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生まれ変わった僕

 気付けば僕は息を切らせて、地面に倒れ込んでいた。少し離れたところにいる白瀬君も同様に。


 とっくにSPの二分半は終わっていて、空ではガレオンがジンさんを追い詰めていた。さっきとはまるで逆だ。


(僕の演技が白瀬君の演技を上回ったから、だ)


 観客が驚愕の声を上げる。はっと見上げると、ガレオンがジンさんの身体に弾幕を派手にぶち込んでいた。ジンさんが光に包まれて消滅する。

 静寂が束の間、場を支配したが、ガレオンが握った拳を力強く夜空に突き上げると、大歓声が津波のように夜を切り裂いた。


 しばらくして息を切らせたまま、ガレオンは僕に言った。


「お前の番だ、アル」

「うん、ありがとうガレオン」


 主導権が明け渡されて、僕はよろよろと立ち上がった。白瀬君に近づく。

 白瀬君は仰向けに倒れていて、僕に見下ろされてもまだ動かない。ぼんやりと僕を見上げ、そして満足そうに笑った。


「いい答えでした。リンクでも僕を殺しに来てください」


 僕は頷く。心が凪いでいた。

 まっすぐに右手を伸ばすと、彼の心臓に差し向ける。


「さようなら、白瀬君。氷上で僕を待っていて」


 右手から白いニードル弾が飛び出し、彼の心臓を打ち抜いた。幻想的な光の粒が彼を取り囲み、白瀬君は消滅した。


 押し寄せる大歓声が、僕の心を満たす。それはまるで、あの全日本選手権の傷を癒すような喝采で……。

 いつの間にか隣にいたガレオンが、僕を自分の肩に抱え上げる。


「手を振ってやれ。お前はあいつに勝ったんだ。よくやったな」


 僕の目からはいつの間にか際限なく涙が流れていた。精いっぱいの感謝を込めて観客に手を振る。

 涙に滲む世界は美しくて、僕は無性に氷上を滑りたくなった。この喜びを、みんなに伝えたい。


 それは生まれ変わった僕しかできないことだ。

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