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哀しいほどの青い空
少年の目に
剥ぎ落されていくビルディング
少年の目に
バラよりも紅い血を流した兵士
そして、哀しいほど無機質の青い空
少年の耳に
闇からのマニュアル的な軍靴の音
少年の耳に
兵士の胸を撃ち抜いた紅いバラ弾
そして、哀しいほどメカニカルな青い空
少年は人道回廊をいく
ザポリージャに残した哀しいサダメ
身体丸ごと受けとめて
「何しに来た? 」
「ひまわりの種持って行きなさいよ。」
お婆さんがロシア兵へ言い放ったコトバ
「あんたが死んでここにひまわりが咲くように! 」
少年は貪る
お婆さんからの香ばしいパン
少年は想う
いつか見たひまわり畑の風の香り
そして、哀しいほど澄み渡った青い空
少年の手にしたもの
バックパックとビニール袋と
パスポート
少年の手の甲には
名も知らぬ親戚の電話番号
少年の目
澄み切った青い空のはて
700マイルの途方もない道を越え
独りぼっちの戦いから
少年は、スロバキアへやって来た




