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ニードレスニードデス  作者: ウィル&スオウ
ニードレスニードデス
2/10

真のプロローグ

一個前のは詩かも

 ! ニードレスイメージ


 …言葉というものは、言の葉と書くが、言葉は葉のように千切れやすい代物だからとも、葉のように強靭な物だからとも取ることが出来るからと考えられる。

 男は〇〇、女は〇〇、と言うようなエゴを押し付け合うような世界では、尚更のことどちらの意味にも取れるだろう。

 プロパガンダ。アジテーション。イメージコントロール。

 それらは時に人々を狂わせるトリガーワードとなり、ブレーキにもなり、ブレイクトリガーともなる。

 人々は立ち、踏みとどまり、反対する。そして、必要の無い死を生み出す。言葉を使うことによって。

 それは人間に与えられた存在(けんり)、そして人間が人間で有るための必要な行為でもある。

 …それは、人間の敵が人間と成ったときに、最も発揮されるという悲劇を孕んでいると考えられる。

 何故なら、言葉というものは、人の意思を表す物であると同時に、そのフレーズのためならば何処までも感情的に、何処までも非情に成ることが出来るからであり、人々の互いの意思がぶつかり合うときこそ、それが極限まで増幅される瞬間だからである。



 …春原 光(すのはら みつ)  凡人類史の戦争における、人間という生物が手に入れた言葉という存在の及ぼす影響


 「またミツは論文を書いているの?そんなものが何の役に立つって言うんだい??」

 僕の幼なじみである榊原 雪美(さかきばら ゆきみ)は、聞かずにはいられないといった風で聞いてくる。

 なぜ、小説家に成りたいのに論文ばかり考えているのか、と。

 「ただの趣味だよ」

 「逃げてるだけじゃないのかな?」

 辛辣な言葉を浴びせてくる。そりゃそうだ。

 「でも、こういう下地を考えてこそ小説は面白くなるんだよ。小説の主人公がこういう論文を書いてて、そっから物語が進むとかあんまり無いから面白いかなーっていうのも有るけどね」

 「絶対面白く無いと思う」

 「し、辛辣だなぁ…」

 「まぁ、そういうのは確かにあまり見たことないかなぁ。君も頑張ってるんだね」

 「…それは褒めているのか…?」

 

 カチリ、という音と共に、褒めているのだろうとは理解できてしまった自分が恨めしい…







 ──俺、いや、僕は少しおかしい。

 言葉を話そうとすると、カチリ、と何かが噛み合うような音がして、とてもしっくりくる。

 何故だかは分からない。でも、起きるのだ、それが。

 何故か。

 ─この性質は、時折ふとした瞬間に、唐突に現れる。

 まるで、未来を見透かしたように。僕を、苦しめるように。



 

 「さて、と」

 書いていた、とはいえカタカナ語の使い方や口調の下手な論文の原稿用紙をファイルに入れ、パソコンを立ち上げる。

 パソコンの光で、メガネが黄色く染まる。

 「…北海道で三件、東京で四件…」

 最近、不自然で有りながら全く注目されない失踪事件が増えている。似たようなのが何件も起きているのに、だ。

 テレビでは話題に入っているのに、それについてのトークは無く、新聞では端の方に載っている。…まあ、僕は何となく目に入ってしまったので調べているのだが。本当に情報が少ないのだ。


 ──まるで必要とされていないかのように。

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