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悪いとは思っていた。しかし間違ったことをしているとは思ってなくて、彼女に謝るなんて選択肢は初めから存在しなかった。
思えば、彼女はよく怒っていた。ちょっとしたことに対するのはもちろんのこと、明るく染め毛先をぴんぴんと立たせた髪型にも、こだわりを持ってつけていたピアスにも、あげく奏でるギターの音色にまで「何それ、ありえない、ダサい。あたしそういうの無理だわー」と。そういうはっきりしたところが好きで、そして嫌いでもあった。
しかしあの時、彼女は一度も怒らなかった。「……そう」と呟いたきり黙り込み、そうして静かに彼の前からいなくなった。
たまに、思う。声を荒らげることなく能面のように無表情だった彼女は、あの時一体何を想っていたんだろう、と――。




