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生あるモノへ  作者: 雄すけ
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向日葵(ひまわり)

 青空の果てを見透かして、志し高く向日葵が咲いていく。遠い夏の日、彼女の家へ行く道すがら、あの時も向日葵が咲いていた。

「あぁ、暑い、暑い」汗が滴る。僕は扇子であおいで行く。

 

 彼女の家、僕は仏間にとおされた。

「結婚を前提にお付き合いをさせてもらっています」僕は彼女の両親に汗ごと言ってのける。

ひとしきり僕の身上調査が始まる。僕は僕の個人情報を保護せずに開示する。

「こんな我が儘な娘でもいいのかねぇ」彼女のお父さんが言う。お母さんは笑っている。

「いいです」「いいです」と、僕は2回言ったあと、

「お父さんが思うほど、我が儘じゃありません」と、しどろもどろになりながら言う。

汗がどっと吹き出る。僕は汗を拭う。

「すみません、クーラーが壊れてしまって」お母さんの言葉。

 扇風機が時を刻むように回っていく。僕は扇風機を見つめている。開け放たれた窓、どこからか蝉の鳴き声が僕を励ましていく。僕は沈黙、蝉は饒舌だった。

 

 彼女の家からの帰り道、「向日葵」という名前の喫茶店へ行った。

「あぁ、疲れたよ」

「私だって疲れたよ」彼女が繰り返す。

 クーラーのきいた店内、その時、透明感の溢れた夏とともに珈琲が移ろぎの香りを漂わせていた。僕らは、「ホットコーヒー」、「ホットコーヒー」と続けざまに注文した。

 夏でもホットだね。ホットするね。僕らはリラックスしていく。カサカサになった心を珈琲で潤していく。脳だって活性化していく。僕らは珈琲を飲みながら思い思いの反省会だ。

<あれで良かったのか。寡黙すぎたかな>。

 店内から外を見ると向日葵が咲いており、遠くに青空、見事に融和して向日葵は青空へ吸い込まれていく。向日葵の志しは僕らの志しに似ている。その時、サイホン珈琲の泡がぷくぷくぶくと上っていった。珈琲を飲むとぷくぷくとアルファ波が出るって本当だね。

そんな日があったね。

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