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怪物
怪物は気遣いを知り
優しさを裏へ返すように
無言になる
僕は無言という気遣いを感じた
どれだけの試練を
どれだけの重荷を背負えば
怪物になれるのだろう
困難に出会い 荒波にもまれ
十字架のまえ ため息の涙を流した怪物
誰も知らない 誰にも知りえない
一昔前、怪物の父は津波にさらわれた
どれだけ悩み 苦しめば
紆余曲折を経れば
どんな坂道を登れば
怪物のように優しくなり得るのだろう
ある日、怪物は怪物と対峙した
もう一方の怪物は荒くれ顔
でも怪物同様に優しい眼をしていた
怪物はすべてストレートで勝負
4球目左方向へ流された
怪物は悔しさを押し殺すように
ヒストリーの風をみた
怪物の右手にウイニングボール
「両親にプレゼントします」
怪物の神話が始まった




