ガレオンVSジン
空は二人の弾幕で埋め尽くされていた。
ガレオンとジンさん。二人が描く軌跡は、見たこともないほど複雑で激しい。
それだけで僕らの渡した飛行力が尋常でない強さだとわかる。実況も解説も絶句していた。
(やっぱり、白瀬君の稼いだ飛行力の方が強い)
空の二人の実力は伯仲している。決め手は地上戦で稼ぐ飛行力しかありえなかった。
白瀬君の飛行力を受け取ったジンさんの俊敏で精密な機動に、徐々にガレオンは追い詰められていった。
「どうして」
と、ボロボロのガレオンは呟く。
「どうして、足を失くしたはずなのに、こんなにバトルができるんですかね」
ジンさんは攻撃の手を緩めずに、笑って答える。
「VRABの本社が、センサーグリーヴの代わりに足と頭にチップを埋め込んでくれてな。足が失くても戦えるようにしてくれた」
「よくもまぁ、そんなことが認められましたね」
チートじゃねぇか! とガレオンは吐き捨てた。
まぁな、とジンさんは苦笑する。
「俺の足、センサーグリーヴの爆発事故で失くしたんだ。世間にバレたくない本社は俺の言うことをよく聞いてくれたよ」
ペアの賞金も増額してあっただろ? あれも俺が頼んだんだ。お前らをおびき寄せるために。
種明かしをするジンさんは心底楽しそうだ。ガレオンは苦み走った顔で舌打ちした。
「なんでそこまでするんです?」
「白瀬は俺の可愛い甥っ子でね。いいところみせたいんだ」
「はっ! 俺たちの知ったこっちゃないですね!」
ガレオンは急加速して距離を取ると、光を集めて腕を振った。
《攻壁 黄長城》
あの長大な光の壁の弾幕が形成される。
ジンさん自身、クリアできなかったと認めるあの弾幕だ。
(もしかして、これで有利に立てる?)
僕は手に汗を握った。恐らくボムで処理されるだろうが、相手の手数を削れることには変わりない。僕が喜びかけたその時――。
ジンさんはひゅっと風を切って、弾幕と戯れるように余裕で躱してみせた。
「ひゅう、気持ちいいな! うちの甥っ子の飛行力は最強だ」
ガレオンの目が見開かれる。
意地になってランダム弾をばら撒いても掠りもしない。完全に遊ばれていた。そしてジンさんの猛攻。
「くそ……!」
ガレオンがなんとか耐えきったまま五分が経って、両者の飛行力が尽きる。
「アル! お前が頼りだ!」
ガレオンの祈るような声が、僕の耳に響いた。
ごくりと喉が鳴る。
……僕は、白瀬君を殺すことができるんだろうか?




