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神の手
セミがこの世の不条理に
正義を、真理を、叫んでいく
いつかのシュプレヒコールのように
僕の夏を励ましていく
隠れたところ、無音のなか
大きなアシダカグモ
ゴキブリを食べていく
連なったアリたちの歩行
今朝も労働、明日も修行
怠惰なキリギリスは零の歩行
働くことの尊さを盗み見ながら
秋まで空の彼方へ
雨を呼んだアメンボウ
水を澄ましたミズスマシ
この世を浄化するかのように
僕の夏の汚れ(けがれ)まで
青い空のもとへ
あぁ、コロナよ
神の右手で
自然のからくりのなかへ
神の左手で
宇宙の営みのなかへ




