1月23日 - 学年末 -
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定期考査は好きではない。
いや、好きだと言う者はなかなかいないだろう。
中間考査はまだ教科が少ない分、頑張れば何とかなりそうだと思えるが、期末考査は教科が増えるからやる気に火をつけるのが大変だ。だから、追加される教科については諦めて、授業でやっただけで一発勝負に出る。そうすれば、範囲が広いだけで、勉強する教科は中間考査と同じだ。
今回は学年末である。範囲は期末よりさらに広がる。出題数は少ないとはいえ、1年通して学んできたものを振り返っておかねばならない。しかし、勉強嫌いの私としてはやることは少ない方が良いと、数問は諦めて今学期でやったことの復習を最優先にしている。そんな勉強方法が親にバレたら、そんなことをやっているから順位が真中から動かないか、少しずつ後退していくんだ、と怒られそうである。
まあ、真面目に取り組めと親から怒られたところで、山勘なんて張れるほど授業は真面目に受けていないし、勉強はそもそも好きではない。
テストの日は早めに登校する。
無駄なあがきでもしないよりはましと、誰もいない教室でとりあえずノートに向かう。同じことを考える生徒が少なからずいて、すぐに教室はいつものさざめきに満たされる。人が増える毎に勢い込んでいた気合は消えていき、覚えている範囲が出ることを祈りながら、筆記用具に不備がないか無駄にチェックする。
始業の時間になると、担任が入ってきて本日の科目と時間割を板書する。
その間も教科書やノートに噛り付いてる生徒を見回して、声を張る。
「机の上片付けろー。出していいのは筆記用具だけだぞー。使う物だけ出して筆箱はしまえー」
その他。テストに当たっての注意が飛び、裏向けられたテスト用紙が配布される。
全員に行き渡ったのを確認し、担任は黒板上の時計に集中する。
時計を睨む者、裏返ったテスト用紙を睨む者、静かに瞑目している者、その誰もが一様に妙な緊張感を漂わせている。
「始め!」
全員が一斉に用紙を引っ繰り返す。
カリカリと、紙の上を鉛筆が滑る音が教室に満ちる。
解答用紙に名前を書き、まずは順番に問題を読み、解るところはそのまま回答を書きこむ。自信がなかったり解らない問題は、問題用紙に三角印やバツ印をつけて飛ばしていく。
一通り問題を読み終わったら、飛ばした問題の中から三角印の問題をもう一度読み直す。
三角印の回答欄埋め終えたら、バツ印の問題も同じように読み直していく。今度は解らないと判断したものなので、三角印のものよりは回答を捻り出すのに時間がかかる。いくら考えても解らないものは、当たって砕けろと適当に埋めていく。
顔を上げて時計を見ると、まだ10分くらいの余裕があった。
ざっと問題用紙と解答用紙を見比べて、回答欄がずれていないかをチェックする。
ふと、初めの1回目で回答を書きこんだ問題で、気になった回答があった。選択問題で、回答欄には「A.」と自分の字で記入があるが、読み直した今は「C.」が正解な気がする。
もう一度問題を読み直すと、やはり記入したままで良いよな気もした。不安になって読み返すが、その度に不安は深まっていく。
(くっ、どっちだ……!)
時計を確認すると、残りの時間は1分だ。
頭を抱えて唸ったところで、決め手が見いだせない。
(ええい。ままよ!)
運を天に任せようと、「A.」を消して「C.」に書きなおした所で、チャイムが鳴った。
「そこまで! おーい、鉛筆置けー。後ろから回収して来ーい。」
一気に煩くなる中、無情に回答用紙が回収されてしまった。
(書きなおした答えで合ってますように)
祈りながら回答用紙を見送って、次の科目のノートを取り出した。
××× ××× ×××
時間が余ることなんかない!
見直し?
何ソレ。美味しいの?