたいに来年は宿題やってから遊ぼう」 彼は言う。

「A型やのに訳わからん奴や」長姉が言い、「そうやんか、反省猿になりや」次姉が諭し、「お尻の青い反省猿や! 」三姉が茶化す。

それでも、三人は少年Y.Dの宿題を手伝うのだ。 

「夏休みの宿題は計画的にやりましょうネ」少年Y.Dはサトセン(佐藤先生)の言葉を思い出す。

<無計画の川? エロなヤッチンも悪のサーチンも、水玉パンツのカッコちゃんさえ、みんな一緒の無計画の流れを、みんなで渡っていたネ>

ポケットに戦利品のビー玉いっぱい詰め込み、得意気にガチャガチャ鳴らしながら歩いていた。今は昔、昔のおとぎ話だ。 

          ☆

 中学生になったY.D、いつまでも母ちゃん、母ちゃんと一緒に寝てられないネ。

でもーー 寝てた。

いつまでもカッコちゃん、カッコちゃんの水玉パンツ覗いてられないネ。

でもーー 覗いてた。

          ☆

 中学三年のとき、少年Y.Dは、連れ4人で、映画を見にいった。

「ユウ、行くぜ、、、」エロなヤッチンが言ってきた。

大和高田の町、ヨシヨシが裕次郎のように肩で一番風を切り、ヨシヨシって、吉岡芳雄やからヨシヨシ、いい子だネンネしな♪ 何のこっちゃ!

二番風は悪のサーチン、続いてエロなヤッチン、肩で最後の風を切ったのは少年Y.Dだ。

映画のタイトルは<肉体の門>。成人映画だ。坊主頭でどうして入れたんやろ? 不思議! どうしてはいったんか、記憶にございません。ーー 国会答弁みたい。

<アメリカ占領軍の兵士・GIとは決して寝ない><金をもらわずに男と寝ない>これが彼女たちの掟。掟を破った者は全裸にされた上に両腕をロープで縛られ吊るされ、恥丘の剃毛、ムチ打ち(首の捻挫とちゃいまっせ! )のリンチだ。少年Y.Dの若い性は昂った。

<金なしでは男と寝ない>ある日、ひとりの女が掟を破った。好きだから、お金なしで男にカラダを与えてしまった。掟を破れば制裁が待っている。女は制裁を受ける。

お金なんていらないよ、心が消えるから、男は女を守るべき、俺は、俺は、俺はどうしたらええんや。<俺はどうしたらええんや>。

中学生Y.Dもサーチンもヤッチンもヨシヨシも、みんな純粋に思っていた。

 小学生の頃、ヤッチンの家で見たエロ雑誌の写真より、映画は遥かにリアルだ。アドベンチャー+リアリズムの上、さらにエロチシズムが乗っかったビッグマックだ。いや、グランドマックかな? いやいや、ギガビッグマックかな? 圧倒されたのだ。 

 少年らは映画を見た後、天神橋筋商店街の露店でお好み焼きを食べた。黙々と食べた。何故か知らんがソースをメチャメチャかけた。そして、メチャメチャ水を飲んだ。何のために? =昂りをおさえるために。

少年Y.Dはエロなリンチシーンを思い出しながら牙を抜かれた虎のようだった。

          ☆

「男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は三人しかいない。」と、どっかで聞いたことがある。多分、女も男三人、同様なんだろう。

 少年Y.Dがふと手を見る。結婚線が三本。あっ! やっぱり三人。三味線だって弦三本、信号だって三色、トライアングルは三角、サヨナラ三角、デルタだってーー 変な納得。三人!  確信する。

結婚線の一本目(一人目)、即答。少年Y.Dが16才の時、彼女はひとつ上、メロンパンばかり食べていたエキセントリックな彼女。

「考えなくったって、考えたより正しいことが出来るーー って」。

彼女の口癖、ふわふわと感性だけで呼吸してた彼女、ちょっと野性的、みだりに淫らだった。

だから、彼のDNAは欲情ばかりしてた、体臭まで欲情。ーー 大衆浴場って! 風呂やんか。

二人は感性だけで繋がりあっていた。現実なんて見えてなかったのだろうよ。


二人目? また今度。

ーー アバヨ アディオス グッバイ。

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