The Girl with three face :前編
本日から、新編です。
物語へ繋げるため、本日の話しはギャグ成分少なめです。
また、話しが長引いたため前編後編に分けさせていただきました。
よろしくお願いします。
時を止められる。
・・・動けない。
俺はちらっと右腕を見る。
奴は刻一刻と迫ってきている。
刹那、紅き光が蒼く輝く
「ーーーーーっ!!」
鉄の塊が交差する中、今俺は走り出す。
急げ、もう時間は残されていない。
このままだと、もう、俺は・・・!!
俺は、奴の名前を知っている。
奴の名は、『遅刻』だ。
本当にやってしまった!
まさか、兄妹揃ってタイマーをかけ忘れるなんて!!
現在時刻から考えると、はっきり言って間に合わない可能性が高い。
が、俺は諦めない。
「だあああああ!!」
直線コースに入った!
あと、はただひたすら前に走るだけだ!
ただし、このコースの距離が1番長い訳であるが。
「チクショおおお!!」
「ーーーーーー見てられませんの。お乗りなさい?」
「え!?」
突如、聞こえてきた声に俺は足を止められる。
そして、俺はもう一度、いや何度も絶句することになる。
「っえ?」
「早くしなさらないと、置いて行きますわよ?」
「っえ、あ、はい、え?」
そこには、黒い高級そうなあの長い車(正式な名前は知らない)。
その車の中には、
いかにもお金持ちのお嬢様といった感じの
日乃小雪がいた。
「えっと、え?」
混乱したまま、俺は長い車に乗る。
「御機嫌よう、音田皇子さん?」
「ご、ごきげんようです?」
「お先に口止めさせていただきますわ。このことは、誰にも言ってはなりませんのよ。」
「あ、ハイ」
シン、と無言の時間が続きそうなので、素直な感想を一言。
「小雪、お前、お嬢様だったんだな・・・」
「ええ、ええそうですわ。」
「今まで隠してたっぽいけどいいのか?」
「・・・私が自分で決めたことですもの、あなたに正体がバレてしまうことは。あまりにも貴方が惨めだったので。」
「本当にありがとうございます。」
もはや、雰囲気から違う。
確かに、俺が知っていた日乃小雪は落ち着いており、礼儀正しい感じだったが、さすがにここまで露骨なお嬢様ではなかった。
「なんで隠してるんだ?」
「それは・・・お父様にそう言われたからですわ。」
しかも、大体がテンプレ通りという。
他にも聞きたいことは色々あるが、これぐらいにしておいた方が良いだろう。
しかし、本当に助かった。
車なら学校に遅刻することはないだろう。
「小雪ほんとに助かった!」
「言葉を慎みたまえ、ヒノお嬢様に何たる態度か!!」
そう、助手席に乗っていたボディーガードマン(マンガとかで見たことある感じの)が怒ってきた。
ム〇カか!?
と、一瞬思ったが、これはまじの方である。
小雪、いや日乃さん、本当にめっちゃヤバイ方じゃないんですか!?
「やめなさい。私のご友人です。」
「はっ、申し訳ございません!」
いやいやいやいや、たまたま同じグループに入っただけです!
それを言うことを躊躇う程に、俺の居場所は無かった。
「緊張なさらずに?それに、もうすぐ降りますわ。」
「あ、ハイ」
緊張しない訳ないだろう・・・。
それから数分後、学校からほんの少しだけ離れた所で車は止まった。
確かに、ここで降りれば誰かに見つかることはないだろう。
「えっと、本当にありがとうございました。」
俺は、深々と日乃さんとボディーガードマンと運転手にお辞儀をする。
「行きますわよ?」
「あ、ハイ」
それにしても、全く違ったキャラをきちんと演じているなんて凄いな・・・。
と、流石に言えるはずがなく
「「・・・・・・」」
無言の時間が流れ、いつの間にか学校に着いてた。
「あ、あのー、日乃さん?」
「いーよいーよ、そんなの固いでしょ?いつも通りに接してね!」
「お、おう」
「よろしくね~」
「お、おう」
無理に決まっている。
少なくても同じ目では見れないだろうが、こちらは助けてもらった身だし、特にばらす必要も無い。
『会』メンバーの知らない一面を知れた、程度の認識でいいだろう。
そう思いながらも、気になるものは気になるのが人の性である。
昼休み、俺はスマホで検索してみて見ることにしたのだが、
『日乃お金持ち』
出てきたのは
『もしかして:火野』
「って、おいまじか?確か火野っていったら超大企業だよな・・・。日乃は偽名って感じか?」
『火野』というのは、様々なことに取り組んでいる日本の、いや、世界でも有数の大企業である。
でも、そしたらこんな都会でもないところに来る理由が分からないな。
実家があったりするのか?
しかし、何にせよもしこれが本当なら凄いことである。
「って言っても、本当かどうかなんて分かんないしな。」
そんなことより、今はお昼休みだ!飯を食べよう!
20時だよ!全員集合!みたいなノリである。
え、20じゃない?8?誰がそんな朝早くから見るんだよ笑(分かってない)
俺は基本的に飯は1人で食べる派だ。
別に一緒に食べる人がいない訳ではなく、本を読みながら食べるのが好きなだけである。
もう一度言うが、別に一緒に食べる人がいない訳ではない。
さて、いつも食べている中庭に来たわけだが、
「・・・はぁ、これは場所変更かなー」
そこには、ヤンキーさんが集まって何かをしていた。
ヤンキーさんは絡まれると大変なのでな。
リア充がイチャついてたら、堂々と横に座ってやるが、ヤンキーさんだと
「てめぇ、逃げんじゃねぇぞ」( ・ω・)و|壁ドン
されちゃうからね。
これだけ見るとただの恋愛マンガである。
バカ!勘違いしちゃうじゃない/////
数分後には財布の中身がないパターンであるが。
人数は6人か?
真ん中に、マスクをしてポニーテールの意外と綺麗な黒髪をした女の人が1人。身長はまあまあ高め。日乃さんと同じぐらいだろうか。
雰囲気的にはあの人がリーダー格なのだろう。
その女の人の後ろに3人の男が。まさにリーダーの後ろにいそうな感じのヤンキーさんである。
個人的には左の坊主が、在り来り過ぎて好きである。
そして、その4人に敵対するかのように、反対側に男が2人。
あいつらは1年だな。
うちの学校は学年事に違うデザインのピンを付けているので、このように学年の判断は簡単に出来る。
1年A「なんで、お前が作ったルールに従わなくちゃいいけねぇんだよ!?」
女「それはな、私がこの学校のルールだからだ。」
女の人の声はヤンキーにしては、なんか可愛いというかなんというか。
1年B「何カッコつけてんだよ!そんなの知らねぇよ!!!」
後ろのA「そりゃ、姉御がこの学校で1番強いからだよォ!」
坊主「姉さん、こいつらやっちゃいますか?」
女「あんた達は下がってな、私がやる。」
1年AB「「っ!!」」
女「自分がしたいようにしたいなら、あたしに勝ちな。それで万事解決さ。」
1年A「っああ!やってやるよ!!死ねぇ!!!」
おいおいまじか、マジで喧嘩し始めたぞ!?
1年Aは女に向かって、殴り掛かる。
ーーーーーしかし、そこに女はいない。
「「「は?」」」
不覚にも俺と1年達の声が重なる。
少し離れた所から見ている俺ですらも完全に見失った。
まさか、どこでもドアか!?
と、一瞬疑ったが、それは流石に違った。
俺と1年達が困惑したコンマ数秒後、下から女の蹴りが飛んできて、1年Aのアゴを捉える。
1年A「!!!???」
「ま、マジか(;・∀・)」
1年Aはほんの一瞬であっという間に片付けられてしまった。
女「あんた、まだやるかい」
1年B「ち、チクショおおお!!」
1年Bも女の方へ走っーーーーガッ
瞬間、女の回し蹴りが炸裂する。
勿論、1年Bも速攻でダウン。
ま、回し蹴り・・・。
あの女の人強っ!?
女「あたしに勝てないんだったら、あたしのルールに従いな。次はないよ。」
しかも、カッケぇ。
てか、ルールってどんなんだろうなー。
っと、もう喧嘩は終わったしそろそろ移動しなくちゃな。
名探偵コナンの1話みたいに陰から隠れて見てしまったな・・・。反省反省。
そういや、コナンってこの後どうなったんだっけな。
確かーーーーー
ドン
不意に後ろから襲う軽い衝撃。
そうそう、確かこんな感じに後ろから襲われて・・・
ヤンキー「こいつ、ずっと見てましたぜ。どうします?」
「う、うわぁぁあ!子供にされる薬飲まされるっ!!」
ヤンキー「何言ってんだこいつ」
薬はないにしても、この状況は流石にまずい!
どうにかしないと・・・!
女「やめな。あたしの仲間だよ。」
ーーーーーは?
ヤンキー「そ、そうでしたか!そりゃ失礼しやした!」
女「今日はもうお開きだ。散りな。」
ヤンキー達「「「「「は、はい!」」」」」
「何故ここにいたか言いな。」
「あ、えと、飯食いに来たんすけど・・・」
「はぁぁ、ったくめんどくさいやつだな、あんた。あたしが何も言わなければどうなってたことか・・・。」
「えっと、ありがとうございます?」
何故助けられたか全く分からないが、とりあえず助かったのは確かである。
「あいつらは、もういないな・・・。」
と、先ほどのヤンキー達がいなくなったことを確認すると、女の人はマスクを外し、髪を正して、最後はオマケで目が優しくなって・・・
「しょうがないから、1から全部話すね?」
そこには、日乃小雪がいた。
……To be continued