1月24日 - 関係 -
サボり気味でした。ぼちぼちアップしていきます。
正直に告白すると、私は「友」と呼べる人間が少ない。
小学校2年の頭に母が入院してしまい、父も単身赴任中だったため、2か月ほど親戚に預けられたのが第1の要因。田舎の隅っこの方の学区で学年で1クラスの超小規模校だったのが第2の要因で、いわゆる「ぼっち」であったと言える。
狭い女子の世界ではありがちな、『ターゲットを順番に変えながら無視する』以外の、あからさまなイジメはなかったものの、社交的ではない性格も崇り、2か月の間に完璧にできていた女子グループのどこにも入っていくこともできなかった。
ただ、無視されて一人になった子が何となく寄りついてきたりしたので、おおよその女子とは多少の交流はあった。
それでも小学生の間、校内では深い付き合いをする子はほぼいなかった。
習い事で知り合った子の方が、よっぽど「友」と言える存在だった。
中学生になり、部活動で一緒に行動する内に同じ小学校出身の部員とも、「友」と言っても良い関係になったと思っていた。
「だからさ。わたしたち、まだ、そこまでの関係じゃないじゃん?」
そう言い放った彼女の傍らには、付き添いだという彼女の親友なる女子がこちらに言いたいことは言ったと、肩の荷を下ろしたように息を吐いている。
彼女より先に用件を教えてくれた付き添いの言い分を要約すると、冬休み前に何かの話の流れで彼女の持っている本を興味があるから貸して欲しいと私が言ったが、「よくよく考えた結果、貸したくない」と言うことらしい。
こちらとしては、「ああ、そんなことあったな」程度で、その場では「良いよ」と回答をもらったが、その後なんの素振りもなかったので忘れられたものだと思っていたのだが、どうやら「嫌だと言えなかった」だけなのだろうか。おそらく、彼女とその付き添いの態度を見る限り、私の想像は当たらずとも遠からず、であると推測する。
「そう。で、他人使って言い訳しに来たってこと? テスト期間中にわざわざ? こっちは疾うに忘れられたものだと思って、忘れかけていた程度のことなのだけど?」
あまりのタイミングの悪い付添い付きのオコトワリに、言葉が尖った自覚はある。
「無理して貸して欲しかったわけじゃないし、嫌だったなら、はっきり断ってくれればよかっただけの話なんだけど?」
彼女は傷ついたと言いたげに顔を歪め、付き添いの目が剣呑になった。
「だって……そこまでの関係じゃないじゃん?」
半分泣きそうになりながら、尻すぼみに彼女の口からまた出てきた言葉に、「はあ?」と柄も悪く息を吐きだしてしまった。私はいたって正直者なのである。こう言う所がまた、人に好かれない、友人ができない要因であることも自覚はある。
「と言うかさ、『そこまでの関係じゃない』って何? そこまでの関係じゃないのに本を貸してってお願いした私が悪いってこと? それとも、そこまでの関係じゃないから自分の言いたいことも自分で言えないってこと?」
「ちょっと! そんなに責めることないでしょ、たかだが本を貸すのを断ったくらいで」
付き添いが、彼女を庇う様に前に出てきた。半泣きだった彼女は、もう涙目で付き添いにしがみついている。
「貴方、今の話し聞いてた? 別に本を貸すのが嫌なら別に良いんだよ。責めているとすれば、はっきり嫌なら嫌って言ってもらえなかったことなんだけど」
そもそも、なんで付き添いまで連れて断りに来るのかが、しかも自分ではなく、付き添いの口から言い訳をさせるのかが理解できない。そんなに怖い人間だとでも思われているのだろうか。むしろ、そのことにも傷付くのだが。
付き添いに隠れるようにして泣いている彼女に視線を向ける。こちらの顔を見ようともしない彼女に、余計に腹立たしくなる。
「被害者みたいに泣くのやめてもらえない? 私は友だちだから、嫌なら嫌と言ってもらえると考えて、軽くお願いしたつもりだった。『そこまでの関係じゃない』って言われたこっちが泣きたいくらいなんだけど」
「だから、そこまで責めなくてもいいじゃない、この子泣いてるんだよ?!」
こちらを睨み、彼女を抱きかかえるように吠えてくる付き添いを見て、ああ、だめだこりゃ――そう思いながらも、心に引っ掛かった何かを自分で処理しれず、彼女等にぶつける。
「『そこまでの関係じゃない』んだったら、ちゃんと自分で言葉を尽くさなければいけないって私は考えるけどね。言いたいことはそれだけ。別に貸し借りなんてどうでもいいから、もう忘れて」
踵を返して、そのまま校門の方へ歩いて行く。
呼び止められるかと思ったが、何も言ってこなかったので、そのまま家に帰った。
帰宅後、姉にこのことを愚痴ったら慰めてくれたあと、「お前はKYでなくて、KYだから、気をつけな」と釘も刺された。
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理路整然ときちんと言い返せたら、こんなにモヤモヤしていないんだろうな。