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彼に会いに行ったのは、彼の訃報が届いてから一か月経ってからだった。仕事で忙しかったのは嘘ではない。けれど仏前に座って、どこか彼の死を認めたくなかったところもあったのだと彼女は自分の心の底を悟った。
久しぶりに会った義母と義父は、彼女の記憶よりも年老いていた。たぶん彼らから見ても、彼女も老けて見えるのだろう。わりと最近撮られたらしい遺影の中で笑う彼も、最後に会った時よりも年を取ったように思う。
みーくんは、と尋ねられて、風邪をこじらせているので置いてきたと話す。二人に会いたがっていましたと伝えると、二人は瞳を潤ませて目じりをゆるませた。いつでも連れてきていいんだよ、というのは今まで言われたことがなかったが、おそらく本心なのだろう。
線香の匂いが香る。線香っていい匂いだよねと彼が言っていたのは、もうどれだけ前のことだろう。
遺影の彼にそっと触れる。湧き上がるのは懐かしさと、それから――。




