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生あるモノへ  作者: 妻戸裕次


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十二月、町

十二月の町が好きだ

特に、月の半ばの昼半ば

天気の良い日の町

地上なのに 冬なのに

青空を見透かした雲海さながら

天に犇めきあった雲だから


歩道橋を上がったところ

沖縄三線のもの哀しい音に

主よみもとに近づかん…… と

謎めいた長髪に

髭の男の怪しい歌声

三線の響きと不調和ゆえに

切なささらに今年もそうだった


そこすぎると年の瀬いっそう

エスカレーターから聞こえる

「――ベルトにおつかまりになり

黄色い線の内側にお乗りください」

「小さなお子様をお連れのお客様は

手をつなぎ…… 」と

ジングルベルの向うへ


いまある子達の危険を顧みぬ所業

あっ 危ないと

きのうあった子達の喚きちらした声

あしたある子達の遺伝子まで


きのう過ぎぬ間にいま怠りない町

こも巻きされた木のように

あしたの支度に余念がない


混沌のなか見極めようと枯葉を落とせ 

落とせと 総括にならぬ総括なら

一枚の葉片かアナリシスか


いまある佇まい

きのうから征くあしたへ還る

一緒くたになった十二月の町

そんな処に佇んで…… 

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