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スゴロク スゴくロクでもないゲーム  作者: 沖光峰津
第二章 神様のゲーム
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第十二話「主力武器決定」

 次の日、三人の事をどこかで見ていたのか天使ヘカロが楽しげに声をかけてきた。


「剣ではなく銃を選ぶとは面白い、この世界の勇者たちも銃を使うが術を使えない者や援護などのために使うだけで銃を主力武器に選ぶのは珍しいよ、魔法の銃は町や村を魔族から守るために普通の人々が魔法を使えるようにと開発されたものだからね」


 感心するように言うヘカロに秀樹が謙遜してこたえる。


「この世界の人たちみたいに剣術や槍術など使えませんからね、玩具の銃で遊んでいたから剣より使えると思っただけですよ」


 魔法の銃はともかく普通のアサルトライフルのような銃は昨晩寝る前に弄繰り回して使いこなせる自信があった。

 秀樹だけでなく栄二も同じく自信ありの顔だ。

 恒夫はライフルは持っていない、代わりに腰にリボルバーの拳銃をぶら下げていた。

 二百万ギギルほどまとめて買ったので武器屋の親父がサービスでくれた中古のくたびれた拳銃だ。



 集合場所に着くと中津たちが目敏く見つけて指差して笑い出した。


「お前らなんて格好してんだ。戦争に行くつもりか? 」

「まるでテロリストね、野方なんて映画によくいるガリガリのゲリラそっくりだよ」


 中津と東條がわざわざ駆け寄ってきて厭味を言う、佐伯は呆れ顔で見ている。


 バカにされても仕方が無い。

 秀樹と栄二は普段着にライフル銃を持って如何にもゲリラというような格好だ。

 魔法の銃と鎧はリュックの中に隠してある。

 恒夫がカジノで稼いだ事は秘密にしておきたいと言って隠すように指示したのだ。


 普通のライフルは一万ギギルほどで売っているので秀樹たちの他にも持っている参加者が何人かいた。

 しかしあくまで予備の武器や玩具として持っているだけで銃をメインの武器に考えている者はいない、魔物相手に普通の銃など効果が無い事は町の人々に聞いてみんな知っている事だ。

 普通の銃などではゴブリンを倒すだけでも何十発も当てなければ効果が無いのだ。


 中津が上から目線でバカにする。


「お前らの相手は何だ? そこらの動物じゃないんだそ、魔物相手にどうするんだ? 」

「どうせ魔剣でも買おうと思ったんでしょ、高くて買えないから鉄砲にしたんでしょ」


 侮蔑する東條に中津が調子を合わせてからかう、


「ああ、そういうことか、どうせなら魔法の銃でも買えばよかったのに三十万ギギルで一つ買って残りの六十万ギギルで弾6発買ったほうが役に立つぜ、その代わりゲーム終わるまで野宿して食い物も何もかもサバイバルだけどな」

「アハハハ、そりゃいいわね、野方も城道も少しは逞しくなるんじゃない」


 中津と東條を前にして普段なら怒鳴り返す秀樹が余裕に口を開く、


「笑いたきゃ勝手に笑ってろよ、俺たちには俺たちの作戦ってのがあるんだ」

「そうそう、別にこの銃で魔物を倒す気なんか無いしね」


 栄二も半笑いで軽く流す。

 バカにされても以前のように突っ掛って行かない、夢の中の世界とはいえ童貞を捨てた余裕だろうか? 


 恒夫がそっと中津に近付く、


「この銃はな魔物じゃなくてお前らを撃つために買ったんだよ、お前ら殺せばゲームに勝てなくとも負ける事も無いだろ、今ここで撃ってもいいか? 昨日から撃ちたくてウズウズしてるんだ」


 中津の胸にリボルバーを向けながらニヤりと笑った。

 昨日の疲れが取れずに目を充血させて無気味に笑う恒夫を見て中津が顔を引き攣らせる。


「ちょっ、待てよ、そんな事したら反則負けになるぞ」

「ふひひひひっ、いいよ反則負けでも、どうせ勝てると思ってないし……人殺しでも何でも好き勝手が出来るから参加したんだからな」


 ニタリと笑いながら恒夫が撃鉄を起こす。


「待てよ、止めろよ、秀樹どうにかしてくれ」


 演技か本心か狂気を帯びた目の恒夫に中津が完全にビビっている。

 銃を持つ恒夫の右手を秀樹が掴んだ。


「お前がからかうから悪いんだぞ、恒夫は何を考えているのか俺にも分からないんだ。マジで撃つかもしれないからこれからは気をつけてくれよ」


 中津が震える声を出す。


「わっ、わかった…… 」

「こいつマジでやばいよ、向こうへ行こうよ」


 ビビって言葉が続かない中津を連れて東條が離れていく、


「中津も悪いけどお前らもやりすぎだぞ」


 呆れたように言うと佐伯も二人を追った。


「あー面白かった。でも中津ならマジで撃っちゃうかもな」


 楽しそうな意地悪顔で恒夫が笑う、


「ゲーム中は止めといてよ、反則になるからね」


 いつもバカにする中津に一泡吹かせることが出来て栄二も楽しげだ。


「あいつらどうしたんだ? なんか揉めてる様子だけど」


 秀樹がチャラ男三人組を指差した。

 何があったのか大天使キケロに泣きついている。

 様子を伺っていた天使ヘカロが飛んで来て話しをしてくれた。


 チャラ男三人組はバックパッカー気取りで安宿に泊まって貰った金貨の半分を盗まれたのだ。

 金品は分散して隠し持つという最低限の知識があったから半分で済んだ。

 一所に置いていれば全部取られていただろう、天使に泣きついても自身の管理不行き届きとして補填される事は無い、安宿に反対した恒夫の判断が正しかった事が証明された。


 いよいよサイコロを振って本格的にゲームが始まる。

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