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モンスターパニックものは大抵、管理者の不手際から始まるものなのです

【グロ要素あり】

【胸糞要素あり】

【エグすぎる展開】

【人外主人公】

【主人公が最大の悪】

【“人間視点ではない”ハッピーエンド予定】


R-18にしようかと迷ったけど、多分大丈夫でしょ(フラグ)


なんか心が弱い人の閲覧はオススメしません。


相当ひねくれた展開にする予定なので、真っ当なのが読みたい人にもオススメしません。






怪物が人間の心を理解する展開?


無いよ!! 心臓の味は理解済みだけどね!!!

転送される前、その”男”がにやりと笑った。




「ええ、では良い転生を!」


 今月1982人目の転生者を見送った私は、深いため息を付いた。今月のノルマはこれで終わり。毎日、仕事終わりは翼と髪がボサボサになる。フカフカのソファに倒れ込むと、ボフりと音を立てて凹んだ。お昼から何時間も連続して立っていた足は棒みたいに動かない。


「これでもそこそこ位の高い女神なんだけどなぁ〜……」

「お茶どうぞ、フォルトゥナ様」

「ありがと〜。まったく……なんで私がこんな雑務みたいな仕事しないといけないわけ!?」


 お茶を出してくれた天使が、また何時ものが始まったという顔で、やれやれと首を振った。指を一本立てて、注意するかのように口を窄める。彼女は私の優秀な助手で、女神なんだけど抜けている私のフォローを良くしてくれている。何より、彼女の顔は可愛い。女である私から見ても眼福。


「お言葉ですが、これも大事な仕事なのです。使命を持った転生者を各世界に送ることで、その世界の均衡を保たせるのですから」

「はいはい〜、わかってますよ〜。でも結局のところ、雑用使いに仕事を説明して仕事場まで送るだけじゃないの。神様がやる仕事じゃない〜!めんどくさいー!変わってよぉ〜!」

「私とて、代われるものなら代わりたいです。いちいち愚痴も聞いてられないですから。でも、必要な加護は天使の一存では与えられない――おや? 先程の転生者、これだけの加護しか与えられなかったので?」


 書類を片付けていた天使が、一枚のスクロールを手に取る。それは、先程送った転生者の能力(スペック)と、転生先の世界と使命が書かれた紙で、与えた加護を私が書き加えている。


「言語の加護と、高魔力と、世界地図、それに……他のも、便利ではありますが、チートというほどのものでは無いですね。近年の転生者にしては無欲な。転生後は隠居でもするつもりなんでしょうか?」

「ああ〜、最近いるよね。私としては別にどうでも良いけど。でも、それにしては素直な人だったよ? 使命を伝えたときも、嫌がる表情もせずニコニコしてたし」

「そ、それはかえって胡散臭いのでは? 普通、死んだ後にいきなり『異世界へ転生して世界を救ってこい』なんて言われてニコニコ出来ないと思うんですが……というか、これ……この人何なんです? 転生前の情報がほとんど無い……しかも生まれた時の情報も……年齢、これ!?」

「えっ?」


 私はその言葉を聞いて、スクロールを天使から受け取った。そこには、あまりにもあり得ない内容が書かれていた。いや、書かれていなかった。ここ数ヶ月を除いて真っ白だったのだ。普通はそんなことあり得ない。まっとうに生きた人間なら、生まれてから死ぬまで、何かしら書くべきことはある。本人からすれば記憶に残らぬほど些細でも、神の記憶は忘れない。本人に気づかぬことでも、神の目を持ってすれば簡単にわかるのだ。たが、先程の転生者はそれをかいくぐるような人生だったというのか?

 そして天使が驚いた表情で年齢を指差す。そこには――


「に……2歳!?」


 さすがにこれは可笑しい。私が見た限り、彼は18くらいはあったはずだ。確かに、最近は多重転生で年齢がバグっている人間もいる。だがそれだって、どこかにそういう記載はある。転生前の年齢だって加算されるはず。もし本当に2歳だとしても……あのしっかりした受け答えはできない。確かに演技臭いほど素直だったが……なにか、背筋がゾッとするものを感じた。私が先程まで面と向かって喋っていたのは何だったのだろう? 何を、異世界に送ってしまったのだろう?


「……で、でも大丈夫だよ。あの世界だって強いのはいっぱい居るし……」

「ハァ……何かあってからでは遅いんですよ。彼を転生者に選んだ担当には私が連絡して、素性を調べてもらいます。女神様は送った世界に忠告と、転生者を見つけ出して監視しておいてください」

「うぅ〜……今月の仕事終わりだったのに〜!!」


 残業になってしまった。大声で愚痴りながら、仕事をしなかった転生者選出担当、資料作成者と、最後の最後で手を抜いた5分前の私を呪いながら、両手両足を前に投げ出す。









 もっと先の未来で、もっとずっと深い後悔をするとは、その時は知らなかった。

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