嫁が帰ってこない
2018年も残すとこ後少し。
若い頃と違い時の経過が本当に早い。
結婚して子供が出来、嫁とは共働きしているため仕事と育児の負担は半々ぐらいだが子供が一、二歳児の時は夜泣きと風邪に悩まされたものだ。
現在子供の太一も三歳になり夜泣きや風邪などの体調不良も軽減され俺と嫁も多少心に余裕が出来た。
時間の経過もそうだが一番は体力が急激に落ちたことがとても辛い。
先程言った息子の太一だが俺が仕事休みの日には大きめの公園に連れて行ったりして一緒に遊ぶことが当たり前になっている。
学生の頃はサッカーやテニスなど活躍はあまりしなかったがそれでも体力は人並みにはあると思っていた。
太一は走るのがとても好きで公園に着くと一目散に走り俺を呼ぶ。
俺が太一のとこに近づいて追いつきそうになると笑顔で走り出しまたつき離す、これの繰り返しだ。
部活経験者ならわかると思うがダッシュしてストップする、多分瞬発力とかを鍛えるトレーニングだったと思うがあれをやらされている。
夕方近くまで。
学生の時や二十前半の時はいくら疲れていても睡眠すれば翌日には元に戻っているため多少無理が出来た。
だが後半に差し掛かると気付いていなかっただけで体に蓄積された疲労があるんだなと感じた。
そして今俺は疲労困憊の中、仕事後に嫁を捜している。
今、時間は夜の十時過ぎだ。
経緯を説明すると、二人とも仕事が終わり太一を寝かせつけて俺はTVを見ていると、嫁が近くのコンビニに行くと伝えた。
コンビニは家の近くにあり徒歩で数分のところだ。
嫁が外に出たのは夜八時ぐらいで最初はTVに夢中で気づかなかったが九時半頃には流石におかしいなと思いコンビニに向かった。
すぐ近くのコンビニは立地が悪く夕方からに掛けて車が駐車場に止まっているのをあまり見たことがない。
そのコンビニの店員さんと嫁は知り合いで多分コンビニでお客もいないので話し相手になってあげてるのかなと思っていた。
コンビニに着き中に入る。
レジ横に嫁の知り合いを見つけて話をしてみる。
「お疲れ、八雲一時間前ぐらいに来なかった?」
「えー来てないですよ、私今日七時からなんで来てたら絶対わかりますよ」
「わかった、ありがとう」
御礼を言いコンビニを出る。
そして辺りを全力で探し今に至る。
体力が続かず肩で息をする始末。
外はそれこそ雪は降っていないがかなり寒い。
飛び出して行ったはいいが太一の事も気がかりだ。
まぁ今は一度眠りにつけばちょっとやそっとじゃ起きないから多分大丈夫だろうが。
コンビニにいないという事は正直ほぼお手上げ状態だ。
十中八九いると思っていたからだが来てないとなるとまさかとは思うが何処かに連れて行かれたとか。
ただ連れて行く人間も好んであんな運びにくい肉の塊、贅肉大臣を連れて行く物好きなんているのか。
ただ内心は少し焦っており警察に相談しようかと携帯をいじっている時携帯に着信が入った。
嫁からではなく非通知だ
本当はあまり出たくないが嫁関連の電話かもしれないと一呼吸して通話ボタンを押し耳元にあてる。
「もしもし、伊坂ですが」
声は聞こえない。
聞こえるのは昔のTVの砂嵐のようなノイズ音だけ。
ノイズ音にも構わず必死に声をかけ続けると、一瞬目の前が歪み視界が暗くなる。
目は開けてるままなのに光が入ってこない。
時間が経つにつれ暗闇に引きずりこまれる感覚がとても不気味で慌てる、何故か声も出せない。
意識を保つのも暗闇の中では限界に近くそのまま目を閉じた。
目を開けると辺り一面が見たことも無い澄んだ景色に変わっていた。
時間帯も夜ではなく早朝という感じだ。
夢でも見てるのかと戸惑うが意識ははっきりしてる。
逆にそれが怖かった。
これじゃあ嫁探しどころじゃない。
家に帰りたい。