表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

監禁室からの脱出

ジリリリリリリッッ


朝の目覚ましの音が鳴り響く。


目覚ましをすぐに止め二度寝をしようと布団を深く被る。


すると今度は携帯のアラームの音が爆音で鳴る。


目をこすりながら携帯のアラームの解除にかかるが俺の設定したパスワードに苦戦しなかなか止められない。


パスワードはわかるのだが低血圧のせいか脳が追いついておらず番号を間違う。


自業自得なのだが設定した自分に苛立つ。


ようやく解除に成功すると


「あなたー何時だと思ってるの、太一の支度は終わったから保育園連れて行きなさい!」


嫁の八雲(やくも)の声が聞こえた。


「はいはい」


朝の支度はどうも俺は遅いらしく嫁からは呑気だのマイペースだのとよく言われる。


掛け時計を見ると確かに急がないとまずい時間を示していたのですぐに支度をする。


車を運転し太一を保育園に連れて行きひと段落していると後部座席から声が聞こえた。


「パパぁぁさびしいのー」


俺は後ろを振り返る。


そこには、液体か固体かわからない半透明なゲル状のモンスターがいた。


「パパぁぁはやくかえってきてぇぇ」


なんだこの生物は、こんな奴見た事・・・・・・あれっあるぞ。


「パパああぁぁぁぁー」










はっと目を開ける。


仰向けになってる身体を起こし辺りを見渡す。


辺りは完全に真っ暗と言うわけではなく視界に(もや)が掛かってるような感じだ。


目がまだ慣れてないだけか、ただやけに頭部から目の辺りまで謎の違和感が・・・・・・


「あっパパーおきたー」


イルの声が頭の方から聞こえる。


「イル?」


違和感のある場所を触って見るとイルがいた。


どうやらイルは俺の頭から目の辺りまで冬に被るニットの帽子みたいにすっぽりと覆っていた。


「イル良かった無事だったんだな、悪いんだけど離れてくれない」


イルを離そうと引っ張ると吸盤みたいに引っ付いて外れない。


「あのねーいやなのー」


「離れろ」


「いやーー」








格闘すること数十分俺は諦めた。


こいつマジで離れない。


イルはこれからはずっと守ると意気込んでいる。


その状態でどこを守るの?


紫外線で髪の毛守るぐらいだろ。


仕方ない、イルに視界が悪くなるから目は隠さないでと約束し辺りを見渡す。


多分外ではないことは分かったが、それ以上は不明だ。


駄目元でイルに聞いてみる。


「イルさーわからないと思うけどこの場所何処かわかる?」


「あのねーイルわかるのー」


「そうだよな、わから・・・・・・」


予想外の答えに驚く。


早速教えて貰おうとイルに話してと伝えるが急にニット帽から声が聞こえなくなった。


あーそうかこいつ息子の太一と同じように接しないと駄目なんだったと気づき


「イル、凄いなー頼りになるなー」


と褒める、これで食いつくはず。


「イルすごいのー」


ニット帽から再び声が聞こえ帽子が飛び跳ねる。






イルから話を聞くと俺が意識を失った後果敢に立ち向かったが駄目で気絶したフリをして銀髪を欺いたらしい。


そしてこの場所は村の近くの監禁室みたいなとこらしく鉄格子に鍵をかけて閉じ込めてるらしい。


見世物にしてから今後どうするか決めるとのことで俺が起きたら伝えろと・・・・・・








バレてるじゃん。


何も欺いてないじゃん、ただ銀髪が教えてただけじゃんとツッコミしたいとこだがこの場所がどこかは理解した。


まぁ場所がわかっただけでも良しとしてとりあえず鉄格子のとこまで移動するか。


暗い場所から段々と目が慣れてきている。


移動に関しては問題ないが首筋が痛む。


痛みを気にすると銀髪の顔を思い出すので出来るだけ考えないようにしていると鉄格子の前に割と早くたどり着いた。


当然だが鉄格子は押しても引いても動かず、隙間からイルは簡単に抜けれて自慢しているが俺はどうすることも出来ない。


銀髪の言う通りここで待つしかないかなと思ったとき上の方から翼の羽ばたきの音がした。


鉄格子の辺りは少しだけ明るくすぐに上の生物が何なのかはわかった。


コウモリだ。


天井の突起部分に足を引っ掛け空中に器用にぶら下がっている。


ブタもいる世界だしコウモリがいても何の不思議もないと思っていた。


コウモリが喋るまでは。


「こんな所に人間がいるなんて珍しいな、お前は運がいい、この俺はバットの中でも超超超レアなキングデビルバット様だ、そしてこの姿を見たお前はここで終わりだ」


めちゃめちゃ喋ってきた。


キングと言う割にはサイズは普通のコウモリと一緒に見えるが。


コウモリの言葉にイルがすぐに反応し


「イル、パパまもるのー」


と言い俺の頭から離れ飛び出して行く。


「イル!ちょっと待て」


俺の言葉よりも早く鉄格子の隙間を抜けコウモリに向かって前進する。


コウモリも気づいたのかイルに向かって翼を広げ急降下してくる。


俺がイルを止めようとしたのは前のブタの一件が頭をよぎったからだ。


イルに負ける相手などいないのでは無いかと。


だがその心配は杞憂(きゆう)に終わる。


戦いというよりも子供の小競り合いに近く、しばらくは観戦していたが眠くなってきた。


俺はイルに終わったら呼んでと伝え横になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ